最も長い歴史をもつ判例実務誌
《解 説》
1 事案の概要
被告人は,かねてから航空関係に強い関心を持っていたが,空港の図面を見るなどして,羽田空港の警備上の欠陥に気付き,一定の方法を用いれば凶器を航空機内に持ち込むことが可能であることなどに気付いた。そこで,同空港関係者らにあてて,その欠陥及び対策の詳細な内容と,自己...
《解 説》
1 本件は,農業共済組合である被告(被上告人)が,農業災害補償法(以下「農災法」という)に基づき,稲作を営んでいる原告(上告人)が支払うべき農作物共済の掛金を,滞納処分として差し押さえたところ,原告が差押えの無効確認又は取消しを求めた事案である。
2 農災法は,農業者が冷害や...
《解 説》
1 事案の概要
(1) Xは,自宅であるマンションに1人で居住していたところ,平成7年6月13日午前1時30分から2時10分ころまでの間,上記マンションの窓から侵入した男(以下「犯人」という。)にカッターナイフを向けられるなどして脅迫され,強姦された上,財布も強取されるという...
《解 説》
1 本件は,県営団地の入居者によって構成され,権利能力のない社団である自治会の会員による当該自治会を退会する旨の申入れの有効性が問題となった事案である。
Xは,県営住宅(本件団地)の入居者を会員とする自治会であり,会員相互の親ぼくを図ること,快適な環境の維持管理及び共同の利害...
《解 説》
1 事案の概要
本件は,約15メートルの高低差がある傾斜地に地下4階地上3階建てのマンション(以下「本件建築物」という。)を建築する旨の確認申請がなされ,被告建築主事が建築確認処分(以下「本件処分」という。)をしたところ,建築予定地周辺に居住する原告らが,建築基準法の高さ制限...
《解 説》
1 本件は,弁護士である原告が,被告(大阪労働局長)に対し,行政機関の保有する情報の公開に関する法律(平成15年法律第61号による改正前のもの。以下「情報公開法」という。)に基づいて,労働基準法36条1項に基づく労使間協定(以下「36協定」という。)の届出書の開示を請求したとこ...
《解 説》
1 本件事案の概要は次のとおりである。A地方労働委員会は,X組合がY会社を被申立人として申し立てた不当労働行為救済申立事件について,Y会社N運輸区のK首席助役(以下「K首席助役」という)が,平成6年9月16日及び同月24日,主任運転士昇進試験の面接試験練習において,X組合の組合...
《解 説》
1 本件は,Xらが,Y1に対し,Xらが共有持分を有する土地(Y1名義)について,Y1の債務を担保する抵当権の実行による競売によって売却されたとして,法定代位に基づき,売却代金相当額の求償金の支払を求め,Yらに対し,同法定代位に基づく請求権を保全するため,詐害行為に基づき,Y1か...
《解 説》
1 本件は,旧東海銀行を合併した原告が,東海銀行との間で昭和58年7月に元本極度額を1億円とする連帯保証契約を締結した被告に対し,昭和59年11月の債権額6000万円の貸金債権及び昭和61年3月の4000万円の貸金債権に係る保証債務の履行を求めた事案であるが,その請求額は,長期...
《解 説》
1 本件第1事件は,能楽の狂言方和泉流二十世宗家を称するXの属するY1社団法人能楽協会のY2理事らが記者会見において,Xが公演のダブルブッキング,遅刻,早退等を繰り返し,また,Y1に対する誹謗中傷を繰り返したことがY1定款の除名・退会命令事由に該当するとして,その処分の可否を問...
《解 説》
1 本件は,平成12年12月16日に破綻した中小企業等協同組合法3条2号に基づく信用協同組合である被告に平成10年8月から平成12年5月までの間に追加出資した原告らが,同出資の際,①被告の旧経営陣(理事)において,被告が,平成8年以降継続的に実質的な債務超過状態だった(主位的主...
《解 説》
1 X1は,平成11年5月に破綻した朝鮮民主主義人民共和国系の信用組合であり,Y1は,同国の海外公民団体として日本に設立された法人格なき社団である。X1の破綻に伴う調査の中で,平成6年12月29日から平成10年4月22日まで合計13回にわたり,当時のX1理事長A(弁論分離前の相...
《解 説》
1 訴外Aは,平成11年7月当時,高校1年生であったが,同月28日,高校野球部の練習でランニング中,気分を悪くして意識を失い,救急車でYの経営する病院に搬送された。
そして,Aは,同病院に入院し,脱水・熱中症と診断され,治療を受けていたが,高熱が続き,肝機能が増悪するなどした...
《解 説》
1 Xは,平成5年2月,左眼の視力低下と視野欠損を訴えてYの設置するA病院に通院し,原発開放隅角緑内障と診断され,同年9月,これに対する手術を受けたが,その後,右眼に白内障があり進行していることが判明したため,平成10年8月,A病院において,右眼の白内障の手術を受けた。
しか...
《解 説》
1 X1は,平成9年12月以降,Y1の経営するA病院で診察を受けていたが,平成10年8月4日,突然大量の性器出血があったため,自動車で急いでA病院に向い,入院した。
そして,A病院の医師Y2は,診察の結果,出血の原因は子宮頸管の断裂等であって問題なく,すでに陣痛が始まっている...
《解 説》
1 訴外A(昭和23年生)は,平成4年2月,Yの設置する「福島労災病院」において診察を受けたところ,「睡眠時無呼吸症候群」と診断され,その後,右脚の伝導障害が発症し,心筋炎,肺塞栓等の症状がみられたため,平成5年1月,同病院に入院した。そして,Aは,同病院において,両側扁桃切除...
《解 説》
1 訴外A(昭和2年生)は,平成8年1月,不安定狭心症と診断されたため,Yの経営する「大阪労災病院」に入院して,心臓カテーテル検査及びその治療を受けることになり,3回にわたって経皮的冠動脈形成術(PTCA)を受けたが,冠動脈の血流及び心機能の改善が認められず,同年2月,急性心筋...
《解 説》
1 本件は,被相続人の妻と子らが妻(母)に遺産全部を相続させるとの合意をし,この合意に基づき被相続人の子らが相続放棄の申述をしたが,被相続人には生前被相続人と交流がほとんどなかった兄弟がいて,被相続人の子らの前記相続放棄により,同兄弟が相続人となることが分かったため,相続放棄し...
《解 説》
1 Xは,米国コロラド州デンバー市において,在米邦人向けの新聞社を経営し,在米邦人に向けて,日本語新聞や地元誌を発刊したり,同新聞社のホームページを開設してデンバー市の生活情報を提供したりする一方,写真家としても活動していた。本件著作物は,日本の国旗とコロラド州旗を背景に,テン...
《解 説》
1 X会社は,かつらその他毛髪に関する製品の販売,増毛法の指導及びかつらの利用者に対する理容・美容などの役務の提供を営業内容としている会社であり,Y会社は,A市内で,かつらのメンテナンス及び美容業を行うB美容室を開設している会社である。Zらは,X会社の元従業員であり,X会社退職...
《解 説》
1 本件は,被告人が,窃盗目的で隣家に侵入して現金等在中の手提げバッグ1個を窃取した後,だれからも追跡されることなくいったん自宅に戻ったものの,隣家から退出する際に背後で物音がしたのを聞いたことから,同所に在宅していた被害者に犯行を目撃されたと考え,口封じのために同人を殺害しよ...