最も長い歴史をもつ判例実務誌
《解 説》
1 本件は,平成6年4月にY1(旭川市)を保険者とする国民健康保険の一般被保険者(全被保険者から退職被保険者及びその被扶養者を除いた被保険者)の資格を取得した世帯主であるXが,平成6年度から同8年度までの各年度分の国民健康保険の保険料について,Y1から賦課処分を受け,Y2(旭川...
《解 説》
1 事案の概要
(1) ①事件は,平成12年法律第112号による改正前の出資の受入れ,預り金及び金利等の取締りに関する法律の一部を改正する法律(昭和58年法律第33号)附則(以下,単に「附則」という。)9項所定の業務の方法による貸金業のみを行う日賦貸金業者であるYが,同項1号...
《解 説》
第1 事案の概要
①事件,②事件ともに,貸金業者であるXが利息及び遅延損害金の利率について利息制限法所定の制限利率を超える約定をして行った貸付けに関する訴訟である。Xによる貸付けについては,いずれも,元利金を分割払とした上で,債務者が元本又は利息制限法1条1項所定の利息の制限...
《解 説》
1 本件は,「天理教」との名称の宗教法人Xが,「天理教豊文教会」との名称の宗教法人Yに対し,その名称の使用は,不正競争防止法2条1項1号又は2号所定の不正競争に該当し,又はXの名称権を侵害するものであるとして,当該名称の使用の差止め等を求めた事案である。
Yの前身は,大正14...
《解 説》
1 事案の概要
(1) 平成9年10月9日,NHKの午後7時のニュースで,日本A2・プロダクツ(A2JP)が原材料を水増しして77億円の所得隠しをしていたと伝え,日本の国税当局(国税庁)が同社に対し,重加算税を含めておよそ35億円を追徴課税したこと,所得隠しをした利益をアメリ...
《解 説》
1 Xは,その所有する不動産(本件不動産)の賃貸に係る事務等をAに任せていたところ,Aは,Xから預かっていた登記済証,Xから交付を受けた印鑑登録証明書及びXの実印を押捺した登記申請書を利用して,Xに無断で本件不動産につきXからAに対する所有権移転登記をした上,これをYに売却して...
《解 説》
1 本件は,被告会社(控訴人・上告人)の代表者個人(被告・控訴人・上告人)に対して貸金債権(別件貸付け)を有していた原告会社(被控訴人・被上告人)が,被告会社との間で,被告会社の所有する本件土地建物について買戻特約付売買契約を締結し(本件契約),その買戻期間が経過したとして,本...
《解 説》
1 事案の概要
本件は,連続幼女誘拐殺人事件として著名な事件である。その犯罪事実は,次の5件からなる。
① 昭和63年8月 当時4歳の女児Aを誘拐・殺害し,死体を損壊した事件
② 同年10月 当時7歳の女児Bを誘拐・殺害した事件
③ 同年12月 当時4歳の女児Cを誘拐・...
《解 説》
1 本件は,静岡県(以下「県」という。)の住民であるXら(原告,控訴人,上告人)が,県議会議員として在職したことがある者のうち会則の趣旨に賛同する者により組織された権利能力のない社団であるY4(被告,被控訴人,被上告人)に対して県がした補助金の支出は公益上の必要性を欠き違法であ...
《解 説》
1 本件は,所在地番及び床面積の表示において実際と異なる登記がされている建物が,借地借家法10条1項にいう「登記されている建物」に当たるかどうかが争われた事案である。
Xは,本件土地を競売により取得し,同土地上の建物(本件建物)に居住しているYに対し,所有権に基づく妨害排除請...
《解 説》
1 本件は,80歳を越えた女性が,脳こうそくの発作でYの開設する病院に入院し,その後,急性期から安定期に移ったことから,一般病室へ移ったところ,同病室には,MRSAの保菌者が在室しており,同女もMRSAに感染するなどした後,全身状態が悪化して死亡したことから,その相続人であるX...
《解 説》
1 本件は,金融機関であるX信用金庫が,A社に対する貸金債権の担保として,A社から本件特許権を目的とする本件質権の設定を受け,その登録申請をしてこれが受け付けられたにもかかわらず,特許庁の担当職員の過失により,これに後れて登録申請及び受付けのされた当該特許権の第三者(B社)への...
《解 説》
1 本件は,妻が歯科医師たる夫に対し,民事執行法151条の2の規定に基づき,確定期限の到来していない婚姻費用分担請求権を請求債権として,その確定期限の到来後に弁済期が到来する夫の診療報酬債権の差押えを求めた事案である。本件においては,診療報酬債権が同条第2項に規定する「継続的給...
《解 説》
1 本件は,業務上過失傷害1件,道路交通法違反6件(うち2件は,道路運送車両法違反,自動車損害賠償保障法違反と観念的競合)の事案である。
これらの全7件中1件は,過失による一方通行違反の罪(道路交通法119条2項,1項1号の2)であり,法定刑は罰金刑(10万円以下)のみである...
《解 説》
1 本件は,タクシー事業を営むXが,Y町の行政財産であるY駅の駅前広場の一部である本件土地を,客待ちのための駐車場として利用することを目的として,地方自治法238条の4第4項に基づき,目的外使用許可申請をしたところ,本件土地の管理者であるY町長が,これを不許可としたため,その取...
《解 説》
1 Yは,平成6年7月12日,都市再開発法(以下「法」という。)に基づき設立した法人であり,津山市の中央街区の開発事業を施行するものであるが,平成11年3月,Yが計画した再開発ビル「アルネ津山」(以下「本件ビル」という。)の建築が完成した。
しかし,平成13年5月頃,Yの工事...
《解 説》
1 Xは刑務所で受刑中にAらを被告として別件民事訴訟を提起し,担当のB裁判官は,第1回口頭弁論期日を指定したが,同期日には双方当事者とも出頭しなかったため,期日を延期し,第2回口頭弁論期日を指定した。同期日の呼出状は,Aらには送達されたが,Xへは送達されなかった。第2回口頭弁論...
《解 説》
1 本件事案は,概要,次のとおりである。原告は,地元の工業高校を卒業して精密小型モーターの製造・販売を目的とする会社である被告に入社した。原告は,組合活動歴が長く当時は組合の執行委員の地位にあり,長年にわたり被告の製造工程で勤務してきたところ,目を患い,当時担当していたモーター...
《解 説》
1 Xは食料品等の輸出入等を業とする会社,Yは料理飲食店の経営等を業とする会社である。XとYは,平成12年8月ころ,Xが,Yの経営するファーストフード店で販売する肉まんを製造し供給することを内容とする肉まん供給業務委託契約(本件契約)を締結した。本件契約においてはXが製造する肉...
《解 説》
1 本件は,マンションの管理組合Xが,同マンション居室(本件居室)の区分所有者Y1とその賃借人Y2に対し,Y2が本件居室をカイロプラクティック治療院として使用していたことから,使用態様がマンション管理組合の管理規約に違反し,区分所有者の共同の利益に反しているとして,いわゆる区分...
《解 説》
1 事案の概要
Xは,Yの経営するエステティックサロンにおいて,平成7年6月3日から,顔面等を中心にマッサージを行うエステティックの施術を継続的に受けていたが,平成13年12月21日,Yから,従前のエステティック施術と使用する薬剤もマッサージ方法も異なる顔面マッサージの施術(...
《解 説》
1 本件は,XとY1が共同新設会社分割により新会社Zを設立し,Y1がその翌期である平成15年3月期の決算において,会社分割により取得したZの株式の評価について,従前の会計方針を変更して税法基準を採用し,「卸売事業の会社分割の利益」として3億2265万円余を計上したことが,「公正...
《解 説》
1 事案の概要原告は,「RENAPUR」なる商標の専用使用権者であったが,後に商標権者となった。被告は,被告容器本体及び包装箱に,判決末尾の態様の「ラナパー」及び「Renapur」なる標章(被告標章)を付したレザートリートメントを輸入販売している。
本件は,原告が,被告に対し...
《解 説》
1 Yは皮膚用医薬部外品及び化粧品等の製造販売を業とする株式会社である。原告Xら(X1とX2)は,Yの従業員であった平成3,4年ころ,特定の物質を有効成分とする育毛剤(本件発明)を共同(貢献割合は各2分の1)で職務発明し,特許を受ける権利をYに承継させ,Yは特許を取得した。Yは...
《解 説》
1 本件は,「チョコエッグ」(チョコレートの中に入ったカプセルに精巧な動物等の模型(俗に「フィギュア」といわれる。)を封入した商品)などの菓子について,菓子業者と模型業者間に生じた紛争である。
フィギュア製造業者であるXと菓子業者であるYは,フィギュア入り菓子を販売するに当た...
《解 説》
本件は,Yが運営するインターネット上の掲示板に記載された情報によって名誉,プライバシー又は名誉感情を傷つけられたとするXが,Yに対し,特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律(以下「プロバイダ責任制限法」という。)4条1項に基づく発信者情報の開...
《解 説》
1 本件は,建設業者であるYとの間で自宅新築工事の請負契約を締結したXが,同工事には,設計・施工上の瑕疵があるとして,Yに対し不法行為又は請負人の瑕疵担保責任に基づく損害賠償を請求した事案である。
Yは,本件請負契約に関して紛争が生じた場合には,愛知県建設工事紛争審査会の仲裁...
《解 説》
1 本件は,被告人Aが,会社の資金繰りに窮し,その経営に係る会社の役員であったDを殺害してその生命保険金を取得することを企図し,同社の名目上の代表取締役であるEにDの殺害を指示し,EがDを殺害する目的で,同人を自動車の助手席に乗せた状態で加速しながら対向車に衝突したが未遂にとど...