最も長い歴史をもつ判例実務誌
[解 説]
1 事案の概要
本件は,破産管財人である原告が,破産者(会社)から自己破産の申立てについて委任を受けた被告(弁護士法人)に対し,破産者が被告に支払った報酬の一部について,破産申立て自体とそれに当然付随する事務以外の対価を支払うべき義務がない業務(資産の換価や売掛金の回収等。以下...
[解 説]
1 事案の概要
本件は,株券電子化会社の発行に係る振替株式を有する株主が,会社法172条1項1号に基づき,全部取得条項付種類株式の取得の価格の決定を求める事案である。本件の主たる争点は,判示事項に記載された社債等振替法154条3項所定の個別株主通知の要否にあるので,以下,この点...
[解 説]
1 本件は,航空管制官である被告人両名に対し,実地訓練として管制業務を行っていた被告人Aが,航行中の日本航空の旅客機907便と958便が静岡県焼津市上空で異常接近しつつあることを警報により認知し,両機の接触・衝突等の危険を避けるため,巡航中の958便を降下させる意図の下に便名を言...
[解 説]
1 本件は,石油製品の運搬等を目的とする会社の代表取締役である被告人が,同社の運転者に,労使協定によって定められた1か月130時間の延長労働時間を超えて時間外労働をさせるなどした労働基準法違反等の事案である。
労基法32条1項は,使用者は,労働者に,1週間について40時間を超え...
[解 説]
1 事案の概要
本件公訴事実の要旨は,当時の社会保険庁東京社会保険事務局目黒社会保険事務所に年金審査官として勤務していた被告人が,平成15年11月9日に施行された第43回衆議院議員総選挙に際し,日本共産党を支持する目的で,①同年10月19日午後0時03分ころから同日午後0時33...
[解 説]
1 事案の概要
本件は,一部高架式の道路の設置を内容とする都市計画事業(以下「本件道路事業」という。)の事業地の周辺住民である原告らが,愛知県知事が都市計画法63条1項に基づいて施行者である名古屋市に対してした本件道路事業に係る事業計画の変更認可が違法であるとして,その取消しを...
[解 説]
1 原告(昭和24年3月生)は,昭和49年3月にA大学医学部を卒業し,同年6月に医籍登録をした医師であり,B大学C総合病院の助教授であったが,平成13年5月1日,日野市立病院(本件病院)に参事副院長として着任した。
しかし,被告は,平成18年4月1日,原告に対し,「参事を命ずる...
[解 説]
1 本件は,①原告の所有地の境界線近くに,原告の隣人である被告1が障壁(以下「本件障壁」という。)を設置したことから,原告が被告1に対し,被告ら所有の各土地(これらの土地が一体として私道を構成している。以下,これを「本件私道」という。)の囲繞地通行権,人格権に基づく通行権及び原告...
[解 説]
1 Xは,貸金業者であるAとの間で継続した金銭消費貸借取引を行っていたが,Yから勧誘を受け,Yから,Aとの間で生じた借入元利金相当額を借り入れてAに対する債務を完済し,以後はYとの間で継続した金銭消費貸借取引を行った。Xは,Yに対し,Aとの間でされた取引を通算の上,XがYとの間で...
[解 説]
1 事案の概要
(1)事実経過
X1は,平成9年1月15日,Y1からY2施工に係る14階建のマンション(本件マンション,総戸数65戸)の14階の住戸(本件住戸)を買い受けた。本件マンションは,平成8年9月30日に着工され,平成10年3月25日に完成し,X1は,同月27日から,...
[解 説]
1(1)本件は,本件土地建物を競売により買い受けたXが,本件建物の一部について最先順位の抵当権者に対抗することができる賃借権が存するとして,民法568条1項,566条1項,2項に基づいて本件売買契約を解除し,売買代金の配当を受けたYらに対し,本件配当金に対する,代金納付日の翌日か...
[解 説]
Xは,不動産賃貸等を営む者であり,税理士であるYに対し,平成11年度から平成17年度までの所得税の確定申告にかかる青色申告決算書及び確定申告書の作成を委任し,作成された確定申告書等を提出して確定申告を行ったところ,平成18年に至り,税務署による税務調査を受け,上記各年度の不動産収...
[解 説]
1 本件は,1歳9か月(当時)の子(C)が,被告会社製のミニカップ入りこんにゃくゼリー(本件こんにゃくゼリー)を食べた際にこれを喉につまらせ窒息死した本件事故につき,その原因は同社及びその代表取締役らが本件こんにゃくゼリーの設計上の致命的な欠陥を放置し,製造物責任法上の「欠陥」を...
[解 説]
1 Y(渋谷区)は,昭和31年開業の公衆浴場が廃業予定となった際に近隣住民から存続の陳情を受け,平成16年公衆浴場の建物と敷地を買い取ってZらに賃貸し,Zらが公衆浴場の営業を継続していた。東京都の「都民の健康と安全を確保する環境に関する条例」(本件条例)は,第1種住居地域について...
[解 説]
1 事案の概要
本件は,亡Aとその妻である亡Bとの間の長男として戸籍に記載されているYに対し,A・B夫婦の子であるXら(Yの戸籍上の弟たち)が,A・Bの死後,A・BとYとの間に親子関係が存在しないことの確認を求めた事案である。
Yは,A・B夫婦の長男として養育され,大学を卒業...
[解 説]
1 事案の概要
本件は,原告が特許協力条約に基づいて行った外国語特許出願について,日本国特許庁長官に対し,国内書面提出期間経過後に国内書面及び明細書等の翻訳文を提出したところ,特許庁長官から,特許法184条の4第1項の国内書面提出期間経過後の提出であること(国内書面提出期間内に...
[解 説]
1 Yは,「ケフィア倶楽部の」の文字及び「ピュアメープルシロップヌーボー」の片仮名文字を2段に横書きしてなる商標(本件商標)の商標権者である。Yは,平成18年8月,指定商品を第32類「カエデの木から採取した樹液を原料とするシロップ」として登録出願したが,特許庁審査官による拒絶理由...
[解 説]
1 事案の概要
(1)控訴人は,身飾品等を指定商品とする登録商標「AGATHA」(本件商標)の商標権者である。被控訴人は,ウェブサイトに「Agatha Naomi」及びその装飾文字(被控訴人標章1~3)の表示をしてアクセサリー等の通信販売を行っている。
(2)本件は,控訴人が...
[解 説]
1 事案の概要
本件は,画家の相続人である被控訴人(原告)X(なお,原告2名のうち1名は1審係属中に死亡し,その相続人である相原告Xが訴訟手続を受継)が,美術品の鑑定等を業とする控訴人(被告)Yに対し,Yが同画家の製作した絵画2点に係る鑑定書2通を作製する際,Xらの承諾を得るこ...
[解 説]
1 本件は,日本法人であるX(一審原告)が,サムスングループに属する大韓民国法人で韓国内に本店を有するY(一審被告)に対し,Xの有する日本特許権(発明の名称「モータ」,登録日 平成17年6月17日)に基づき,Yが日本国内において上記特許権を侵害するY物件の譲渡の申出を行ったとして...
[解 説]
1 各決定の要約
①事件は,原審が,差押命令による差押え時の預金債権について,一部が年金を原資とするものであると認めた上で,当該部分に対する差押えによって申立人の生活に著しい支障が生じるとまでは認められないとして,申立てを棄却したところ,抗告審も原審の判断を全面的に支持し,抗告...
[解 説]
1 事案の概要
本件は,全部で10件の住居侵入,強盗強姦,強姦致傷,強姦未遂,窃盗の事案である。そのうち,被害者の住居に侵入して現金等を強取した上,被害者を強姦した事案2件において,被告人は,持参したビデオカメラで被害者を姦淫する際の様子を撮影していた。
原審において,被告人...