最も長い歴史をもつ判例実務誌
《解 説》
1 本件は,医師法21条が定める医師の異状死体に関する警察への届出義務違反が問題となったものである。同条は,医師が,死体や妊娠4か月以上の死産児を検案して異状を認めた場合には24時間以内に警察署へ届け出なければならない旨を罰則付きで定めている。
事案の経緯は,都立病院で,看護...
《解 説》
本件は,都立広尾病院の院長であった被告人が医師法違反等に問われた事案である。
患者Kは,関節リウマチを発症し,広尾病院に入院してA医師による中指滑膜切除手術を受けた。手術は成功し,術後の経過も順調であったが,手術の翌日,看護婦らが血液凝固防止剤と間違えて消毒液を点滴器具に注入...
《解 説》
1 本件は,Xが,Yが製造したFTスイッチ(以下「本件FTスイッチ」という。)を使用して,カーオーディオ(以下「本件カーオーディオ」という。)を製作・販売したところ,本件FTスイッチが常時短絡(オンの状態になったままになる。以下「本件短絡事故」という。)して,本件カーオーディオ...
《解 説》
1 A町の町長であるYは,A町の町立小学校の校舎の耐震上の安全性や当該小学校の教育環境の整備及び施設の充実を図ることを目的として,町立小学校の校舎の改築を計画したところ,A町住民であるXらが,本件校舎に文化的な価値があり,改修保存を図るべきであるとして,本件校舎の改築計画につい...
《解 説》
1 本件は,伊東市内の小学校に在学している生徒の母親が,伊東市個人情報保護条例(以下「本件条例」という。)に基づき,子の指導要録及び就学指導調査個票の開示を請求したところ,被告がそれらに記載されている情報をすべて非開示とする決定をしたことから,母親が原告となり,被告に対し,前記...
《解 説》
1 事案の概要
(1) 不動産仲介業者であるXは,Y(売主)との間で専任媒介契約を締結し,Xの仲介によりYとA(買主)との間で土地売買契約が成立したが,その後,Aが手付金を放棄して売買契約を解除した。Xが本件媒介契約に基づきYに対して約定報酬金1658万6325円(土地売買代...
《解 説》
1 本件は,X及びYの母である亡Aの遺産をめぐる紛争である。控訴審において審理対象となった請求に限定すると,亡A名義の銀行への預金及び郵便貯金をYが亡Aの死亡後に全額払い戻したとして,銀行への預金につき,XがYに対して法定相続分である2分の1を超える部分の不当利得返還を(①事件...
《解 説》
1 本件は,弁護士に対する損害賠償請求事件であるが,事案の概略は次のとおりである。原告の父である故Aは,新宿区で桶類の製造を営んでいた。故Aが営んでいた場所は,故Aの仕事場でもあり,住居ともなっていた。しかし,当該場所の土地の登記名義は長男B,土地上にある住宅,マンション部分の...
《解 説》
1(1) 本件は,建売業者であるYから本件土地建物を買い受けたXが,本件土地は,大雨のときなど容易に冠水し,宅地として使用することができず,これは売買の目的物の隠れたる瑕疵に当たるとか,売買契約の際,売主であるYが,その説明を怠ったことは債務不履行(説明義務違反)に当たるなどと...
《解 説》
1 訴外Aは,平成13年10月25日当時,Y銀行B支店の貯蓄預金口座に545万7419円の預金を有していた。
訴外Cは,前同日,虚言を弄して,180万円の借用名下にAから右預金口座の預金通帳とその届出印を騙し取った。
そして,訴外D,E,Fは,Cを通じて入手した預金通帳と届...
《解 説》
1 甲(当時15歳)は,競争馬育成のための調教業務を行う牧夫として被告に雇用され,馬房掃除や騎乗訓練等から就労を開始し,就労開始から16日目には,他の経験者と同様に3歳馬の調教業務に参加したが,同日午後,1周約300メートルの屋内円形馬場で6頭の馬に一人ずつ騎乗して調教業務を行...
《解 説》
1 マンション等の企画,設計等を業とする株式会社である原告は,横須賀市内の本件土地上にマンションを建築する計画を立てた。これに対して,近隣住民による反対運動が生じていたところ,地元自治会に設置された同マンションの対策専門委員会の委員長である被告は,いわゆるミニコミ誌やインターネ...
《解 説》
Xは都立高校に勤務する国語科の教師であるが,昭和62年から平成元年ころに現物株式の取引の経験があったが,平成9年ころ,一度自宅建替え資金の捻出のために株式の売買をしたことを除いては,いわゆるバブル経済の崩壊により株取引を中断していた。Xは,平成10年11月ころ,Yに勤務するAの...
《解 説》
1 X1は,X2会社の代表者であるが,平成2年10月末ころ,本件ワープロ(ミノルタワープロエースMWP161)を購入し,自宅兼事務所に設置して使用していたが,平成3年6月26日,本件ワープロ付近から火災が発生し,右建物の一部を焼損した。
そこで,X1とX2は,本件出火の原因は...
《解 説》
1 本件は,被告クリニックにおいて豊胸手術を受けた原告が,被告に対し,切開位置が不適切であったため手術の傷痕が目立つ結果になったとして,不法行為又は診療契約の債務不履行に基づき損害賠償を請求した事案である。
2 本判決は,美容整形においては,他の医療行為と比較すると必要性や緊...
《解 説》
1 Aは,夜に激しい頭痛,悪心及び嘔吐を訴えて,Yの開設する病院で診察を受けた。当日の当直医であった内科医のO医師は,問診及び頭部CT検査等の諸検査をし,鎮痛薬を処方するとともに,翌日内科で診察を受けるよう勧めて,Aを帰宅させた。翌日,Aは,内科医のP医師の診察を受けた後,神経...
《解 説》
1 本件は,債権者Yが,連帯債務者Bに対する債務弁済契約公正証書の執行力ある正本に基づきBの父亡A名義の不動産(以下,「本件不動産」という。)について強制競売の申立てをし,同開始決定を得たところ,Xは,Aは公正証書遺言により遺産の全部をXに遺贈し,遺言執行者としてSを指定したた...
《解 説》
1 Xは,同人の通う専門学校の友人Aから借りた本件自動車を運転中,交通事故を起こし,関係各被害者に対し損害賠償責任を負うこととなったが,Xの母がYとの間で締結していた自動車総合保険契約に他車運転危険担保特約があったため,同特約に基づく保険金請求権を有することの確認を求めて本件訴...
《解 説》
1 本件は,保険会社であるXが,被保険者であるYらに対して,火災保険金支払債務の不存在確認を求めた(本訴)のに対して,被保険者かつ保険契約者であるY1(株式会社)及び被保険者であるY2(Y1の代表者の母親)が,その所有にかかる保険目的物である建物(Y2所有)及び商品並びに什器備...
《解 説》
1 Xは鞄の加工,販売等を業とする会社であり,Yは鞄の製造,販売等を業とする会社である。XとYは昭和の頃から継続的に通学用鞄などの取引があったが,平成12年9月に取引関係を解消し,Xはそのころから新たに仕入れた通学用鞄ECHORCLUB(X鞄)の販売を開始した。YはXに対し,X...
《解 説》
1 Xは,消費者契約法施行後にYとの間で締結した信用保証委託契約(本件保証委託契約)に基づき,YのA銀行に対する借入元金及びその利息を代位弁済したと主張して,Yに対し,本件保証委託契約に基づき,求償金元金及び約定損害金の支払を求めた。
原審(東京地判平16.2.5本号277頁...
《解 説》
1 本件は,民事再生法に基づき再生債務者(Y)が行った担保権消滅許可の申立てに対し,価額決定の請求を申し立てた債権者(X)が,同決定のため同人が予納した手続費用が共益債権に当たると主張し,Yに対し,その支払を求めた事案である。
2 民事再生法(以下「法」という。)は,再生債務...
《解 説》
1 事案の概要
本件は,青果仲卸業者を組合員として中小企業等協同組合法(中企法)に基づいて設立された事業協同組合から脱退した原告らが,同協同組合を被告として,脱退による持分の払戻金の支払を求めた事案である。
原告らが,その脱退により,被告に対し,脱退の効力が生じた平成12年...
《解 説》
1 本件は,更生会社東日本フェリー株式会社の更生手続開始申立て前に,同社所有の船舶について定期検査及び中間検査を行ったXが,その検査代金債権者として各船舶の上に船舶先取特権(商法842条6号)を有するとして,更生担保権の届出をしたところ,Y(更生会社東日本フェリー株式会社管財人...
《解 説》
1 事案の概要等
本件の公訴事実及び検察官の主張の概要は,20代の女性である被告人が,テレクラで知り合った40歳の男性被害者とラブホテルに行ったものの,男性との間でトラブルが起こり,金を返すよう執拗に迫られたことなどから,立腹の余り,上記ラブホテルの部屋や廊下で,備付けの電気...
《解 説》
本件は,覚せい剤の自己使用及び所持の事件において,弁護人から違法収集証拠の主張がなされた事案である。本件捜査の経緯は,被告人に対する別件の覚せい剤取締法違反被疑事件につき,捜索差押許可状に基づいて被告人方を捜索するため,警察官1名が,被告人方付近に張り込んで機会をうかがっている...