最も長い歴史をもつ判例実務誌
《解 説》
一 本件は、覚せい剤の自己使用及び所持の事案について、違法収集証拠の証拠能力が争われた事案である。本件の捜査及びその後の経過は、本判決中にも要約されているが、おおむね以下のとおりである。
1 被告人にはかねて窃盗の被疑事実による逮捕状(以下「本件逮捕状」という。)が発付されて...
《解 説》
一 本件は、破綻した住宅専門金融会社(旧住専)の代表取締役らが取引先の不動産会社に対して不正融資をしたという商法の特別背任の事案について、取引先の会社の代表取締役であった被告人が、特別背任の共同正犯としての責任を問われた事案である。
本件の事実関係は、本決定中にも摘示されてい...
《解 説》
一 本件は、平成一三年七月二九日に行われた参議院議員通常選挙の選挙人であるXらが、Y(中央選挙管理会)に対し、上記選挙のうち比例代表選出議員の選挙を無効とすることを求めた事案である。この比例代表選出議員の選挙は、平成一二年一一月二一日から施行された公職選挙法の一部を改正する法律...
《解 説》
一 本件は、山口県の住民であるXが、平成一二年に一部改正される前の山口県情報公開条例に基づいて、Y(県知事)に対し、平成九年度・一〇年度の県政調査交付金(県議会の各会派に交付されるもの)に関する、①交付申請書又はこれに類する文書、②支出に関する支出金調書又は交付金額のわかる文書...
《解 説》
一 A事件に係る事案の概要は以下のとおりである。
Xは、平成三年七月以降四回の我が国における短期滞在の経歴を有するアフガニスタン人であるが、平成一一年七月七日、「短期滞在」の在留資格及び在留期間九〇日の上陸許可を受けて我が国に上陸し、同年一〇月一日、Y(法務大臣)に対し、出入...
《解 説》
一 本件は、ガイアックスという名称のガソリン代替燃料が軽油引取税の課税対象になるかどうかが争われた事案である。
地方税法七〇〇条の三第三項は、特約業者又は元売業者が「炭化水素油(炭化水素とその他の物との混合物又は単一の炭化水素で、一気圧において温度十五度で液状であるものを含む...
《解 説》
一 本件は、被告に勤務していた原告が、被告の男子従業員がのぞき見目的で被告営業所の女子トイレ内の掃除道具置場に侵入しているのを発見したことについて、被告に対し、早期かつ迅速な事実関係の調査を求めたのに、被告がこれを怠っただけでなく、原告に対し様々な嫌がらせを行うなど不適切な対応...
《解 説》
一 本件は、既に不和となって対立する夫婦の一方であるX(夫)がその財産管理をその他方であるY1(妻)に任せる旨の書面を交付していた場合に、Xがその財産をY1に対して贈与したのか否かをめぐって争われ、Xが、当該財産につき、持分移転登記経由しているY1及びY2(両者間の次女)に対し...
《解 説》
一 本件事案を判旨との関係で要約すると、次のとおりである。XはK社の販売代理店であるが、これまで、K社の製造した計器機器を、K社→X→W社という商流で取引してきた。K社の担当者は、Yに対し、「Xの付け商売として、W社向けの商談がある」として、いわゆる介入取引を持ちかけた。また、...
《解 説》
一 Xは、A証券会社との間で、債券現先取引契約を締結し、財テクを行ってきた。債券現先取引契約とは、債券等を一定期間後に一定の価格で売り戻す(売り現先)又は買い戻す(買い現先)ことを予め約束して売買するものである。具体的には、スタート取引受渡日にXがAから債券等を購入し、エンド取...
《解 説》
一 本件事案の概要は次のとおりである。Xは、昭和五八年六月から翌年三月までの間、厚生省が設置した「後天性免疫不全症候群の実態把握に関する研究班」(以下後天性免疫不全症候群を「エイズ」といい、研究班のことを「エイズ研究班」という)の主任研究者(以下「班長」という)の地位にあった医...
《解 説》
1 本件は、マンションに設置されたプロパンガス供給設備の所有権の帰属とこれを利用したプロパンガス供給契約の債権侵害の有無及びその損害の有無が争われた事案である。原告は、賃貸マンションである本件マンションにプロパンガス供給設備を設置して、各戸にプロパンガスを供給していた業者である...
《解 説》
一 Xは、平成一一年四月、外気を吸うため鎌倉市内の自宅前の公道に出たが、右手に杖、左手に公道上のミラーポールを掴んで佇立していたところ、Yが散歩に連れ出した飼い犬がXの背後からXに向って「ワァン」と一声吠えたため、犬の接近に驚愕し、左手をミラーポールから離して安定を失い、その場...
《解 説》
一 本件は平滑筋肉腫という悪性腫瘍の治療や病名の告知のあり方が争われた事例であって、判文から窺われる事実関係は以下の通りである。
控訴人ら(一審被告)Y1、Y2は病院の開設・経営者とその勤務医であり、被控訴人ら(一審原告)X1、X2、X3は死亡した患者Aの相続人である。Aは、...
《解 説》
一 事案の概要―公立小学校に入学した児童が、その入学当初以降、同じクラスの児童らからいじめを受けたとして、その児童がいじめをしたとされる児童の親ら及び公立小学校を運営する自治体を相手方として、親(親権者)らに対しては監督義務違反を理由に、自治体に対しては教育的配慮義務(安全配慮...
《解 説》
一 プロダクト・バイ・プロセス・クレーム解釈において、原審東京地裁判決がプロセスの構成を重視したのに対し、控訴審の本判決が、物の発明のクレーム中のプロダクト構成部分には意味がないと判断した事例である。
原告は、止め具及び紐止め装置の特許権に基づく侵害差止及び損害賠償を請求し、...
《解 説》
一 本件は、ユダヤ人孤児院の院長であったポーランド人の生涯を描いた「コルチャック先生」と題する著書の著作権者である控訴人Xが、右ポーランド人を主人公とした舞台劇(九七年公演)がXの右著作物に関する翻案権を侵害するものであると主張して、右舞台劇を主催した新聞社Y1、劇団Y2、脚本...
《解 説》
一 Xはテナントの入居しているビルを競落し、賃貸人の地位を承継した。Xは、テナントであるY(焼肉レストラン経営)に対して、Yが賃貸借契約の当初に保証金名目で前賃貸人に支払った金員(五五〇〇万円)の返還債務のないことの確認、賃料等の確認を求めた。
争点は、実体的には、①保証金返...
《解 説》
一 本件は、公共工事に関して収集した情報を顧客に提供することなどを業とする会社の実質的経営者であったCが、その顧客会社の営業担当役員であった被告人Bと共謀して、公共工事の受注等に関して有利便宜な取り計らいを受けたことに対する謝礼及び今後も同様の取り計らいを受けたいなどの趣旨で、...
《解 説》
一 本件は、被告人が、普通乗用自動車を運転して交差点を直進するにあたり、同交差点入口の停止線の手前約一五〇・二メートルの地点で同交差点の対面信号機の表示が黄色であることを認識したにもかかわらず、あえて同交差点をそのまま通過することとし、漫然時速約九〇キロメートルの速度で進行した...
《解 説》
一 本件は、社交ダンス教室を経営する被告らが、その教室において、社交ダンスを教授する際に、音楽著作物を録音したCD等を再生する方法により音楽を演奏していることについて、その再生演奏は原告(いわゆるJASRAC)の許諾を得ずになされたものであるとして、著作権法一一二条に基づき、原...
《解 説》
一 本件は、飲酒酩酊して正常な運転が困難な状態で、普通貨物自動車を運転して時速約二〇キロメートルで走行中、前方で信号に従い停止中の普通自動二輪車に追突させてその運転者(当時一七歳)を負傷させたのに、運転を継続し、時速約八〇キロメートルに加速して逃走中、左前方を同方向に進行中の原...