最も長い歴史をもつ判例実務誌
[解 説]
1 本件の概要
安曇野市及びその前身の三郷村は,いわゆる第三セクターでありトマト栽培を主たる目的とするM株式会社に対して融資をしたA,B,C各金融機関との間で,融資によって生ずる損失を一定額の限度で補償する旨の損失補償契約を締結した。また,三郷村・安曇野市は行政財産である建物・...
[解 説]
1 事案の概要
本件は,Y市が,Xに対し,土地区画整理事業の施行者として,X所有地について仮換地指定処分をしたところ,Xが,照応原則違反を理由として,その取消しを求めた事案である。
本件仮換地は,道路に接しない三角形の部分を抱える不整形な土地であったが,原判決は,本件従前地と...
[解 説]
1 当時高校2年生のAは,カラオケ店の前で,同じく高校生のBとの間でいさかいとなり,Bは近くの河川敷にAを連れて行き,Aに対して一方的に暴行を加えて傷害を負わせ,Aを死亡させた。上記事件の捜査を行った愛媛県警察C警察署は,報道機関に対し,「被疑者と死者は,(中略)喧嘩となり,その...
[解 説]
1 訴外A(昭和25年生)は,白浜町の職員として採用され,平成10年ころから同町民生課係長として勤務していたが,平成11年7月7日に出張先の旅館で橋出血を発症した(以下「本件発症」という。)。
Aは,本件発症が公務上の災害に該当するとして,地方公務員災害補償基金和歌山県支部長に...
[解 説]
1 Yは,昭和36年9月,A女と婚姻し,三子を儲けたが,Xは,昭和46年ころ,A女と男女関係を持ち,Yにみつかった。
Yは,昭和61年7月,A女と協議離婚したが,Xに対し,不倫の慰謝料を支払えと怒鳴り,殴打,脅すなどして,Xから60万円の支払を受けた。
その後,Yは,XがA女...
[解 説]
1 賃貸借契約の更新料に関する判決は,最近,大阪高裁や京都地裁で相次いで出されており,本件もその一つであるが,これまでの裁判例とは異なった判断をしているので,紹介する。
2 事案の概要は次のとおりである。賃借人であるXは,平成18年11月,賃貸人であるYとの間で,マンションの一...
[解 説]
1 原告Aは,平成18年9月14日午後7時18分ころ,原告株式会社B所有の自動車(以下「本件自動車」)を運転して,首都高速道路都心環状線を走行していた際に,後続自動車の運転手から本件自動車が燃えている旨告げられ,本件自動車を停止させたところ,本件自動車が炎上するという事故(以下「...
[解 説]
1 G社は,Yの大株主であったところ,Yの臨時株主総会及び普通株主による種類株主総会において,全部取得条項付種類株式制度を用いてYをG社の完全子会社とするための合計4個の議案が,G社らの賛成多数によって可決された。その結果,少数株主であったXらは,Yの株主から締め出された。
X...
[解 説]
1 訴外A(大正13年生)は,平成17年9月,Y保険会社との間で,横浜市港南区所在の木造2階建て店舗兼居宅(以下「本件建物」という。)について,店舗総合保険契約等を締結していたが,同年12月25日,本件建物の1階店舗から火災が発生し,本件建物が全焼状態になった。
Aは,平成18...
[解 説]
1 事案の概要
本件は,原告が特許料の追納期間の経過後に特許料納付書を提出して特許料等の納付手続をしたところ,特許庁長官が同特許料納付書を手続却下処分したため,原告が被告に対し,特許法112条の2第1項所定の「その責めに帰することができない理由」があるとして,同処分の取消しを求...
[解 説]
1 Xは,発明の名称を「性的障害の治療におけるフリバンセリンの使用」とする医薬の用途発明に係る特許出願をした。審決は,概要,以下の理由により,特許法36条6項1号の要件を充足しないと判断した。すなわち,①医薬の用途発明においては,一般に,有効成分の物質名,化学構造だけからその有用...
[解 説]
1 Yは,体型補整用婦人下着の製造販売等を事業内容とする株式会社である。Xは,平成12年6月にYに入社し,平成18年7月まで在職した者である。その間,平成14年11月から平成17年11月までYの取締役を務めている。
2 本件訴訟は,平成16年法律第79号による改正前の特許法35...
[解 説]
1 事案の概要
(1)本件は,「天使のスィーツ」の文字を横書きにした登録商標(本件商標。指定商品は第30類「菓子及びパン」)に対する無効審判の請求について,特許庁がした請求不成立審決の取消訴訟である。
(2)審決の理由は,要旨,「エンゼルスィーツ」の片仮名文字及び「Angel...
[解 説]
1 事案の概要
本件は,マンションの管理組合法人Xが,バルコニー上に増築部分が設置されている居室の区分所有者Y1~Y3に対し,各増築部分の撤去を求めた事案である。本件マンションは,昭和46年に建築され,Y1及びY2は同年,本件マンションの905号室を,Y3は平成11年,902号...
[解 説]
1 本件は,日本法人であるXが,外国法人であるAとの間で,化粧品(本件商品)の独占的販売代理店契約を締結し,その後,同契約を更新して取引を継続していたところ,Aが,同契約の更新を拒絶し,Xからの商品の発注に対して契約が終了したと主張して,商品の出荷を拒否する一方で,Y1と共同で本...
[解 説]
1 本件は,日蓮正宗の被包括宗教法人であるXが,その寺院建物等を占有するYに対し,所有権に基づく明渡等を求めた事案である。Xの代表者(代表役員である住職)は,包括宗教法人である日蓮正宗の代表者(管長)により任命される関係にあるところ,本件訴えは,日蓮正宗の管長Bに任命されたとする...
[解 説]
本件は,被告人が覚せい剤を使用し所持したという事案である。被告人は,覚せい剤所持の故意と覚せい剤使用の事実を否認していたところ,本判決は,いずれの事実でも有罪とし,覚せい剤使用の時期を平成21年9月上旬から同月27日まで幅をもって認定した。被告人は,その犯行の期間内の同月10日覚...
[解 説]
1 本件は,殺人被告事件の公判前整理手続において,弁護人から刑訴法316条の20第1項の主張関連証拠として故人である被害者の前科・前歴に関係する証拠につき証拠開示命令が請求され,その開示の当否が問題となった事例であり,本決定はその抗告審における決定である。
2 本件の事実関係及...