最も長い歴史をもつ判例実務誌
《解 説》
1 本件は,海軍の特設運送艦浮島丸が,青森県大湊地区及びその周辺の朝鮮人を多数乗船させて,昭和20年8月22日,大湊を出航し,日本海を航行して,同月24日,舞鶴港に入港しようとしたところ,舞鶴湾内で爆発が起き,沈没した件に関し,浮島丸に乗船し,その爆沈によって死亡した者の遺族な...
《解 説》
第1 事案の概要等
1 本件は,Xが,子の名に「曽」の字を用いた出生届の追完届(以下「本件追完届」という。)を戸籍事務管掌者であるYに提出したところ,Yにより,「曽」の字が戸籍法施行規則(以下「施行規則」という。)60条に定める文字でないことを理由として本件追完届の不受理処分が...
《解 説》
1 本件は,当時22歳の被告人が,かつて交際していた当時21歳の女性に対し,恋愛感情を充足する目的で,その女性の自宅に2回にわたりバラの花束を宅配業者に配達させてその受取方を要求し,更にその後約半年の間に,5回にわたり,同女あての郵便物を送って被告人との接触,連絡を要求し,もっ...
《解 説》
1 スーパー(上告補助参加人Z)に継続的に商品を供給していた商品納入業者Aは,取引銀行であるX(控訴人,上告人)及びZとの間でいわゆる一括支払システムに関する契約を締結し,Xに対しZに対する売掛金債権を担保のため譲渡して融資を受けていた。Aは,右の契約において,Xから融資を受け...
《解 説》
1 Xは,A所有の本件土地を昭和37年2月17日から20年間占有してその所有権を時効取得したが,時効を援用せずその旨の登記を了しないうちに,AからB会社が本件土地について本件抵当権の設定を受けて抵当権設定登記を了した。次いで,YがBから本件抵当権を被告担保債権と共に譲り受けて抵...
《解 説》
1 本件は,食道がんの手術の際に気管内に挿入された管を手術後に抜かれた患者が,進行性のこう頭浮しゅにより,上気道閉そくを起こして呼吸停止,心停止に至ったことなどにつき,担当医が気道確保のための適切な処置を採ることを怠った過失があることなどを理由として提起された損害賠償請求事件で...
《解 説》
1 判示事項に関係する事案の概要は,被告人が,共犯者1名と共謀の上,司法書士事務所において,行使の目的で,ほしいままに内容虚偽の金銭消費貸借契約証書を偽造した上,司法書士に対し,同証書に基づく公正証書作成の代理嘱託を依頼した際,これをあたかも真正に成立したもののように装って交付...
《解 説》
1 本件は,非接触型ICカードの日本における独占的販売権を保有する甲会社が,日本証券業協会に登録している乙会社に対し,これを許諾する旨の本件基本合意を締結した後,甲会社の代表取締役専務であった被告人において,本件基本合意に基づき,右独占的販売権を甲会社に取得させる方法等について...
《解 説》
1 事案の概要
本件は,砂利採取業を営むX(一審原告,控訴人)が,長崎県対馬島沖合の海域(漁業権の設定されていない一般海域)で海底から土砂を採取することを計画し,長崎県知事から委任を受けて公有土地水面の使用又は産物採取の許可についての権限を有する行政庁であるY(一審被告,被控...
《解 説》
1 本件は,全日本教職員組合(以下「全教」という。)を構成している団体の一つである愛知県高等学校教職員組合(申立人)が,全教において岐阜県内を中心に開催を予定していた2002年度の教育研究全国集会に先立って,同集会の実務的打ち合わせを行うために申立人名義で名古屋市教育センター(...
《解 説》
本件は,小学校2年生の男子X1(当時満7歳)が,Y市の管理する公園に設置されていた箱ブランコで,座席の背もたれ部分を外から押して遊んでいる最中に転倒し,箱ブランコの底部と地面との間に頭部を挾まれて負傷して,右眼を失明したことから,X1及びその母親X2が,Y市に対して,上記事故が...
《解 説》
1 本件は,原告らが,被告国に対し,税務署長によってなされた原告らに対する相続税法34条1項所定の連帯納付義務に基づく督促処分につき,国税徴収権の濫用ないし信義則違反の違法があり,また,同税務署長による異議申立棄却の決定及び国税不服審判所長による審査請求棄却の裁決にも前記違法を...
《解 説》
1 本件は,綾瀬市さわやか事業団Aの会員である原告Xが,Aによる就業の機会の提供に応じて仕事の発注者の下で就業中に傷害を負ったことに関し,社団法人綾瀬市シルバー人材センターYがAの地位を承継した旨主張して,Yに対し,主位的に債務不履行,予備的に不法行為に基づき,損害賠償を求めた...
《解 説》
1 X1ないしX5の5名は,Y1の詐欺行為により,消費者金融会社に対し債務を負担させられることになり,合計約690万円の損害を被った。Xらは,この損害を賠償させる意図で,Y1に,1000万円を一括支払いさせることを内容とする証書(本件証書)に署名押印させた上,さらにY1の妻であ...
《解 説》
1 仲介業者から分譲販売用の土地の紹介を受けた原告は,その土地の売買契約を締結し,代金を支払った上,顧問司法書士である被告に委任して所有権移転登記を経由したが,その後,登記申請に用いられた土地の登記済証が偽造であり,土地所有者に成り済ました者に売買代金等を詐取されたことが判明し...
《解 説》
1 本件は,Yの設置する国立がんセンター中央病院において,担当医師のZから,乳房病変部の診断のため腫瘤の摘出生検後,単純乳房切除術(以下「本件手術」という)を受けた患者のXが,Yにおいて,本来,Xの病変部の経過観察で十分であったのに,その必要がない本件手術を実施したか,仮に病変...
《解 説》
1 訴外Aは,平成7年5月,Y1の経営するB病院で胃の内視鏡検査を受けたところ,胃がんであることが判明したため,B病院に入院した。そして,Aは,同病院の医師Y2の執刀により,胃の摘出,脾臓,肝臓の切除術を受けたが,同年6月,術後急性肝不全のため死亡するに至った。
そこで,Aの...
《解 説》
1 本件事案の概要は次のとおりである。Yとの間で火災保険契約を締結していたXが,平成11年7月11日,X代表者のたばこの不始末によりX所有の商品を保管していた倉庫で火災が発生し(以下「本件火災」という),前記商品が焼水汚損したとして,Yに対し,当該保険契約に基づき,保険金440...
《解 説》
1 事案の概要
(1) Xは,指定商品を「第30類 菓子,パン」とする登録商標(「花粉」という文字(ゴシック体)を縦書きにし,ふりがなの「かふん」を右側に連書してなるもの。本件登録商標)につき,商標権者から当初独占的通常使用権の許諾を受け,次いで専用使用権の設定を受けた者であ...
《解 説》
1 Xは,20世紀を代表する日本の経済人を取り上げた日本経済新聞の連載記事の一環として,住友財閥の基礎を築いた伊庭貞剛を取り上げた記事(X記事)を掲載した。他方,Y1は,古河財閥の創設者古河市兵衛の伝記である「運鈍根の男 古河市兵衛の生涯」(Y書籍)を執筆し,Y2がこれを発行し...
《解 説》
1 本件は,被害者である相手方が配偶者である抗告人に対し,相手方が抗告人から激しい暴力を受けていると主張して配偶者暴力に関する保護命令の申立てをし,原審がこれを認容して接近禁止命令を発令したので,抗告人がこれを不服として抗告をした事案である。
2 本決定は,被害者が主張する暴...
《解 説》
1 本件は,Xが,中華人民共和国(以下「中国」という。)に設立された合弁会社A公司に30万ドルを拠出したが,Yらが,これを争うので,Xがこれを拠出したことの確認を求めるとの訴えを提起したところ,これに対し,Yらが,本件訴訟物,すなわち30万ドルの拠出者については,既に中国人民法...
《解 説》
1 本件は,Xが,Y西日本旅客鉄道株式会社のもと従業員であったAに対する債権について,Aを債務者,Yを第三債務者として,AのYに対する給料債権等に対する仮差押命令及び差押命令を得た上,Yに対し,差押えに係る給料債権等の支払を求めた取立訴訟であり,仮差押決定の第三債務者Yへの送達...
《解 説》
1 本件は,リース会社Xが,フルペイアウト方式によるファイナンス・リース契約のユーザーである再生債務者Yに対し,Yは民事再生手続開始決定を受けたことで特約(借主の信用状態が著しく悪化したときには催告なくリース物件の返還を請求できるとの特約)によりリース物件の占有権原を喪失したと...
《解 説》
1 A社は,平成11年8月ころ,取引銀行及び主要リース会社に対して,支払猶予及び延払い等を内容とする再建計画を提示し,大部分の債権者から,事実上の了解を得た。A社のサブ銀行であるY1銀行は,無担保で2億8000万円を融資していたが,上記再建計画を事実上了承するにあたり,手形の譲...
《解 説》
1 本件は,いわゆる桶川女子大生殺人事件などとしてマスコミ等で大きく報道された著名な事件の実行犯に対する判決である。すなわち,被告人は,共犯者Aが経営する風俗店の店長として稼働していたものであるが,Aの実弟Bが,交際していた女子大生である被害者から別れ話を持ち出されて交際を断ら...