最も長い歴史をもつ判例実務誌
《解 説》
1 本決定は,いわゆる横浜事件の被告人5名の遺族らによってなされた再審請求につき横浜地裁が平成15年4月15日にした再審開始決定(判時1820号45頁)に対する即時抗告申立事件に係るものである。
2 いわゆる横浜事件とは,周知のとおり,昭和17年9月から昭和20年5月にかけて...
《解 説》
1 Xは医師であり,Y1は膣形成手術の相談のためにXの診察を受けた者である。Y1が週刊誌の記者に対して診察の際にXからセクシャル・ハラスメントを受けた旨の情報を提供したことを受けて,同記者は,Xに取材を行い,A週刊誌に「女性患者が告白!性転換手術医師 埼玉医大 密室の“勇み足”...
《解 説》
1 本件は,青色申告の承認を受けた法人が税務調査において帳簿書類の提示を求められたにもかかわらずこれに応じなかった事案において,法人税の青色申告承認の取消処分,消費税及び地方消費税の更正処分並びに過少申告加算税賦課決定の適法性が争われた事件であり,判示事項は,このうち青色申告承...
《解 説》
1 本件は,大分県(以下「県」という。)の住民であるX(原告,控訴人,被上告人)らが,平成9年に大阪市等で開催された全国都道府県議会議員軟式野球大会(以下「本件野球大会」という。)に参加する県議会議員を応援する用務等を目的とする県総務部長らの出張に係る旅費の支出は違法であるとし...
《解 説》
1 本件は,抵当権者が抵当権に基づく妨害排除請求権を行使し,抵当不動産の占有者に対し抵当不動産の明渡しを請求するに当たり,その要件,効果等が問題となった事案である。
2 X社は,A社の注文により,A社所有の土地上にホテル(本件建物)を建築した。A社は,請負代金の大部分を支払わ...
《解 説》
1 Xは,土木建築請負業を目的とする会社であり,Yは,食料品類,衣料,日用品雑貨の販売等を目的とする会社である。Xは,Yの要望に沿った本件建物を建築し,平成6年7月,期間20年の約定で,これをYに賃貸した。本件建物は,大型スーパーストアの店舗として使用する目的の建物であり,これ...
《解 説》
1 Y大学構内にある白翁稲荷神社は,京都伏見稲荷神社の分社で,戦前は旧帝国陸軍の守護神であったが,戦後,連合軍の指示で構外に移転したものの,昭和31年ころ,再び構内に戻され,現在に至っている。
Xは,松本市に居住する帝京大教授であるが,大学の構内に神社を設置することは,明らか...
《解 説》
1 トルコ共和国国籍を有するX(1審原告)は,平成7年11月15日,短期滞在の在留資格で本邦に入国後,同月29日に日本人女性と結婚し,「日本人の配偶者等」の在留資格を得たものの,平成9年9月29日に協議離婚したことから,平成10年7月16日,「定住者」の在留資格に変更する旨の申...
《解 説》
1 Xは,洗濯洗浄製品等の販売等を行う外国法人であるY1の従業員であり,Y2はXの上司であった。
Y1の組織は,取り扱う各製品群別に営業戦略の立案等を担当するGBU(グローバル・ビジネス・ユニット),市場戦略の開発等を担当するMDO(マーケット・ディベロップメント・オーガニゼ...
《解 説》
1 X(昭和26年生)は大工であり,平成10年11月5日,神奈川県茅ヶ崎市内のマンションの新築現場において,卓上電動丸のこぎりを使用して内装工事に従事していたが,同のこぎりの刃に誤って右手指が触れ,右手指3本を切断するという傷害(以下「本件傷害」という。)を負った。
そこで,...
《解 説》
1 本件は,廃油の収集,処理等を業とする被告の従業員であったAが,被告本社工場にある廃溶剤タンクの清掃作業に従事した際,前記タンクの内部において,有機溶剤中毒により死亡した事故について,Aの父親である原告が,前記事故は被告の安全配慮義務違反により発生したものであるとして,民法7...
《解 説》
1 Xは,ゴルフ場やゴルフ会員権に関する法律問題を扱い,ゴルフ場業界においてもこれらの法律問題に詳しいとして広く知られている弁護士であるが,実子が代表者である訴外A会社の訴訟代理人として,訴外B会社を相手方として,ゴルフ会員権の預託金の返還を求める別件訴訟を提起した。
別件訴...
《解 説》
1 Xは,平成9年4月,マヨネーズ等の製造販売等を目的とするY2(会社)に入社し,商品開発部に在籍していた者であるが,平成13年9月,会社主催の「商品開発新チーム」の飲食会が開催されたため,メンバー17名とともに出席したが,同会には,責任者として専務取締役のY1も出席していた。...
《解 説》
1 訴外Aは,平成11年10月当時,長野市のタクシー会社に勤務していたが,同月20日,タクシー運転中に,Yの運転する自動車に追突され,頸椎捻挫等の傷害を負った。
そして,Aは,その直後,救急車で市民病院に搬送されて受診した後,他の病院で受診し,その後通院治療を受けて軽快したの...
《解 説》
1 訴外Aは,平成4年11月,乳癌に罹患していることが判明したため,Yの開設する病院において,乳癌の摘出手術を受け,平成5年1月,軽快退院した。そして,その後,Aは,定期的に通院するなどして,抗癌剤の投与等を受けたほか,理学的検査,腫瘍マーカー,血液検査,生化学検査,骨シンチ検...
《解 説》
1 Xは,平成6年4月ころから頭痛と倦怠感に悩まされるようになったため,東北公済病院において診察を受けたところ,慢性糸球体腎炎と診断された。
その後,Xは,Yの「クスリをいっさい使わないで病気を治す本」を読み,自分もクスリを使わないで病気を治すことにし,平成6年7月から,Yの...
《解 説》
1 X1の母X3は,平成4年6月頃妊娠し,同年8月から,Yの設置する「沼津市立病院」において,診察等を受けていたところ,平成5年4月2日,陣痛を感じたため,同病院に入院し,同日午後7時46分,帝王切開によりX1を娩出したが,X1は,出生時重症仮死状態にあったため,重篤な脳性麻痺...
《解 説》
1 事案の概要
被相続人Aは,カネミ油症患者であり,他の原告らとともに,いわゆる「カネミ油症事件損害賠償訴訟」を提起していたものであるが,控訴審である福岡高裁で一部勝訴した(福岡高判昭59.3.16判タ1109号24頁)。この判決には,仮執行宣言が付されていたので,Aは,強制...
《解 説》
1 Xは,NTT(日本電信電話株式会社)の電話料金のビリング業務(請求書作成及び発送業務)のためのコンピュータプログラム(本件各プログラム)を作成した株式会社である。Y1(エヌ・ティ・ティ・リース株式会社)は,知的所有権の取得,リースなどを目的とする株式会社であり,いわゆるNT...
《解 説》
1 本件は,Aに対して連帯保証債務履行請求権を有する申立人が,法人格否認の法理によりAと相手方ら(会社)とを同視して相手方らに対する訴え提起を予定しているなどとして,相手方らの代表者の住所地等を検証場所,相手方らの商業帳簿等を検証目的物,相手方ら等を検証目的物所持人とする証拠保...
《解 説》
1 本件は,当時40歳の元会社員が元上司宅に郵便配達を装って侵入し,被害者を緊縛するなどしてその金品を強奪し,高齢の被害者をそのまま放置して死亡するに至らしめた住居侵入,強盗致死事件で,被告人に無期懲役が科された事案である。事案及び争点等の詳細は,判文を参照されたいが,被害者は...