最も長い歴史をもつ判例実務誌
《解 説》
一 本件は、株主が会社を被告として提起した新株発行不存在確認の訴えである。
Y社は、Aが代表取締役を務める同族会社であり、Aがその株式の過半数を有していたところ、Aの長男B夫婦が新株を引き受けたとして新株発行の登記がされた。これが真実であるとすると、B夫婦は、圧倒的な多数株主...
《解 説》
一 第二小法廷の平成一五年三月二八日判決(同一四年(オ)第一六三〇号)と第一小法廷の平成一五年三月三〇日判決(同一四年(オ)第一九六三号)は、当事者も重複しており、最高裁が判断した論点も同一の憲法問題であるので、両判決について、まとめてコメントする。
二 両事件とも、平成一二...
《解 説》
一 Xは、中小企業団体の組織に関する法律(以下「中小企業団体組織法」という。)に基づき、水道施設工事業等を協業する目的で設立された出資の総額が一千万円の協業組合である。本件は、Xが、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(以下「法」という。)三条に違反するカルテルを行った...
《解 説》
一 Xは、総務庁恩給局長から旧軍人普通恩給の改定請求を却下する旨の処分を受けたため、同局長の事務承継者であるYに対しその取消しを求める訴訟を京都地裁に提起した。Yが管轄違いを理由に本案訴訟を東京地裁に移送することを申し立てたため、京都府知事が本件処分に関し行政事件訴訟法一二条三...
《解 説》
一 本件は、会社の債務の保証人が、会社が破産宣告を受け、その破産手続が破産終結により終了した後に、主債務の消滅時効の援用をすることができるか否かが問題となった事案である。
二 事実関係の概要は次のとおりである。
1 Xは、A社との保証委託契約に基づき金融機関に対しA社の借入...
《解 説》
一 本件は、被告人の運転する乗用車が対向車線に進出したため、対向して進行してきた大型トラックと正面衝突し、自車の同乗者三名が重傷を負ったという業務上過失傷害事件について、被告人の過失の有無が争われた事案である。
本件においては、事故当時被告人車の同乗者らが全員睡眠中であったた...
《解 説》
一 本件は、住友生命の社員である控訴人らが、同社が政治資金団体に政治献金をしたことについて、①政治献金は、国民の参政権を侵害し、社員の政治的信条の自由を侵害するから公序(民法九〇条)に違反する、②政治献金は同社の権利能力の範囲外の行為である、③政治献金をした同社の代表取締役には...
《解 説》
一 本件は、Yが、Xに対し、実用新案権の登録料、特許権の特許料(以下「登録料等」という。)納付につき、不納付を理由として却下処分(原処分)をし、さらにXのした異議申立てについて、異議申立期間の徒過を理由として却下決定(裁決)をしたところ、XがYに対して、裁決固有の瑕疵があること...
《解 説》
一 本件事案の概要は以下のとおりである。
Xらは、平成五年七月、甲会社に対し、X1会社及びX2会社(一審原告両法人)にあっては高松市所在の土地及び建物(本件不動産)を、X3、X4(一審原告両個人)、A及びB(一審原告両法人の役員)らにあっては同土地を賃借して中古車販売業を営ん...
《解 説》
一 本件は、原告が、その所有する土地に係る平成六年度の固定資産税に係る価格の決定が違憲、違法であるとして、名古屋市固定資産評価審査委員会に対し、本件価格決定のうち、同土地の平成三年度固定資産評価額を超える部分の取消しを求めるとともに、本件価格決定に関する通達を出した国及び固定資...
《解 説》
被告ら地方公共団体及び一部事務組合(複数の地方公共団体により組織されたもの。)は、排出するゴミの焼却灰の資材化につき、訴外A社に業務委託した。A社の提携会社訴外B社は、焼却灰中の有害物質を不溶性物質に変え、焼却灰を土地改良材やセメントの原料とする工法を開発し、A社が受託した焼却...
《解 説》
一 本件は、衆議院議員でありM党の幹事長であったX1と同党所属の参議院議員であったタレントOことX2が、Yの発行する週刊誌Sの二〇〇一号八月一六・二三日号に掲載された平成一三年七月に行われた参議院議員選挙を巡る記事(以下「本件記事」という)によって、社会的信用を低下させられたと...
《解 説》
一 本件は、保険契約者(被保険者)である訴外人が、高度障害を負っていないにもかかわらず負ったとして、被告作成に係る原告宛の内容虚偽の障害診断書(以下「本件診断書」という。)を提出して、原告に対し高度障害保険金を請求し、原告から同保険金を詐取したことにつき、被告が、訴外人が高度障...
《解 説》
一 建築基準法九一条は、建築物の敷地が用途地域の内外にわたる場合においては、その建築物又はその敷地の全部について敷地の過半の属する地域に関する同法の規定及び同法に基づく命令の規定を適用するものと定めている(いわゆる用途過半制度)。Yらは、第一種低層住居専用地域と近隣商業地域とに...
《解 説》
一 本件の概要は次のとおりである。
Xは、昭和五二年生まれの女性であり、過去にアトピー性皮膚炎の罹患歴があったが、平成一〇年四月八日、Yが経営するエステティックサロンを訪れて、Y製造の超音波を発する美容器具などを使った顔面エステ施術を受けたところ、翌日には顔面が赤く腫れて、か...
《解 説》
一 本件は、全財産を交付してY2(権利能力なき社団)に参画したXが、脱退後に、交付した財産相当額等の支払を求めた事案である。
二 本判決が認定した事実によれば、Y2は、理想の幸福社会(無所有共用一体社会。すべての物は誰の物でもなく万人の利用に供されるべきという思想に基づき、皆...
《解 説》
亡Aは、解離性大動脈瘤などの既往症があり、平成六年一〇月二日、腹痛背部痛を訴えてYの経営する病院に入院したところ、腹部真正大動脈瘤に罹患しており、これは破裂の危険性が極めて高いと診断された。同病院の心臓血管外科の医師は、大動脈瘤が破裂した場合Aの救命が極めて困難と考え、同年一二...
《解 説》
Xらの子Aは、生まれつき心房中隔欠損症であったため、大学病院で手術や治療を受けていたが、Yの経営するB病院を受診した際、僧帽弁閉鎖不全症と診断され、人工弁置換手術を受けることになって、平成八年九月二四日、B病院に入院し、翌二五日、Yの執刀により右手術を受けた。ところが、右手術後...
《解 説》
一 事案の概要
住友信託銀行は、総合保養地域整備法に基づいて進められているリゾート開発事業の運営会社A社のメインバンクとして、その株式を保有し、これに対し中心的に融資を行っていたところ、A社の株式の過半数を実質的に保有する支配株主であったゴルフ場の建設・運営会社B社について、...
《解 説》
一 Xは、本件著作物(手作りのオリジナル人形)の著作者から、同人形について、日本国内において第三者に対し著作権利用許諾を与える権限を独占的に授与されていると主張している。本件は、このようなXが、同人形の複製を製造して大手スーパーであるY2のクリスマスキャンペーンに使用する商品と...
《解 説》
一 Xは、Xと指定取次業者及び書店の三者によって構成される全国共通図書券(図書券)の利用に関する加盟店契約を主宰し、図書券を発行・販売する会社である。Yは、いわゆる新古書を中心とした中古書籍、コンパクトディスクの販売等を業とする会社である。
本件において、Xは、Yがその店内に...
《解 説》
一 本件は、被告人がジュネーブ条約に基づいて発給される正規の国際運転免許証に酷似した国際運転免許証様の文書を偽造した(依頼者から代金等を受け取って、同文書を作成し、販売した。)という事案である。
二 控訴趣意は、被告人は、本件文書の作成名義人となっているINTERNATION...
《解 説》
一 〈①事件判決〉は、被告人Aが、(1)中小企業における災害補償共済等の事業を行う財団法人理事長として共犯者と共謀等して犯した業務上横領及び背任、並びに、(2)いわゆる職人大学設置準備を進める財団法人の会長理事及び中小企業の発展を図るための政治活動を目的とする政治団体の実質的主...
《解 説》
本件は、市議会議員である被告人が、懇意にしていた土木工事業者から請託を受けて、市が発注する公共工事の指名競争入札につき、上記業者が指名業者に選定されるようあっせんを行い、その報酬として現金五〇万円を収受したという公職にある者等のあっせん行為による利得等の処罰に関する法律違反の事...