最も長い歴史をもつ判例実務誌
〔解 説〕
1 事案の概要
(1) 事案の要旨
本件は,米国法人のアップル社(アップルインコーポレイテッド)の子会社である原告が,原告によるアップル社製のスマートフォン,タブレット端末の各製品(「本件製品1」ないし「本件製品4」・「本件各製品」と総称)の輸入,譲渡等の行為は,被告が有する発...
〔解 説〕
第1 事案の概要等
1 事案の概要
水俣湾周辺地域においては,昭和28年頃から原因不明の中枢神経疾患にり患した患者が散発的に現れていたところ,この疾病は,昭和31年に公に認知され,その後,水俣病と呼ばれるようになった。同疾病は,チッソ株式会社水俣工場のアセトアルデヒド製造施設内...
〔解 説〕
1 はじめに
本件は,亡Aの遺言執行者であるXが,Yに対し,Aが死亡時に有していた未収金債権(以下「本件未収金債権」という。)の支払を求めた事案である。Xは,既に,本件未収金債権の一部を請求する訴えを提起し,全部認容判決を得ており,本件訴訟はその残部を請求するものである。主な争...
〔解 説〕
1 本件は,繁華街に位置する地上4階・地下1階の建物(本件建物)を平成22年4月に譲り受けたXが,昭和39年頃から本件建物の地下1階部分(本件建物部分)でそば屋(本件店舗)を営み,かつ,1階の入口付近に看板,装飾及びショーケース(本件看板等)を設置しているYに対し,所有権に基づき...
〔解 説〕
1 本件は,Y会社が平成14年7月に厚生労働大臣の輸入承認を得て輸入販売した抗がん剤「イレッサ錠250」(以下「イレッサ」という。)を服用後,間質性肺炎を発症して死亡した末期の肺がん患者らの遺族であるXらが,イレッサは医薬品として有効性,有用性を欠く設計上の欠陥及び添付文書の副作...
〔解 説〕
1 本件は,当時福島県知事であった被告人Aとその実弟である被告人Bが,共謀の上,同県発注に係るダム工事を建設会社が受注できたことの謝礼の趣旨で,同社の下請会社に,被告人B経営の会社所有の土地を買い取ってもらい,土地売却による換金の利益の供与を受けたという収賄,及び被告人Bと他の共...
〔解 説〕
1 事案の概要
本件は,覚せい剤密輸事件について,第1審の無罪判決を刑訴法382条に定める事実誤認を理由に破棄した控訴審判決に対する被告人からの上告に対し,控訴審判決には同条の解釈適用の誤りはないとして上告棄却決定をした事案である。最一小判平24.2.13刑集66巻4号482頁...
〔解 説〕
1 事案の概要
X1及びX2は,いずれもフィリピン共和国(以下「フィリピン」)の国籍を有する未成年の男性であって兄弟であり,「日本人の配偶者等」の在留資格で本邦に在留する実母Aから呼び寄せられ,在留資格を「短期滞在」として本邦に入国し,その後,在留資格を「定住者」に変更する旨の...
〔解 説〕
1 事案の概要
本件は,障害等級1級に該当する程度の障害の状態にあるとして国民年金法(以下「国年法」という。)による障害基礎年金の支給を受けていたXが,①厚生労働大臣が平成22年10月15日付けでXの障害の程度につき障害等級2級に該当するとしてXの障害基礎年金の額を減額する改定...
〔解 説〕
1 事案の概要
Xは,東京都世田谷区内に所在する家屋2棟を所有するところ,東京都知事の委任に基づき世田谷都税事務所の所長(以下「本件所長」という。)が平成21年3月31日に決定した上記家屋の固定資産税等の課税標準価格に不服があったため,同年7月27日に地方税法(以下「法」という...
〔解 説〕
1 事案の概要
本件は,刑務所に在監中のXが,Y(国)に対し,①刑務所の職員Aが,自ら職務上作成し,Xの個人情報が記載された報告書控えを施設外に持ち出して私人であるBに手交し,Xの個人情報を漏洩した行為(以下「本件漏洩行為」という。)が,公務員として職務を行うについてなされた行...
〔解 説〕
1 事案の概要
(1) 原告は,ゴルフ場の敷地等として利用されている不動産(津市市内所在)を所有する清算中の会社であるが,被告の市長(以下「市長」という。)は,平成2年度から平成14年度までの間,ゴルフ場敷地の森林部分とコース部分とを分離評価せずに固定資産税額の算定を行い,原告に...
〔解 説〕
1 事案の概要
本件は,高知県高岡郡佐川町の住民である原告らが,同町の生活系一般廃棄物収集運搬業務について,平成22,23年度の同業務に係る見積合わせにおいて業者らが談合をして不当に高い落札価格で落札し,その結果,佐川町が損害を被ったなどと主張して,①主位的に,佐川町の執行機関...
〔解 説〕
1 事案の概要
本件は,A(なお,Aは,訴訟継続中に解散し,その権利義務がYに承継された。)の従業員であったBが自殺をした原因は,Aにおける過重業務により精神疾患(うつ病)を発症したことにあるとして,Bの相続人であるXらが,Yに対して安全配慮義務違反又は不法行為に基づく損害賠償...
〔解 説〕
1 事案の概要
①,②事件は,同種の事案である。事案の概要は次のとおりである。Xらは,貸金業者であるアエルとの間で利息制限法所定の利率を超過する利息を支払う約定の下に継続的に金銭消費貸借取引を行っていたところ,アエルがXらに対する貸金債権を信託業務等を営むニューヨークメロン(Y...
〔解 説〕
1 事案の概要
本件は,横浜市内の私立高等学校である被告の1年生であり,被告の課外クラブ活動としての柔道部(本件柔道部)に在籍していたX1が,試合前の同部の練習(本件練習)において他の柔道部員に投げられた際に急性硬膜下血腫を発症した事故(本件事故)に関し,本件柔道部の顧問教諭(...
〔解 説〕
1 事案の概要
本件は,Xが,その被相続人(母)であるZ(以下「Xら」という。)と共に,訪問販売を業とするA,C,D,Eの各勧誘担当者による訪問販売の方法に基づく勧誘により,前記Aらから,不必要かつ高額な健康器具等の品物を次々と購入させられたところ(4社の合計で18件。以下「本...
〔解 説〕
1 事案の概要
本件は,居酒屋で共に飲酒をした後に別の飲食店で飲み直そうとしたY1~Y3の3名が,その店が開店するまで店の周りをY1運転の自動車で走行していたところ,対向車線にはみ出し,対向車に衝突して同乗していたAら夫婦を死亡させたという交通事故について,Aら夫婦の相続人(子...
〔解 説〕
1 事案の概要
本件は,統合失調症の治療のために,被告の開設する病院(精神神経科を有する総合病院,以下「本件病院」という。)に入院していた患者が,入院治療中に,心肺停止となり,その後,遷延性意識障害となったことについて,患者の相続人である原告らが,被告の担当医師(以下「被告医師...
〔解 説〕
1 事案の概要
本件は,吉本興業株式会社(平成22年6月1日合併により解散。以下「旧吉本」という。)の株式の公開買付が行われた後,同社の株主総会において,普通株式を全部取得条項付株式へと変更し,これらを同社が取得するなどの決議がされたことにつき,①同社の株主が,同社の株式を保有...
〔解 説〕
1 事案の概要と争点
本件は,原動機付自転車を運転して右折のため停止していたTが,運転免許取消処分のため無免許でかつ酒気を帯びていたMが運転する普通乗用自動車に追突されて死亡した交通事故(以下「本件事故」という。)につき,Tの父母であるX1及びX2が,Tとの間で自動車総合保険契...
〔解 説〕
1 事案の概要
本件は,指定商品を第30類「鉾田市産のバウムクーヘン」とする「HOKOTA BAUM」からなる商標登録出願に対する拒絶査定不服審判請求が成り立たないとした審決の取消しを求める事案である。
本件審決の理由は,要するに,本願商標は,商標法3条1項3号に該当し,かつ...
〔解 説〕
1 事案の概要
(1) 本件は,商標登録無効審判請求を不成立とした審決の取消訴訟である。争点は,本件商標について,公序良俗を害するおそれの有無(商標法4条1項7号),である。
(2) 本件商標(登録第5338568号)は,「ターザン」の片仮名を標準文字で表してなり,指定商品を第7...
〔解 説〕
1 事案の概要
本件は,原告が,被告らに対し,原告が販売する3種類の眼鏡タイプのルーペ(原告商品)に共通する形態は,原告の商品等表示として需要者の間に広く認識されているものであるところ,被告Y1が被告Y2の運営するショッピングサイトを通じて販売するメガネ型拡大鏡(被告商品)の形...
〔解 説〕
1 事案の概要
本件は,過去の破産手続(以下「前件」という。)において,法定の期間内に免責許可の申立てをせず,免責を受けられなかった破産者(相手方)が,新たに破産手続開始の申立て及び免責許可の申立てをして,免責を許可する旨の決定(原決定)がされたことに対して,破産債権者である抗...
〔解 説〕
1 事案の概要
本件は,破産会社の破産管財人である原告が,破産会社の破産申立てを受任した弁護士である被告は,破産会社の破産申立代理人として,破産会社の財産が破産管財人に引き継がれるまでの間に散逸することのないよう措置する法的義務(財産散逸防止義務)を負うところ,被告において必要...
〔解 説〕
1 事案の概要
本件は,Vから,その頸部を締め付けた上,顔面を水中に沈めるよう嘱託された被告人が,Vが死ぬことはないとの認識で嘱託された行為を実行したところ,これによりVが死亡したという事案である。
被告人が本件行為に及ぶには,特異な経緯があった。すなわち,Vは,自分はトップ...
〔解 説〕
1 事案の概要及び争点
本件は,アスペルガー症候群の精神障害(以下「アスペルガー障害」という。)を有し,長期間引きこもりの生活をしていた被告人が,その精神障害の影響で姉である被害者の言動が自分に対する嫌がらせであるなどと受け止め,いわれない憎しみを募らせた末に殺害を決意し,あら...