最も長い歴史をもつ判例実務誌
〔解 説〕
1 事案の概要
本件は,原告らにおいて,被告が経営する産科診療所の分娩介助により長女を出産したが,長女は,その後の診療上の過誤により大動脈弁狭窄症を見落とされ,その結果,出生後1か月余りで死亡したと主張し,被告に対して債務不履行ないし不法行為による損害賠償を請求した事案である。...
〔解 説〕
1 ①事件は,社会保険事務所に年金審査官として勤務していた厚生労働事務官である被告人が,衆議院選挙に際し,日本共産党を支持する目的で,同党の機関紙及び政治的目的を有する文書を住居や事務所に配布したという事案,②事件は,厚生労働省本省の総括課長補佐として勤務していた厚生労働事務官で...
〔解 説〕
1 本件は,Xらが,東広島市都市計画事業西条駅前土地区画整理事業に関し,同事業の施行者である東広島市が土地区画整理法78条3項において準用する同法73条3項に基づきXら及び選定者を相手方として損失の補償につき行った土地収用法94条2項の規定による裁決の申請は,土地区画整理法77条...
〔解 説〕
1 本件は,監禁致傷罪の成否に関し,外傷後ストレス障害が刑法にいう「傷害」に当たるか否かが争われた事件において,これを肯定したものである。
2 事案の概要は,4名の若い女性をホテルの客室や自宅居室に誘い込んだ被告人が,暴行や脅迫を加えるなどして,各女性を4日間ないし116日間に...
〔解 説〕
1 本件は,被告会社の代表取締役であった被告人が,当時被告会社の社長付として経理業務を統括していた丙らと共謀の上,被告会社の業務に関し,法人税を免れようと企て,被告会社の関連会社に対する架空の費用を計上するなどの方法により所得を秘匿した上,平成9年11月1日から平成12年10月3...
〔解 説〕
1 本件は,公認会計士であった被告人が,所属する監査法人と監査契約を締結した株式会社A社の代表取締役Bらと共謀の上,実体のない預け金を計上した半期報告書や株式の取得価額を過大に計上した有価証券報告書を提出したという事案である。
2 本件の事実関係については,本決定1項及び3項に...
〔解 説〕
1 事案の概要及び判決の要旨
代金債権について譲渡禁止特約のある請負契約の債務者であるBは,債権者であるAがBに対する請負代金債権の一部(以下「本件請負代金債権」)を原告に譲渡したことから,譲受人である原告の善意・悪意が不明であるとして,本件請負代金債権について,供託原因を債権...
〔解 説〕
1 事案の概要
本件は,産業廃棄物処理場(以下「本件処分場」という。)の周辺地域に居住する原告ら13名が,本件処分場においては廃棄物の処理及び清掃に関する法律(以下「廃棄物処理法」という。)所定の産業廃棄物処理基準に適合しない産業廃棄物の処分が行われており,その結果,原告らの生...
〔解 説〕
1 事案の概要
本件は,新たに成年後見人に選任された弁護士が被成年後見人を代理して,前任の成年後見人が横領した金額に相当する賠償を国(家裁及び法務局)に求めた事案である。事実関係は次のとおりである。
Xは,平成13年12月交通事故により脳挫傷等の傷害を負い,意識障害,四肢麻痺...
〔解 説〕
1 事案の概要
原告は,昭和35年から平成18年8月までの約46年間うち相当期間にわたり,土工,造林夫として,さく岩機,チェーンソー等の振動工具を使用する業務に従事していた。本件は,このような原告が,業務に起因して振動障害を発症したと主張して,処分行政庁である労働基準監督署に対...
〔解 説〕
1 事案の概要
本件は,被告Aらとの間で債務弁済協定調停を行った原告らが,①被告Aは,調停に先立ち,保有資産を信託設定することにより譲渡しているが,これら資産に対する実質的な支配権を有していたことから調停当時の被告Aの資産状況について錯誤があった,②調停当時被告Aが信託設定され...
〔解 説〕
1 本件事案の概要
Y(総合病院の内科部長を務める医師)の弟Aは,平成7年6月,B銀行から4億5000万円の借入れをして,この借入金で新潟市中央区内にある商業ビル(本件ビル)を購入した。Yは,同月,B銀行に対し,この借入金のうち2億5000万円について連帯保証(本件連帯保証契約...
〔解 説〕
1 事案の概要
(1) 土地売買契約における土壌汚染対策費用の支払合意
味噌及び醤油の醸造及び販売等を業とする株式会社である被告は,不動産の売買等を業とする原告に対し,平成18年4月,被告の青森工場(味噌工場)の敷地であった青森市内の土地(面積合計54,855.88m2)を代金...
〔解 説〕
1 事案の概要
本件は,高知県の西部に位置する黒潮町において,町議会議員が私的に発行する広報紙に町政執行を批判した記事(本件記事)を掲載したことに端を発する紛争である。すなわち,①本訴は,普通地方公共団体(町)であるX(原告・反訴被告)が,本件記事によって町自体の名誉等が毀損さ...
〔解 説〕
1 事案の概要
本件は,プロの登山ガイドである被告が主催し,募集した10月催行の登山ツアー(本件ツアー)に登山客として参加したAが,本件ツアー中に強風及び吹雪に曝されて低体温症により死亡したため(本件事故),Aの相続人である原告らが,被告に対し,本件ツアー主催者としての安全配慮...
〔解 説〕
1 事案の概要
本件は,都市銀行であるYらが無権限者に預金を払い戻したことによりこの預金相当額及び弁護士費用等の損害を受けたとして,Xらが,Yらに対して,不法行為に基づき損害賠償を求めた事案である。
グループ会社である預金名義人8社(以下「Xグループ」という。)は,それぞれY...
〔解 説〕
1 事案の概要
本件は,原告Xが,B社の従業員Dから,被告であるY社の未公開株式の上場が間近であり購入すれば確実に利益を得られる旨の投資の勧誘を受け,指定された投資事業組合Cに対し,正常な価格(1株2万5000円程度)に比して不当に高額な株式代金(1株40万円で5株200万円)...
〔解 説〕
1 事案の概要
訴外A(昭和54年生)は,平成14年8月10日,Yの経営するクリニックを受診したところ,心気症,腰痛と診断され,それ以降,同クリニックにおいて通院治療を受けていたが,平成15年6月9日,自室にて首を吊り自殺した。
そこで,Aの母であるXは,(1)重大な副作用の...
〔解 説〕
1 事案の概要
訴外A(大正3年生)は,平成21年2月27日死亡したが,生前の平成17年10月12日公正証書によって,Aの全財産をYに遺贈する旨の遺言(以下「本件遺言」という。)をした。
そこで,Aの相続人であるXらは,Aの遺言当時,Aには認知症のため遺言能力がなかったと主張...
〔解 説〕
1 事案の概要
本件は,原告が被告の開設する金融商品取引所に株券を上場していたものであるが,原告の連結子会社が循環取引を行っていたこと等に起因して,原告の監査法人が中間監査報告書において中間連結財務諸表につき「有用な情報を表示しているかどうかについての意見を表明しない。」旨の報...
〔解 説〕
1 事案の概要
Aは,昭和58年11月,Y(農業協同組合)との間で,共済者をY,共済契約者・被共済者・死亡共済金受取人をA,死亡共済金額3000万円の約定で養老生命共済契約を締結した(本件共済契約)。Aは,平成21年2月26日,遺言公正証書を作成し,妻を遺言執行者とするとともに...
〔解 説〕
1 事案の概要
Xは,社名の一部である「3M」の文字からなる商標を使用して,文具製品,オフィス製品等,多分野にわたる製品を販売しているアメリカ合衆国の会社である。Yは,「3mS」の文字からなる商標(①事件における本件商標)及び上段が「sAn ms」,下段が「サンエムズ」の文字か...
〔解 説〕
1 事案の概要等
本件は,「アミノシリコーンによる毛髪パーマネント再整形方法」との発明についての特許出願拒絶査定に対する不服審判の不成立審決に対する取消訴訟である。
本判決は,まず,特許法36条6項1号の適合性判断について,「特許権者の専有権の及ぶ範囲は,『特許請求の範囲』の...
〔解 説〕
1 事案の概要
本件は,Xが,Yの有する「Virgin & Pink」なる本件商標(指定商品:第3類 化粧品)について,通常使用権者がXの業務に係る商品と混同を生ずるおそれがある使用をしたとして,商標法53条1項に基づいて,本件商標に係る商標登録を取り消すことを求めたXの審判請...
〔解 説〕
1 事案の概要
Xは,有限責任事業組合契約に関する法律に基づいて成立した有限責任事業組合であり,Yらとの間で,いわゆるベンチャーキャピタルを行うことを目的として民法上の組合契約(本件組合契約)を締結した。本件組合契約においては,Yらが出資金の99%,Xが1%を出資する一方,Xが...
〔解 説〕
1 事案の概要
本件は,大型ショッピングセンターを運営していた原告が,資産流動化による資金調達のためにショッピングセンターの建物等を信託譲渡した上で被告から同建物等を賃借した際,その修繕工事等に充当することなどを目的として差し入れられていた資本維持積立金(以下「本件預り金」とい...
〔解 説〕
1 事案の概要
本件は,控訴人(X)が被控訴人(Y)に対し過払金返還請求を求めて提訴中に,被控訴人が会社更生の手続に入り,会社更生手続が終結したため(以下「本件更生手続」という。),控訴人の過払金返還請求債権(以下「本件請求債権」という。)が会社更生法204条1項により失権した...
〔解 説〕
1 事案の概要
本件は,被告人が平成13年1月に敢行した強盗強姦の事案である。
被告人は,本件前後(平成12年~14年)に連続的に敢行した,住居侵入を伴う強盗強姦3件,強姦2件等の犯行(別件)により懲役16年に処せられ(東京地八王子支判平17.2.2公刊物未登載),平成17年...
〔解 説〕
1 事案の概要
本件は,現職の国会議員が,自己が代表を務める資金管理団体である陸山会の会計責任者及びその職務を補佐する者と共謀して,陸山会の収支報告書に虚偽の記入及び記載すべき事項の不記載をしたとして,共同正犯の責任を問われた政治資金規正法違反の事案である。
検察官の二度にわ...
建物の区分所有等に関する法律59条1項に基づく訴訟の口頭弁論終結後の区分所有権及び敷地利用権の譲受人に対し同訴訟の判決に基づいて競売を申し立てることの可否
不動産の取得時効の完成後、所有権移転登記がされることのないまま、第三者が原所有者から抵当権の設定を受けて抵当権設定登記を了した場合における、再度の取得時効の完成と上記抵当権の消長
建物の敷地である土地について、建物建築工事請負代金債権を被担保債権とする商事留置権が成立する場合であっても、これを当該土地の根抵当権者に対抗することはできないとされた事例
民法395条2項の建物使用の対価を算定するに当たっては、占有者の従前からの使用収益の継続を前提とした継続賃料の額をも考慮するのが相当であるとされた事例
金融機関の取扱店舗となる支店を特定することなく、「複数の店舗に入金指定口座があるときは、第三債務者が随意に定める順序による」という順位を付した預金債権の差押命令の申立てが、差押債権の特定を欠き不適法であるとされた事例
1 第三債務者である金融機関の取扱店舗を支店名で特定せず、いわゆる預金額最大店舗指定方式により差し押さえるべき債権を表示した債権差押命令の申立てにつき、第三債務者である金融機関が事前の弁護士会照会に回答しなかった場合は、差押債権の特定を欠くとはいえないとされた事例(①事件)
2 差押債権の特定の判断は差押債権目録の記載自体によって判断すべきであり、上記方式による債権差押命令の申立てにつき、差押債権の特定を欠き不適法であるとされた事例(②、③事件)
普通預金債権のうち差押命令送達時後同送達の日から起算して1年が経過するまでの入金によって生ずることとなる部分を差押債権として表示した債権差押命令の申立てが、差押債権の特定を欠き不適法であるとされた事例
構成部分の変動する集合動産を目的とする集合物譲渡担保権に基づき、譲渡担保の目的である集合動産を構成するに至った動産が滅失した場合にその損害をてん補するために譲渡担保権設定者に対して支払われる損害保険金に係る請求権に対して物上代位権を行使することを認めた事例