最も長い歴史をもつ判例実務誌
《解 説》
一 平成一二年八月二七日施行の鹿児島県大島郡伊仙町議会議員選挙(以下「本件選挙」という。)においては、第二投票所の投票管理者が公職選挙法施行令六三条三項に違反して不在者投票九七票(以下「本件九七票」という。)を投票箱に入れない違反行為があった。その票数の九七票は、本件選挙におけ...
《解 説》
第一 事案の概要
一 ①事件及び②事件は、いずれも、共有に係る商標権につき、無効審決がされたところ、そのうち、一部の者のみが審決取消訴訟を提起したという事案である。
二 ①事件は、XとAが共有する商標権について、無効審決がされ、登録商標を使用して業務を行っているXのみが取消訴...
《解 説》
一 本件は、A宗の被包括宗教法人である各宗教法人が、その寺院の住職に任命されていたが、A宗の管長Bによって住職を罷免されるか(①事件)、僧階剥奪処分である奪階処分に付せられた(②事件)各僧侶らに対し、各僧侶らが各寺院建物の占有権原を失ったとして、所有権に基づき各寺院建物の明渡し...
《解 説》
一 本件は、刑法二三八条の事後強盗罪における窃盗と暴行との関連性が問題となった事案である。
被告人は、窃盗等いくつかの訴因で起訴されたが、強盗致傷の訴因について、その前提となる事後強盗の成否が争われた。すなわち、被告人は、平屋建ての一軒家である被害者方において、指輪一個を窃取...
《解 説》
一 本件は、昭和三六年三月に発生したいわゆる名張毒ぶどう酒殺人事件として著名な殺人、同未遂事件の第六次再審請求に関する特別抗告事件である。
確定判決の認定した犯罪事実によれば、申立人は、妻と愛人との三角関係の処置に窮した末、両名を殺害して、この三角関係を一挙に清算すれば、すべ...
《解 説》
一 米国国籍を有する外国人である原告は、平成一一年六月、マンションを購入するため、被告に対し、住宅ローンの融資を申し込んだ。しかし、被告は、申込当時原告には永住者の在留資格(出入国管理及び難民認定法(以下「入管法」という。)二条の二第三項、二二条。以下「永住資格」という。)がな...
《解 説》
一 事案の概要
1 本件は、原告ら(県立養護学校教諭一名、県立高校教諭二名)がそれぞれ被告県教育委員会から受けた懲戒処分(本件各処分)について、各処分の理由を基礎づける事実の不存在のほか、その事実は卒業式における日の丸掲揚及び君が代斉唱に関連し、校長はそれを実施する権限を有し...
《解 説》
一1 X(原告・控訴人)は、平成元年、Aから、群馬県吾妻郡嬬恋村内に地上三〇階、地下一階建てのリゾートマンション(高さ一〇一・二メートル、以下「本件建築物」という。)の建築について、建築確認申請手続や関係官庁との折衝等の業務を委託され、嬬恋村と事前折衝を行ったが、同村の指導要綱...
《解 説》
一 本件は、A市が市内の丘陵で実施した「健康とゆとりの森整備事業」(本件整備事業)に関し、①主位的に、本件整備事業自体が違法であるとして、同市長Y1に対し、地方自治法二四二条の二第一項一号に基づき本件整備事業に係る工事の差止めを、同項三号に基づき右工事が右丘陵に対する財産の管理...
《解 説》
一 ①事件は、被告設置に係る病院の臨床研修医である亡Aが最低賃金法二条一号所定の労働者に当たるにもかかわらず、被告から労務の対価として最低賃金法四条所定の最低賃金額を下回る給与額しか支払を受けなかったとして、亡Aの相続人(両親)である原告らが被告に対し、最低賃金額と亡Aの受給額...
《解 説》
一 Xの母は、Yとの間で、Xを死亡保険金受取人とする生命保険契約(本件契約)を締結していたが、平成一二年一月六日に脳梗塞で倒れて入院し、同年二月二八日に入院先の病院で死亡した。その間、Xの母と同居していた甲を通じてYに対し、本件契約の死亡保険金受取人を甲に変更したいとの申入れが...
《解 説》
一 Xは、平成三年二月以降、Y銀行藤沢支店において、X名義の普通預金口座、積立定期預金口座を開設し、Yとの間で預金取引を行ってきた。
平成一一年六月二四日、Yの東京支店にX以外の者が来店し、行員Aに対し、X名義の預金通帳とX名義の二四〇万円の払戻請求書を提出して預金の払戻しを...
《解 説》
一 Xらは、昭和六三年から平成元年までの間に、「ザ・ノースカントリーゴルフクラブ」を経営するA会社との間において、ゴルフ会員契約を締結したうえ、保証金を支払ったが、A会社が、その後、会員及び同伴者のみにプレーさせ、予約なしに利用させるシステム(特別ゲスト枠システム等)を一方的に...
《解 説》
一 Xらは所有する建物内でガスファンヒーターを使用中、ガスファンヒーター付近から出火し、所有する建物が全焼した。Xらは、火災の原因は、ガスファンヒーターを通常の用法で使用中にガスファンヒーターが異常燃焼し、漏洩したガスに引火して爆発したことによるものであるとして、大阪瓦斯株式会...
《解 説》
本件の概要は、次のとおりである。
貸金業者に対する債務整理の依頼を受けた弁護士(原告)が、当該貸金業者(被告)に受任通知を出すとともに、債務の弁済状況の開示を求めた。ところが、貸金業者は、同弁護士を通さずに債務者に直接弁済を求めるなどの交渉をした。また、貸金業者は、取引経過の...
《解 説》
一 本件は、Xが所有する貨物船チュンジン号(以下「C号」という)とYが所有する貨物船アフリカン・ライオン号(以下「A号」という)とが瀬戸内海播磨灘において衝突事故を起こしたことについて、Xは、右事故の原因は、A号がC号の動静を注視しないまま同船の追い越しを継続したことに原因があ...
《解 説》
一 X1は、昭和四八年八月生まれの未婚女子であるが、精神分裂症状がみられたため、平成八年五月、国立久留浜病院に入院した。
ところが、X1は、同年七月九日、病室において、喫煙室に備え付けられていたライターを使用して、自分のパジャマに火をつけて焼身自殺を図ったが、直ちに救助された...
《解 説》
一 AはY会社代表者であったが、死亡したため、Yは、Aの遺族に対して退職慰労金を支払う旨株主総会で決議した。Aには内縁関係にあったX(死亡するまで同居)、別居中であった妻Z(参加人)がいたが、Yは、双方の協議を求め合意しない限りいずれにも支払わないとの態度を示した。そこで、Xは...
《解 説》
一 本件は、写真家Y1がY写真(判決の別紙写真二)を撮影し、Y2がY写真をカタログに掲載した行為が、写真家Xの撮影したX写真(判決の別紙写真一)に係る著作者人格権(同一性保持権)あるいは著作権(翻案権)を侵害するとして、Xが、Yらに対し、著作者人格権(同一性保持権)に基づき、損...
《解 説》
一 新聞配送業務を行うY会社に勤務していた被用者Aが、急性心筋梗塞により死亡したため、その遺族であるX1、X2は、右Aの死亡は会社における長時間の過重労働に起因するとしたうえ、YにはAの健康状態に対する配慮や勤務時間・体制等の改善を怠った安全配慮義務の不履行があったと主張し、Y...
《解 説》
一 X有限会社はYが経営するA株式会社に対し、平成三年三月ころから、ダイヤモンドの委託販売を継続的に行っていた。XはAに対し、平成一〇年四月から七月にかけて三九個のダイヤモンドを委託販売として引き渡したが、Aは、そのほとんどの代金を支払うことなく、平成一一年二月に破産宣告を受け...
《解 説》
一 本件は、被告人が、電話や電子メールを介して交際していた交際相手が他の女性と親密な関係にあるとして、同女性方マンションに三回にわたり侵入し、玄関ドアの鍵穴に接着剤を注入して使用不能にした三件の住居侵入・器物損壊の事案、同女性の夫が所有する自動車のタイヤをパンクさせた器物損壊の...
《解 説》
本件は、地方公務員である奈良県立医科大学救急医学教室教授兼同大学附属病院救急科部長であった被告人が、同教室及び同救急科に対応する医局から関連病院に勤務する医師を派遣するなどの便宜ある取り計らいを受けることあるいはこれを受けたことに対する謝礼及び今後も同様の取り計らいを得たい趣旨...
《解 説》
一 事実経過
本判決は、いわゆるサブリース契約と借地借家法三二条の賃料減額請求権に関する新たな判断を示した控訴審判決である。本判決の認定した事実経過の概要は、つぎのとおりである。
東京都目黒区東山の山手通に面して、土地を所有しているYは、大手不動産業者であるXと、昭和六二年...
《解 説》
一 本件は、自らも二児の母親であった被告人が、幼稚園の降園時に、園内にいた二歳の女児を連れ出してマフラーで絞殺した上、その死体を静岡県内にある実家の庭先に埋めて遺棄した事案である。
幼い女児の命が犠牲になったことに加え、被害者が同じ幼稚園に子供を通わせるなどして以前から被告人...
《解 説》
一 本件は、医療の最先端にある市立大学医学部附属病院において患者を取り違えて手術したという初歩的なミスであるが、多数の医療従事者が関与しながら誰も気づかなかったという点で、国民にも医療界にも大きな衝撃をもたらした事件である。
事案は、第一外科に入院中の患者二名を病棟看護婦が一...