最も長い歴史をもつ判例実務誌
《解 説》
第1 事案の概要
1 Xは,昭和47年10月にAと婚姻したが,平成5年2月にAと調停離婚した。Yが平成8年6月8日(土曜日)午前8時35分から,NHK総合テレビジョン番組「生活ほっとモーニング」において,「妻からの離縁状・突然の別れに戸惑う夫たち」と題する放送(以下「本件放送...
《解 説》
1 本件は,佐賀県(以下「県」という。)の住民である上告人(原告,控訴人)らが,県の平成5年度,同6年度,同8年度及び同9年度の複写機リース会社に対する複写機使用料の支出の一部が水増しされた違法な支出であるとして,地方自治法(平成14年法律第4号による改正前のもの)242条の2...
《解 説》
1 はじめに
本件は,保険管理人によって設置された弁護士及び公認会計士を委員とする調査委員会が作成した調査報告書が民訴法220条4号ニ所定の「専ら文書の所持者の利用に供するための文書」に当たらないといえるか,同号ハ所定の「第197条第1項第2号に規定する事実で黙秘の義務が免除...
《解 説》
1 本件は,婚姻届を出さずに別居しながら子供2人をもうけ,約16年間にわたり婚姻外の男女関係(「パートナーシップ関係」)を続けた女性(原告)が,相手の男性(被告)から突然かつ一方的に関係解消を通告された上,被告が別の女性と婚姻したことによって精神的損害を受けたとして,慰謝料50...
《解 説》
1 本件は,高速道路を乗用車で走行していた被告人甲が,トレーラーを運転して同方向に走行していた他人乙の自動車の運転態度に立腹し,乙に文句を言い謝罪させようと考えて,乙車の前に自車を割り込ませて減速するなどして,執ように乙に停車を求め,ついには夜明け前の暗い高速道路のかなり交通量...
《解 説》
1 本件は,共同相続人間において,相続人の一人が遺産である預金全額の払戻しを受けたことに関し,不当利得の成否が争われた事案である。
Aは,甲信用金庫及び乙,丙銀行(以下「本件各金融機関」という。)に対し,普通預金等(以下「本件各預金」という。)を有していたところ,平成3年4月...
《解 説》
1 本件は,Y1が開設する総合病院であるA病院においてS状結腸がん除去手術(本件手術)を受けた男性患者B(当時57歳)が,手術後同病院において入院加療中,点滴により抗生剤の投与を受けた直後にアナフィラキシーショックを発症し,その後死亡したことについて,Bの妻子であるXらが,Y1...
《解 説》
1 本件は,別居期間2年4か月で7歳の未成熟子がいるケースにおいて,有責配偶者である夫が,妻の潔癖症を理由に離婚請求をした事案である。事案の概要は次のとおりである。
原告(夫,原審口頭弁論終結時34歳)と被告(妻,原審口頭弁論終結時33歳)は,平成6年に婚姻し,平成8年に長男...
《解 説》
1 本件は,Xを原告,国を被告とする損害賠償請求事件(基本事件)についての簡易裁判所の確定判決(基本事件判決)に対して,Xが再審請求をした再審事件の特別抗告審である。なお,再審請求係属中にY(日本郵政公社)が成立したことに伴い,Yが再審被告の地位を承継している。
2(1) 基...
《解 説》
本件は,殺人被告事件で起訴されたXが,Y県警察の警察官らがしたXを逮捕・勾留することなくして行った任意同行及び取調べが違法であるなどとして,Y県に対し,国家賠償法に基づき,損害賠償を請求した事案である。
Xは,亡Aと同棲していたが,平成9年11月10日,Aが同人宅で血を流して...
《解 説》
1 本件は,知的障害者である原告らが,勤務していた会社の経営者である被告Aから暴力行為等を受けたこと,適正な賃金が支払われないなどの劣悪な労働条件等の下で労働を強いられたこと,障害基礎年金を横領されたこと等につき,被告Aのこれらの行為が不法行為等にあたるとして,被告Aに対し損害...
《解 説》
1 本件事案の概要は次のとおりである。Xは,有価証券の売買取引等を行うために必要な有価証券市場を開設することを目的として設立された会社であり,N証券は,Xにおいて有価証券の売買取引等の媒介の業務を行っていた会社である。N証券は,平成11年4月27日,同年5月28日付けで廃業する...
《解 説》
開発業者のAは,新潟県の新発田土木事務所長から都市計画法による開発行為の許可を受け,宅地開発をした。その結果,同法40条に基づき地方公共団体である新発田市に帰属する公園用地が生じた。この公園用地は,元農地であったものを,開発業者のAが取得し,これを農地転用したものであった。そこ...
《解 説》
1 本件は,多重債務者である原告らが,いわゆるヤミ金融業者を発信者とする脅迫電報の配達を受けたことにつき,電報を取り扱った電気通信事業者である被告らに対し,受け付けた電報が違法な脅迫を内容とするものである場合にその受付け及び配達を差し止めるべき義務があるところ,かかる措置を執ら...
《解 説》
1 事案の概要
本件は,被告らから暴行を受けて死亡した被害者の両親である原告らが,被告らに対し,被害者から相続した被告らの共同不法行為による損害賠償請求権及び原告ら固有のそれに基づき,各自,逸失利益,慰謝料及び弁護士費用等の損害金の支払を求めた事案である。
2 本件の主たる...
《解 説》
1 Xは,平成11年4月当時,旭川医科大学の学生であったが,同大学の先輩であるYから誘われてドライブ中,深夜,人気のない場所で停車した車内で,Yから性交を求められ,これを拒絶すると,陰部に指を入れ,男性器を口に入れて口腔内で射精するなどのわいせつ行為を強要された。
そこで,X...
《解 説》
1 本件の事案は,次のとおりである。Xは,破産者A(宝飾品の販売を目的とする株式会社ココ山岡宝飾店)の破産管財人,Y1は,宝飾品の加工などを目的とする会社であって,Aと取引をしていた会社,Y2はY1の代表取締役,Y3はAのもと代表取締役社長であった者,Y4はもとAの専務取締役で...
《解 説》
1 Xは,女性問題や家庭内暴力等の問題等に係る活動を行ってきた者であり,Yは,作家である。Xは,Yに対して,Yを著者と表示して出版された書籍について,Xが単独又はYと共同で創作したものである旨主張して,著作権ないし著作者人格権に基づき,損害賠償の支払,謝罪広告の掲載及び本件書籍...
《解 説》
1 事案の概要
(1) 原告東芝及び原告日本電気は,平成7年ないし9年当時,我が国において,郵便番号自動読取区分機類のほとんどすべてを製造販売していたところ,被告は,原告らは公共の利益に反して,郵政省(当時)が一般競争入札の方法により発注する郵便物自動選別取りそろえ押印機等(...
《解 説》
本件は,業務上過失致死傷罪で裁判中の被告人が,死亡した被害者の両親の言動に立腹し,平成13年7月5日,両親の名誉を毀損する記事を,ホームページの掲示板に掲載し,両親の名誉を毀損したという事例である。
父親は,同年10月4日ころ,本件記事の掲載を知り,被告人が犯人ではないかとの...