最も長い歴史をもつ判例実務誌
《解 説》
1 本件は,Xらが,いずれも20歳以上の大学生又は看護専門学校生であった当時疾病にかかり又は負傷したとして,大阪府知事らに対し,国民年金法に基づく障害基礎年金の支給裁定を請求したところ,同知事らが,Xらはいずれも平成元年法律第86号による改正(平成元年改正)前の国民年金法が定め...
《解 説》
1 本件は,弁護士であるXが,所属弁護士会から業務停止3月の懲戒処分(以下「本件懲戒処分」という。)を受け,弁護士法(平成15年法律第128号による改正前のもの。以下同じ。)59条に基づきY(日本弁護士連合会)に対する審査請求をしたが,審査請求を棄却する裁決(以下「本件裁決」と...
《解 説》
1 本件は,住吉税務署長が,原告が破産管財人個人に対して支払った破産管財人の報酬及び原告が破産者の元従業員らに対して配当した退職金等について,破産者に対して源泉徴収に係る所得税の納税告知処分及び不納付加算税賦課決定処分をしたのに対し,原告が本件各処分に係る納税義務が存在しないこ...
《解 説》
1 Xは,AのXに対する貸金債権を担保するため,自己の所有する本件不動産に譲渡担保を設定し,譲渡担保を原因としてAに対する所有権移転登記をした。被担保債権の弁済期が経過した後,Aの債権者Yが本件不動産につき強制競売を申し立て,同競売に基づく差押登記がされた。Xは,同差押登記後に...
《解 説》
1 特許法(平成16年法律第79号による改正前のもの。以下同じ。)35条3項は,同条1項所定の職務発明について,特許を受ける権利を使用者に承継させた従業者は,相当の対価の支払を受けることができる旨を定めている。
Xは,Yの従業員であった当時,職務発明として,レーザー光を利用し...
《解 説》
1 本件は,公正証書の正本に基づいて相手方である債権者から債権差押命令及び転付命令(以下「本件各命令」という。)を受けた抗告人らが,相手方による強制執行を行う権利の放棄又は相手方との間での強制執行を行わない旨の不執行の合意(以下,これらを「不執行の合意等」という。)を理由として...
《解 説》
1 本件は,徳島県の旧木屋平村の発注する公共工事の指名競争入札に昭和60年ころから平成10年度まで継続的に参加していた建設業者(X)が,同11年度から同16年度までの間,村長から違法に指名を回避されたと主張して,国家賠償法1条1項に基づき,合併により木屋平村の地位を承継した美馬...
《解 説》
1 本件は,未破裂脳動脈りゅうの存在が確認された患者が,防衛医科大学校病院において,動脈りゅう内にカテーテルでコイルを挿入して留置し,りゅう内をそく栓する「コイルそく栓術」を受けたところ,術中にコイルがりゅう外に逸脱するなどして,脳こうそくが生じ,死亡したことから,患者の遺族が...
《解 説》
1 本件は,次のような事案である。被告人は,同棲していた女性との間で別れ話が決定的となった後に,女性に交際中の費用負担を求めるなどして電話やメールを繰り返し,着信拒否されたため,その解除を求め,解除しなければ何らかの行動を起こすような趣旨の手紙を4回にわたり郵便受けに投函するな...
《解 説》
1 本件は,刑訴法411条2号(刑の量定の甚だしい不当)による原判決破棄の事案である。事件は,祖父母が次女の下から当時3歳の孫を自宅に連れ戻した未成年者誘拐であり,1審判決で祖父母両名がいずれも実刑に処せられ,両名からの控訴を棄却した控訴審判決が職権で破棄されて執行猶予が付され...
《解 説》
1 本件は,指定確認検査機関であるX1及びX2において確認検査員が実地に行うべき検査業務を補助員に単独で行わせていたなどとして,被告国土交通省近畿地方整備局長がX1及びX2に対しそれぞれ建築基準法77条の35第2項の規定に基づく1か月の業務停止処分及び同法77条の30の規定に基...
《解 説》
1 A市は,同市の元市長B1,元助役B2,元企画部長B3がB1らを被告として提起された地方自治法(平成14年法律第4号による改正前のもの。以下「旧法」という。これに対して改正後のものを「現行法」という。)242条の2第1項4号に基づく住民訴訟において勝訴したことから,旧法242...
《解 説》
1 Yは,知的障害者更生施設を設置・運営している社会福祉法人であり,平成15年12月当時,役職者(施設長,副施設長,事務長,支援次長,支援課長,支援係長)及びその他の職員(支援員,看護師,事務員,栄養士兼管理人)が勤務していた。Xらは,Yにおいて支援員として勤務する職員の一部で...
《解 説》
1 本件は,X(上告人,被控訴人,原告)が,Y(被上告人,控訴人,被告)との間で,従前被上告人方にあった洗面台を本件洗面台に代金32万円で取り替える旨の契約(本件契約)を締結したところ,Yが残代金を支払わない旨主張して,Xが,Yに対し,本件契約に基づき,残金27万円と遅延損害金...
《解 説》
1 本件は,小学4年生のA及びBが公園内において軟式ボールでキャッチボールをしていた際,ピッチャーをしていたAが誤って付近で遊んでいた小学5年生のCの心臓部に投球を当てたため,Cが心臓振盪を引き起こして死亡したとして,Cの両親であるXらがA及びBの各両親であるYらに対し,民法7...
《解 説》
1 事案の概要
Xは,平成7年秋にオリーブ橋小脳萎縮症(OPCA。運動失調を主症状とする原因不明の神経変性疾患である脊椎小脳変性症の一つ)を発症し,平成12年8月4日永久気管ろうが造設され,平成13年4月には嚥下困難と食思不振が認められたため,胃ろうが造設された。そして,Xは...
《解 説》
1 本件は,損保会社であるYとの間で自動車総合保険(車両保険)契約を締結していた会社であるXが,Xの役員(X役員)が使用していたX所有の自動車(トヨタ・セルシオ,本件車両)が盗難事故(本件盗難)にあったとして,Yに対して保険金を請求した事案である。
本件車両には,盗難防止装置...
《解 説》
1 事案の概要
本件は,製薬会社である被告の営業担当部署の従業員であった原告が,被告に対し,「洗浄処理剤」との名称の特許権に係る発明(本件発明)が自己の職務発明であるとして,その対価の一部として5000万円を請求する事案である。
本件発明は,半導体基板表面に施された金属配線...
《解 説》
1 本件の基本事件は,A社が手形の不渡処分を免れるため,Y銀行に手形の不渡異議申立預託金を預託していたところ,X社は,A社からその手形の不渡異議申立預託金の返還請求権の譲渡を受けたとして,Y銀行に対し,その譲受債権(本件債権)の履行を求めた事案である。X社は,本件債権の履行場所...
《解 説》
1 本件は,原告について開始された民事再生手続において,被告が届け出た再生債権についてされた再生裁判所の査定決定に対し,原告が異議の訴えを提起した事案である。
2 原告は,被告に対して保証債務を負担し,被告に対する一切の債務を担保するため銀行である被告に対して有する定期預金債...
《解 説》
1 本件は,食肉加工品の製造,販売等を行う被告会社が,不正の行為によりいわゆる差額関税を免れた輸入貨物である冷凍豚肉を,その輸入会社から有償で取得したとして起訴され,検察官の求刑の3倍に相当する罰金3000万円に処せられたという事案である。国内でも屈指の食肉加工品販売会社による...