最も長い歴史をもつ判例実務誌
《解 説》
1 本件は,XがY(国)に対し日本国籍の確認を求めた事案である。Xは,昭和20年8月14日,朝鮮慶尚南道に本籍を有する朝鮮人男子Aと埼玉県に本籍を有していた内地人女子Bとの間の非嫡出子として出生し,日本人であるBの子として日本国籍を取得した。Aは,昭和25年9月8日Xを認知した...
《解 説》
1 貸金業の規制等に関する法律(以下「法」という。)3条所定の登録を受けて貸金業を営むXは,Y1に対し,Y2及びY3の連帯保証の下,利息制限法1条1項所定の利息の制限利率を超える利率で42回にわたって金員を貸し付けた(貸付け1から42まで)。貸付け1から30までについては利息の...
《解 説》
第1 事案の概要
1 Xは,大学講師でいわゆる従軍慰安婦問題等の研究者であり,著書,講演,インターネットのホームページ,雑誌への寄稿やテレビジョン番組への出演等によってその意見を表明している。Xは,従軍慰安婦問題について,我が国に責任があり,従軍慰安婦であった者等に対し謝罪等...
《解 説》
1 Xは,法人税法(平成15年法律第8号による改正前のもの)2条10号に規定する同族会社に当たる有限会社の代表者で,その98%の出資持分を有する社員であるが,同会社に無利息,無期限,無担保で3455億2177万5000円を貸し付けた(以下「本件貸付け」という。本件貸付けがされた...
《解 説》
1 Xは,我が国においてプリンター,電子タイプライター等の製品(以下「本件製品」という。)を製造し,これを販売することを業とする会社である。Xは,昭和57年ころから,その子会社として設立した米国法人に本件製品を販売するという方法で,本件製品を米国に輸出していた。そして,同子会社...
《解 説》
1 本件は,名古屋市(以下「市」という。)の住民であるXらが,世界デザイン博覧会(以下「デザイン博」という。)で使用された施設及び物品を市が財団法人世界デザイン博覧会協会(以下「Y4協会」という。)から買い受けた契約が違法であるとして,地方自治法242条の2第1項4号(平14法...
《解 説》
1 A県B郡C町は,国及びA県から補助金の交付を受けて農業集落排水事業を行っていた。C町の町長Yは,平成8年度実施の事業としてD地区において施工する工事(以下「本件工事」という。)の内容を工事区間697メートル,予定価格8600万円余と決定して指名競争入札を行い,町議会に対し,...
《解 説》
1 本件は,K市交通局の主事として勤務し,K市交通労働組合の支部長をしていたXが,Xを管理職である営業所庶務係長に昇任させる旨の人事異動は,Xの労働組合員資格を失わせ,Xの組合活動への関与等を制限するものであり,労働組合法(以下「労組法」という。)7条1号の不利益取扱い及び同条...
《解 説》
1 本件は,被害者が公園のベンチ上に置き忘れたポシェット(以下「被害品」という。)をその立ち去った直後に領得した被告人の行為が,窃盗罪に当たるか占有離脱物横領罪にとどまるかという,窃盗罪の要件たる被害者の占有継続の有無が問題となった事案である。
2 本決定は,窃盗罪の成立を認...
《解 説》
1 本件は,被告人の支配・経営する会社が所有し,根抵当権及び抵当権(以下「根抵当権等」という。)の設定された不動産を任意売却する際に,真実は被告人が実質的に支配するダミー会社に売却するものであることなどを秘し,真実の買主でない者に売却すると偽った上,当該不動産の時価に相当する金...
《解 説》
1 Xは,Y1所属の弁護士であるが,A及びBからの懲戒請求に基づき,平成10年7月10日,Y1から業務停止1年の懲戒処分(本件処分)を受けた。Xは,同月29日,Y2に対し本件処分の取消しを求めて審査請求を行い,併せて,同年11月12日に第1回の,平成11年3月19日に第2回の本...
《解 説》
1 本件は,群馬県沼田市の住民である原告が,沼田市又は群馬県沼田土木事務所が平成7年4月1日から平成9年3月24日まで指名競争入札の方法により発注した本件各工事について,公正取引委員会による排除勧告を受けた本件談合各社(被告会社らを含む合計114社)の談合行為により,本件各工事...
《解 説》
1 事案の概要は次のとおりである(出来事はいずれも平成15年であるので,これを省略することがある)。XはIT関係の開発製造販売を業とするA社に勤務していたが,転職を決意し,平成15年5月28日,コンピュータの周辺機器の設計・開発・製造及び販売を業とするY社の入社試験を受けた。Y...
《解 説》
1 はじめに
本判決は,独占禁止法24条の差止請求及び一般民事上の継続的商品供給契約の解約の有効性を主要争点とする地位確認等の請求に関するものである。まず,独占禁止法上の差止請求については,不公正な取引方法となる行為が出荷停止という不作為である場合であっても,給付という作為を...
《解 説》
1 本件事案の内容は,判文自体から必ずしも明らかではないが,判示事項に関する部分のみを摘録すると,平成13年12月,Yが家屋内の石油ストーブに給油する際,給油口からこぼれた石油にストーブの火が引火して火災が発生し,隣りのX宅に飛火してXの建物や家財を焼損したため,Xが,Yに対し...
《解 説》
1 Xらの子Aは,平成9年4月26日午後11時ころ,Yと2人乗りをしていた原動機付自転車(本件車両)が左側にカーブした道路を曲がりきれず,コンクリート塀に衝突するという事故(本件事故)により,同年5月1日死亡した。
本件は,Aの両親であるXらが,本件事故時の本件車両の運転者は...
《解 説》
1 本件の事実経過は,概略,以下のとおりである。すなわち,Aは,平成9年5月25日午後7時45分頃,腹痛のため救急車にてY1病院に搬送され,当時の当直であったB医師の診察を受け,検査の結果,重症急性膵炎との診断名で緊急入院となり,輸液,膵酵素阻害剤などの投与を受け始めた。同月2...
《解 説》
1 事案の概要
原告が交通事故により被った後遺障害が,被告らとの間で締結した保険契約または共済契約の保険約款または共済事業規約,同実施規約に定める高度障害状態,重度障害(身体障害等級1級)または後遺障害等級1級に該当するとして,被告らに対し上記契約に基づき保険金または共済金の...
《解 説》
1 事案の概要
「puma」等の商標につき商標権を有する原告が,被告が,「puma」等の標章を付してボストンバッグ等を販売する行為が原告の商標権等を侵害するものであるとして,商標法38条2項,39条に基づき,損害賠償金の支払及び謝罪広告の掲載を求め,これに対し,被告が,上記ボ...
《解 説》
1 本件は,経営破たんした信用組合大阪弘容から損害賠償請求権等を譲り受けた原告が,「大阪弘容の理事長であった被告は,回収見込みのない8億円の高額融資(本件融資)をトップダウンで強引に実行させた。」などと主張して,中小企業等協同組合法38条の2第1項に基づき,本件融資によって大阪...