最も長い歴史をもつ判例実務誌
《解 説》
一 事案の概要
本件は、東京都国立市のJR国立駅から南方に延びる通称「大学通り」に面する土地(本件土地)を購入して地上一四階建てのマンション(本件建物)を建築、販売しようとした不動産業者らを被告として、マンションの近隣に学校を設置、居住(土地所有等)又は通学し、あるいは大学通...
《解 説》
一 本件は、被告人が、国鉄の鉄道用地と境界を接している自己の所有地を、パワーショベルで掘削し、線路脇にある電柱付近の土砂を崩壊させるなどして、電車の往来の危険を発生させたという、電汽車往来危険の事案である。一審から最高裁に至るまで、本件掘削により、刑法一二五条一項にいう「往来の...
《解 説》
一 本件は、氏名不詳の被疑者が申立人の所有する漁船に乗り組み、愛媛県海域において操業が禁止されている夜間の潜水器漁業を操業したという、愛媛県漁業調整規則違反被疑事件に関して、申立人が、差し押さえられた漁船等の還付を申し立てたところ、それが却下されたため、刑訴法四三〇条二項の準抗...
《解 説》
一 本件は、広島市長であったY1(個人)が、平成一一年五月二五日から平成一二年七月六日までの間、広島市が建設した立体遊歩道(本件施設)の維持管理費用の支出を命じたこと、及び、Y2(広島市長)がその後も同施設の維持管理費用の支出を命ずることが、本件施設は「公の施設」に当たり、当該...
《解 説》
一 東京都は、都営戸山アパート建替工事の際、工事対象地内に生育していた推定樹齢二〇〇年、幹周り約二・七メートル、樹高約一七メートルの大けやき(本件大けやき)を伐採してしまった。これに対し、本件大けやきの伐採に反対していたXら(都民)が、東京都知事であるYらに対し、右の伐採は違法...
《解 説》
一 X(昭和四年生)は、一人暮らしの老女で、平成九年頃、記憶力や判断力が低下し、訪問販売のセールスマンなどから多額の商品をクレジットで買い入れるなどしていたところ、Aは、そのころからX宅に出入りするようになり、高価な着物や帯などを数百万円で売り付けるとともに、信販会社等への月々...
《解 説》
一 Xは、貸金業者であるところ、昭和五七年一二月八日、Yに対し、四〇万円を、弁済期日を昭和六〇年一二月七日、利息を日歩一九銭、遅延損害金を日歩二二銭と定めて貸し付けた。
そして、Yは、その後元金と利息を支払ったが、昭和五八年六月八日、同日支払うべき利息の支払を怠った。
そこ...
《解 説》
一 本件は、ビルの一階部分を賃借して「婦人服販売店」を経営していた原告が、後に別の賃借人が同ビルの地下一階を賃借して「飲食店」の経営を始め、悪臭を発生させたとして、被告である同ビルの賃貸人に対して、債務不履行による損害賠償請求をし、被告はこれを争うとともに、予備的に未払賃料債権...
《解 説》
一 本件は、X(一審原告・控訴人・附帯被控訴人。フランチャイジー)が、サンドウィッチを店頭で製造して販売する店舗営業のフランチャイズ事業を展開しているY(一審被告・被控訴人・附帯控訴人。フランチャイザー)から、同事業への加盟を勧誘され、Yとの間でフランチャイズ契約を締結し、フラ...
《解 説》
一 本件は、宅地建物取引業者が、建物賃貸借契約を仲介する際に、契約条件の説明を十分しなかったために建物賃借人に損害を与えたとして、委任契約の債務不履行を理由に損害賠償を命じられた事案である。
二 建物賃借人である原告(X)は、宅地建物取引業者である被告(Y)を仲介業者として、...
《解 説》
一 本件は、Aから中古車を購入したX1が、運転中に同車両右前部から発火して同車両が焼損した事故に関し、同車両の製造者であるYに対し、①不法行為責任、製造物責任又は②債務不履行責任に基づく損害賠償を請求した事案である。発火原因に関する当事者の主張については、判決文を参照して頂きた...
《解 説》
一 本件は、Yが、福島県田村郡小野町に、焼却残灰、ばいじん、不燃物残渣を埋立て処分する一般廃棄物最終処分場(以下「本件処分場」という。)を設置して操業していたところ、本件処分場の周辺に居住するXらが、本件処分場内に搬入される廃棄物に含まれる有害物質が本件処分場外に流出してXらが...
《解 説》
一 Xは、平成一二年一二月九日、食事中に右六番の歯冠部が取れ、同時に歯の部分も欠けたため、その治療のため、同月一一日、Yの開設する歯科医院を受診した。
Yは、Xに対し、歯冠崩壊後の歯のメタルコアによる支台築造を行うこととし、ポストを形成するため口蓋根に穴を掘ろうとしたところ、...
《解 説》
一 訴外A(昭和一〇年生)は、平成九年四月二一日、狭心症の疑いのためYが開設するB病院に入院し、心臓カテーテル検査を受けた結果、右冠動脈には完全閉塞が、左冠動脈の前下行枝及び旋回枝にはそれぞれ狭窄のあることが判明した。
そして、Aは、同月二三日、B病院において、経皮的冠動脈形...
《解 説》
一 訴外Aは、総胆管拡張症に罹患し、昭和六〇年八月、Y1の開設するB病院で入院治療を受けた後、Y2の開設するC病院に転院し、総胆管を切除し、胆管を十二指腸に吻合させる手術を受け、同年一〇月に退院した。
その後、Aは、B病院に入院し、慢性膵炎の治療を受けていたが、退院後、吐き気...
《解 説》
一 Xはゲームソフトの企画、製作などを目的とする会社である。Y1は、Y2の社員であり(ただし、Xと業務委託契約を締結していた時期がある。)、Y2はゲームソフトの企画、開発等を業とする会社、Y3は、ゲームソフトの販売等を業とする会社である。X、Y1及びY2は、高校生を主人公にした...
《解 説》
一 本件は、講談用脚本1ないし3を創作したと主張するXが、同脚本に基づいて講談として上演するY(講談師であり、Xの元妻である。)に対して、著作権に基づき、上演の差止及び脚本の廃棄等を求めた事案である。また、XとYとの間には、両者の離婚後、本件各著作物についての上演許諾合意が締結...
《解 説》
一 混合的包括一罪として主に議論されるのは、一連の行為が必ずしも罪質を同じくしない数個の構成要件に該当する場合にも包括一罪が認められるかということに関してであり(小林充「包括的一罪について」判時一七二四号三頁)、下級審においては、傷害結果が強盗の犯意発生の前後いずれの暴行によっ...
《解 説》
一 判決一(①事件)は、奈良県立医科大学(以下「奈良医大」という。)臨床医学教室教授兼同大学附属病院診療科部長であった被告人が、医師に対する教育、指導等の一環として、同教室等から定期的継続的に医師の派遣を受けていた関連病院に対し、同病院に勤務する医師を派遣するなどの便宜ある取り...
《解 説》
一 本件訴訟は、日本法人である外資系企業の会社役員を務めていたXが、同社の親会社の親会社に当たるアメリカ合衆国の会社(以下「米国親会社」という。)から付与されたストック・オプションの行使に係る経済的利益(以下「権利行使益」という。)を一時所得として所得税の確定申告をしたのに対し...