最も長い歴史をもつ判例実務誌
《解 説》
1 ①,②,③事件は,いずれも,貸金業者との間で基本契約に基づく継続的金銭消費貸借取引をしていた借主が,不当利得返還請求権に基づき過払金の返還を請求する事案である。貸金業者は,過払金に係る不当利得返還請求権(以下「過払金返還請求権」という。)は,過払金発生時から消滅時効が進行す...
《解 説》
1 本件は,宗教法人Xの代表役員ないし責任役員であった被告人らが,他の教団職員らと共謀の上,病気等の悩みを抱え,その治癒等を願う被害者らに対し,被告人らには病気の原因等を診断しこれを治癒させるための方策等を提示する能力がないのに,足裏鑑定又は足裏診断と称する個人面談を実施し,面...
《解 説》
1 本件事案の概要は次のとおりである。本件ゴルフ場を経営していたE社は,ゴルフ場造成工事を行ったG社に対し多額の工事請負代金債務等を負担しており,ゴルフ場会員権の販売やゴルフ場の経営も思わしくなく,実質的に経営が破綻した状態であった。E社の代表取締役であった被告人は,自己の支配...
《解 説》
1 中国国籍を有するX(女子) は,平成8年12月,父母及び兄と共に一家4人で来日し,上陸許可・在留更新許可を受けて,我が国で生活していたところ,被告Y1(入国審査官)は,平成16年11月,原告の父がいわゆる中国残留孤児との親子関係を偽装して上陸許可を得ていたものであり,その子...
《解 説》
1 本件は,いわゆる耐震強度偽装事件において,建築主であるXが,建築されたビジネスホテル(本件建築物)につき,構造設計を担当した一級建築士Aによる耐震強度の偽装のため,法令で定められた基準の耐震強度が不足し,本件建築物を建て替えざるを得なくなったとして,①県(Y1)に対し,本件...
《解 説》
1(1) 本件は,原告が被告文京区の管理する公園で子どもの世話をしていたところ,Y1(当時12歳10か月)が不安定な状態にあった標識(以下「本件標識」という。)を倒し,これが原告の後頭部及び背部に当たった(以下「本件事故」という。)ことから,傷害(PTSDを含む。)を負ったとし...
《解 説》
1 本件は,いわゆる「外務省機密漏えい事件」に関し,日米間の沖縄返還交渉に係る秘密文書の漏示をそそのかしたとして国家公務員法違反の罪により有罪判決を受けたXが,平成12年ないし平成14年の米国公文書の公開等によりX(元記者)を有罪とした刑事事件判決が誤判であったことが明確になっ...
《解 説》
Xらは,平成15年12月にその共有に係る土地及び建物を譲渡し,平成16年2月に代金授受を行い,平成16年分所得税として確定申告した上で,当該譲渡したことに伴い譲渡所得の金額の計算上生じた損失の金額を所得税法69条1項の規定に従い他の各種所得の金額から控除すべきであるとして更正の...
《解 説》
1 本件は,Y1名義の所有権移転登記とY2名義の根抵当権設定登記及び同仮登記を経由している土地及び建物(以下,併せて「本件不動産」という。)の前所有名義人であるXが,Y1との間で本件不動産の売買契約(以下「本件売買契約」という。)を締結したことはなく,仮に本件売買契約を締結して...
《解 説》
1(1) 本件は,弁護士である原告が被告との間で弁護士賠償責任保険契約を締結していたところ,原告に訴訟代理を委任したAが敗訴した第一審判決(BのAに対する貸金返還請求訴訟に対する判決であり,Aは,①本件貸金の借主は,Aではなく,Aが代表者を務める訴外会社である,②仮に本件貸金の...
《解 説》
1 本訴は,本訴原告(反訴被告。X)が,司法書士である本訴被告(反訴原告。Y)に債務整理を委任したところ(本件契約),①Yにおいて債権調査を怠り,Xに無断で過払金債権の一部を放棄する和解をしたりするなど善管注意義務違反がある,②本件契約における報酬等の合意は成立していないか,又...
《解 説》
1 本件は,死亡した税理士Aの相続人であるXらが,Aの税理士事務所で勤務していた税理士であるYがAの顧問先を奪った上,顧問先から報酬を得たことにより,所属税理士会支部が定める相互扶助規程上の援助制度に基づき得ることのできた援助金相当額の損害を被ったなどとして,Yに対し,不法行為...
《解 説》
1 事案の概要
(1) Y1は,「キング」と呼ばれるいわゆる振り込め詐欺集団を統括する者であり,同集団には,複数の実行グループがあった。Y2は,1つの実行グループにおける実行責任者である。Yらは,組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律違反(組織的詐欺)により既に逮...
《解 説》
1 本件は,土地所有者になりすました人物A(厳密には,その人物の息子と称する者)との間で売買契約を締結し,売買代金を騙しとられたと主張するXが,Aについて本人確認情報を提供した司法書士であるY1及び同人が社員となっている司法書士法人Y2に対し,Y1には誤った本人確認情報を提供し...
《解 説》
1 Aは,平成9年12月,脳出血のため入院して右片麻痺及び失語症と診断され,平成10年7月にいったん退院した。Aは,平成15年8月,肺がんのため再入院していたところ,同年9月,入院先の病院内において口のきけない者が秘密証書によって行う遺言の方式により,その所有する財産一切を妻で...
《解 説》
1 事案の概要
黒澤明監督の作品である「静かなる決闘」及び「羅生門」(本件映画)の著作権者である一審原告が,本件映画のDVDを輸入販売している一審被告に対し,著作権法112条に基づき差止め及び廃棄を求めたのに対し,一審被告が本件映画の著作権は存続期間の満了により消滅したとして...
《解 説》
1 本件は,X1ら(被控訴人)の被承継人X(1審原告)が,X所有の土地建物(以下「本件土地建物」といい,特に建物を「本件建物」という。)に対する担保不動産競売事件に関し,Xが刑事施設に収容中であったにもかかわらず,執行裁判所の裁判所書記官(以下「本件書記官」という。)がXの住居...
《解 説》
AはB運転のレンタカーに同乗中,同車が漁港内海に転落水没したため溺死した。Aの相続人であるXらはAを被保険者とする搭乗者傷害保険契約に基づき,保険者Yを相手に保険金請求の訴えを提起した(基本事件)。次いでAを被保険者とし,死亡保険金受取人がX1である普通傷害保険契約及び交通傷害...
《解 説》
1 本件は,Yに対して既に確定判決を得ているXがY所有の不動産に対して申し立てた仮差押えを不適法として,当該申立てを却下した原決定に対してXが抗告を申し立てた事案である。
2 原決定がXの本件申立てを却下した理由は,Xにおいて,債務名義となる前記確定判決がYに送達され,かつ,...
《解 説》
1 本件は,被告人が普通乗用自動車を運転し,進路前方を同方向に進行中の普通乗用自動車を右側から追い越して左方に戻る際,更にその前方を同方向に進行中の被害者運転の原動機付自転車右側部に自車左側部が衝突し,被害者の死亡を招いたが,救護義務,報告義務を怠った,という業務上過失致死,道...