最も長い歴史をもつ判例実務誌
《解 説》
一 本件は、ビル管理会社Y社の技術系従業員としてビル内各設備のメンテナンスに従事しているXらが、月数回ある泊り勤務の間に設定されている連続七時間ないし九時間の仮眠時間は全体として労働時間に当たるのに、泊り勤務手当と仮眠時間中の実作業時間に対する時間外勤務手当及び深夜就業手当しか...
《解 説》
一 Xら一三名は、昭和三二年から昭和四〇年にかけて大手証券会社(旧Y)に入社した高卒女性社員である(中途採用を含む。うち二名は弁論終結時に既に退職)が、同社が賃金、昇格において違法な男女差別をしているとして、同社を相手に、①総合職掌「指導職一級」の職位にあるものとして取り扱われ...
《解 説》
一 本件は、抵当不動産について敷金契約の付随する賃貸借契約が締結されたところ、抵当権者が物上代位権を行使して賃料債権を差し押さえ、取立権に基づきその支払等を求めた事案であり、差押え後に賃貸借契約が終了し、目的物が明け渡された場合における敷金の賃料への充当は、上記物上代位権の行使...
《解 説》
一 本件は、婚姻によらないで懐胎した児童を出産し、児童扶養手当法施行令一条の二第三号(平成一〇年政令第二二四号による改正前のもの)に該当する児童を監護する母として平成三年から児童扶養手当の支給を受けていたXが、その子が父から認知され、同号の「母が婚姻(婚姻の届出をしていないが事...
《解 説》
一 本件は、我が国に不法入国した抗告人が、アフガニスタンのタリバン政権下で迫害を受けた難民であるとして難民認定申請をしていたところ、平成一三年一〇月の東京入管と警視庁等の合同調査により、摘発され、違反調査の結果出入国管理及び難民認定法二四条の退去強制事由に該当すると疑うに足りる...
《解 説》
一 本件は、使用者側が原告となって提起した労働委員会の救済命令取消訴訟において、救済申立てをした労働組合及び労働者が、行訴法二二条に基づき被告である中央労働委員会への参加を申し立てた事案であり、原々審が同条一項により第三者の訴訟参加を認める決定をし、これに対して、本案訴訟の当事...
《解 説》
第一 事案の概要
一 Xと訴外会社は、名称を「パチンコ装置」とする発明(同発明に係る特許を「本件特許」という。)に係る特許権の共有者である。本件特許につき特許異議の申立てがされたところ、特許庁は、本件特許の請求項一に係る特許を取り消す旨の決定をした。
Xが単独で上記取消決定の...
《解 説》
一 本件は、土地の所有者である原告が、その所有土地の地目が雑種地ないし山林であるにもかかわらず、田又は畑として登記されているとして、被告登記官に対し地目変更登記申請をしたところ、被告が不動産登記法四九条一〇号を理由として登記申請を却下したところから、その取消しを求めた抗告訴訟で...
《解 説》
一 本件は、原告が、伊豆急電鉄伊豆北川駅から付近の集落に至る町道のうち坂道となっている部分を驟雨の中を下り歩行中、町道と交差する水路上に設置されているグレーティング(鉄蓋)上で滑って仰向けに転倒し、負傷したところ、本件事故は、本件グレーティングが急坂の途中にありながら滑り止めの...
《解 説》
一 本件の事案は、概略、次のとおりである。
X1・X2(いずれもAを代表者とする株式会社)は、それぞれ高松市所在の土地・建物(本件不動産)を所有し、これを、株式会社甲(代表者はAの妻であるが、実質的な代表者はA)に賃貸していた。甲は、右土地(合計約二八〇〇坪)を自動車展示場、...
《解 説》
Xら四名は、Y県に所属する公務員であり、県職労の役員であったが、いずれも平成七年三月一三日午前八時三〇分(始業時)から二九分のストライキに参加した。Xらは、同日中の一時間の年休を請求したが(但し、X1のみスト参加後に請求)、いずれも上司から年休を認めない旨告げられ、一時間分の賃...
《解 説》
一 本件事案の概要は以下のとおりである。
Y(被告・被控訴人)は、平成一〇年四月、携帯電話の契約名義変更手続について、Aに代理権を授与するとともに、健康保険証を交付した。Aは、消費者金融業者X(原告・控訴人)の自動契約機を通じて、右健康保険証及びY名義で開設した信用金庫の預金...
《解 説》
一 Xは、昭和四三年六月一日ころ、Y1に本件建物(作業所・居宅)を賃料月額三万五〇〇〇円で賃貸したところ、Y1は個人で鉄工所を営み、昭和五二年ころ、Y2を設立したが、XとYらが改めて賃料一二万円で賃貸借契約を締結した昭和六三年六月一日までの間に、本件建物に隣接するX所有地(五九...
《解 説》
一 Xは、建築工事請負等を業とする会社であるが、平成五年六月八日、Yらとの間において、北海道小樽市内に、木造家屋を代金一九五〇万円で建築する旨の本件請負契約を締結し、同月二六日、右工事に着工したうえ、同年一〇月五日、本件建物の建築工事を完成し、Yらに引き渡した。
そこで、Xは...
《解 説》
本件は、従前からY証券会社(被告、被控訴人)と証券取引を行っていたX(原告、控訴人)が、平成八年九月二四日から始まり約一年に及んでした信用取引について、①適合性の原則(顧客の意向、財産状態、投資経験等に適合した投資勧誘を行う必要があるとの原則)違反、②説明義務違反・断定的判断の...
《解 説》
一 本件は、隣接する地盤の軟弱な敷地にそれぞれ居宅を所有しているX・Y間で、まず昭和六三年ころにX宅が建築され、次に平成六年になってY宅が建築された場合において、Xが、Y宅の建築工事に際して実施された杭打ちの基礎工事によってX宅が不同沈下したと主張して、Yに対し、X宅の不同沈下...
《解 説》
一 Xは、平成九年一一月ころ、Aに対する貸金債権を被保全債権として、Y所有の本件不動産について、根抵当権実行としての競売申立てをしたところ、同月一一日、不動産競売開始決定がなされて競売手続が開始され、平成一一年六月二四日、期間入札(入札期間・同年八月一七日から同月二四日、開札期...
《解 説》
一 Xは、昭和五〇年から葛飾区議会議員を七期勤め、平成九年六月の東京都議会議員選挙に立候補を予定していた者であるが、Yが発行する平成九年六月一九日付「××」に、△△・北総開発鉄道の敷設にあたり、Xが△△側から賄賂を受け取り、土地を購入したとの記事が掲載され、また、同年一〇月二四...
《解 説》
一 本件は、市(Y3)から出向した社会福祉法人(Y2)の事務局長である男性(Y1)の、社会福祉法人の女性職員(X)に対する、(1)職務上の嫌がらせ(過大な業務を課すなど)と(2)身体接触(キス、着衣の中に手を入れて乳房等を触るなど)のほか、(3)Xの自宅での性的行為を含む一連の...
《解 説》
一 建設会社に勤務するXは、平成九元年六月五日、札幌市豊平区内において建設作業に従事していたが、Y1の自動車と衝突したY2の自動車が歩道に乗り上げ、建設作業をしていたXに衝突した。
Xは、右事故により、右足切断、左足挫滅、左踵骨骨折等の傷害を受けたため、札幌医大病院等に入通院...
《解 説》
一 Xは、平成一一年一月一六日、Y美容外科医院において、陰茎にシリコン製のボールを挿入する手術(以下「シリコンボール挿入術」という。)を受けた。しかし、術後約一〇日後から患部の腫れと痛みが生じ、さらに、切開部からシリコンボールが露出してきたため、術後約二〇日後にシリコンボールを...
《解 説》
一 事案の概要は次のとおりである。X1は、平成四年七月三一日に、Yが経営するA歯科医院で診察を受け、同六年八月二〇日まで歯周病等の治療のため通院し、その間、Y及びその被用者であるB医師による治療を受けた。X1は、歯周病が悪化し、歯の痛み、出血が止まらなくなったのは、Yら医師が、...
《解 説》
一 訴外Aは、平成五年当時、岩手県遠野市内の病院に看護婦として勤務していたものであるが、同年九月二〇日、Yの経営する遠野市のB病院で診察を受けて妊娠が確認され、その出産予定日が平成六年五月二五日であると告げられ、その後B病院に通院していた。
Aは、同年四月三〇日、三九・九度の...
《解 説》
一 Y2は被告中学校を設置する学校法人であるが、平成一一年当時、XとY1が被告中学校の第一学年の同クラスに在籍していた。
Xは、平成一一年七月ころ、昼休みの時間に学校内でY1から石を投げつけられる、肩を蹴られるという暴行を受け、また、その被害事実を担任教諭らに告げたところ、担...
《解 説》
一 Aは自筆証書遺言(加筆部分あり)を残して亡くなり、Xはその遺言執行者、YはAの唯一の相続人である。Xは、遺言が有効であることを前提として、Yに対して、自らの相続財産管理権に基づき、株券及び金地金の引渡し及びその代償請求として、時価相当の金員を求めるとともに、Aの入居していた...
《解 説》
一 本願商標は、ウイスキーの大手メーカーであるXの商標登録出願に係るものであり、「角瓶」の文字を左横書きしてあり、指定商品を第三三類「角形瓶入りのウイスキー」とするものである。当該出願に対しては、特許庁において拒絶査定を経て、その不服審判においても不成立審決がされたため、その審...
《解 説》
一 信託銀行であるXは、委託者であるYが解散して特別清算開始の申立てをしたため、Yとの間の信託契約を解除し、信託財産としてYから預託を受けていた株券等を換価した上、その換価金をXがYに対して有する貸金債権の一部に弁済充当し、Yの別段預金も同貸金債権と相殺した。このXによる信託契...
《解 説》
一 Xは、平成一一年当時、地方公務員であったところ、同年一一月破産宣告を受けたため退職したが、退職金については、その四分の一が破産財団に組み入れられ、その四分の三は破産財団から放棄され自由財産とされた。
しかし、退職金支払機関は、退職金支払の際、XのYに対する借入債務五七四万...
《解 説》
Xは、平成一二年八月三〇日、横浜地方裁判所川崎支部に対し、Y及びその代表者であるAに対し破産の申立てをしたところ、Yは、同年一二月一〇日、横浜地方裁判所に対し民事再生手続の開始を求める申立てをし、同裁判所は、同月一五日、Yにかかる右破産事件の手続を本件民事再生手続につき決定があ...
《解 説》
一 本件は、被害者の女性と不倫の関係にあった被告人が、深夜自動車内で口論となった際、被害者を殺害して自らも死のうなどと考え鋭利な刃物で被害者の左胸部を突き刺したが、「被告人の言うとおりにする」、「被告人のことが好きだった」などという被害者の言葉を聞いたことを契機として、その自動...