最も長い歴史をもつ判例実務誌
《解 説》
第一 事案の概要
一 本件は、大韓民国に在住する韓国国籍の女性であるXらが、Y(国)に対し、(Ⅰ)日中戦争及び第二次世界大戦中に、(1)X1~X3三名(元従軍慰安婦)については、日本軍により台湾・上海等の慰安所に連行され、いわゆる従軍慰安婦として長期間にわたり多数の軍人との性交...
《解 説》
一 本判決は、オウム真理教(以下「教団」という。)によるいわゆる坂本弁護士一家等殺害事件についてその実行犯である教団の元幹部に対する死刑判決を維持した控訴審判決であり、教団が行った一連の凶悪事件について死刑が言い渡された事例についての最初の控訴審の判断である。
本件は、教団批...
《解 説》
一 本判決は、オウム真理教(以下「教団」という。)の信者で弁護士でもあった被告人が犯した多数の事件についての控訴審の判断である。被告人は、いずれも教団の利益を図るために、①教団に反対する活動を行っており、相手方の訴訟代理人でもあった弁護士に対する殺人未遂のほか、②法の規制を潜脱...
《解 説》
一 本件は、徳島県(以下「県」という。)の住民であるXが、平成一三年に全部改正される前の旧徳島県情報公開条例(以下「本件条例」という。)に基づいて、Y(知事)に対し、県議会議員及び職員に関する平成七年八月一日から一年分の食糧費及び議長交際費に係る支出関係書類、旅費に係る書類の公...
《解 説》
一 本件は、栃木県内に住所を有する参加人が、栃木県公文書の開示に関する条例(昭和六一年栃木県条例第一号。以下「本件条例」という。)に基づき、本件条例の実施機関である被告(被控訴人、被上告人)に対し、原告(控訴人、上告人)が宇都宮市内に建設を予定していた帝京大学理工学部の施設整備...
《解 説》
一 本件は、控訴人らが、被控訴人らに対し、(1)①固定資産評価基準の実施を自治大臣告示に委任した地方税法三八八条一項が、租税法律主義(憲法八四条)に違反する、②固定資産評価基準の内容が、憲法二九条、二五条、一四条に違反する、③宅地の評価について地価公示価格の七割を目途とした自治...
《解 説》
一 本件は、金融再生法が通用されて破綻処理中の銀行であるYが元従業員らに対する退職年金の支給を打ち切ったため、元従業員のXらがその支払を請求した事案である。Yでは、その退職金規程に、二〇年以上勤務した従業員には、六〇歳に達したときに、その申出により、退職年金を支給すると規定して...
《解 説》
一 訴外Aは、平成四年七月、建物所有の目的で、Yと訴外Bに賃貸していた本件土地を、一坪当たりの単価を五二万円、面積三三九・八一平方メートル、代金五三四五万八〇〇〇円として、YとBに売り渡し、それぞれ持分二分の一の所有権移転登記を経由した。
ところが、平成五年四月、本件土地売買...
《解 説》
一 本件は、集合債権の譲渡担保権者であるXが、担保権設定者Aの破産管財人Y1及び集合債権についての滞納処分による差押債権者であるY2に対し、譲渡担保権を主張し、集合債権の弁済供託金(債務者Cが債権者不確知を理由に供託したもの)の還付請求権が自らに帰属することの確認を請求した事案...
《解 説》
一 本件は、弁護士であるXが、Xに事件を依頼したY1に対し、成功報酬につき、全事件終了時における本件不動産の時価の一割とするとの合意があったと主張し、右時価は三〇〇億円であるとして、その一割である三〇億円を請求し、仮に、右合意が認められないとしても、相当報酬額として、全事件の着...
《解 説》
一 訴外A(大正七年生)は、平成七年一〇月二八日、心原性ショック等のため、高岡市民病院に入院し、同年一一月二〇日、心臓カテーテル検査が行われたが、その際、左冠動脈に解離が発生したため、富山赤十字病院に転送されたが、急性心筋梗塞となり、同月二二日、同病院において死亡した。
そこ...
《解 説》
一 事案の概要
本件は、被告が製造又は輸入し、販売している一二種類の製パン器について、原告が五つの特許権と一つの実用新案権の侵害を理由として、製造、輸入、販売の差し止め等と損害賠償(実施料相当額)を請求した事案である。本件は、各権利毎に争点が異なるため、争点は多数あるが、簡単...
《解 説》
一 本件は、他人のコンピュータ・ソフトウェアに含まれているデータベースを複製し、これを販売した事例であり、当該データベースの著作物性及びこのような複製・販売が不法行為に当たるか等が問題となったものである。
二 Xは、コンピュータ・ソフトウェアである自動車整備業用システムを製造...
《解 説》
一 本件事案の概要は、以下のとおりである。①X(妻・請求者)とY(夫・拘束者)は、平成七年八月に婚姻し、平成八年二月に長男A(被拘束者)が生まれたが、その後夫婦間に不和が生じ、Xは、Aを連れて別居した。②Yは、XがAと会うことを拒むようになったことから、平成一〇年八月、Aを連れ...
《解 説》
一 Xは、Y(宗教法人、日蓮正宗の末寺)の墓地内にある墓地区画の永代使用権を有する者である。Xは、Yの住職Aに対し、「妙法蓮華経」の文字を刻印した墓石を設置したいと申し出たところ、Aは、自分が書写した文字を用いなければ駄目であるとして拒絶した(Xはもと日蓮正宗の信徒)。そこで、...
《解 説》
本件は、支払督促に対する異議申立てによって、督促手続から訴訟に移行した事件の控訴審であるが、本件訴訟に至る経緯及び審理の経過は以下のとおりである。電話会社であるX(被控訴人・原告)は、Xとの間で電話サービス契約を締結したAが通話料金の支払いを怠っていたことから、未払通話料金の支...
《解 説》
一 本件は、被告人が、交際相手の男性が以前交際していた女性(被害者)にまだ思いを寄せているものと思い込み、平成八年一一月ころから約三年半にわたり、被害者の居住先やその実家に、合計一万回以上、無言電話や被害者を中傷するなどの嫌がらせ電話をかけ続けて、被害者に外傷後ストレス障害(以...
《解 説》
一 原告が開設する病院(以下「本件病院」という。)は、愛知県知事から健康保険法四三条の三に基づく保険医療機関の指定を受けてその業務を遂行していたが、同病院において二年余にわたって、不当な診療報酬請求を行っていたとして、愛知県知事(本件訴訟中に法改正があったことにより、その権限は...
《解 説》
一 本件は、集合債権譲渡担保契約を締結した担保権者が、担保設定者の破産管財人及び目的債権についての滞納処分による差押債権者である国に対し、譲渡担保権を主張して、第三債務者のした弁済供託金について、その還付請求権の帰属の確認を求めた事件である。
Xは、訴外会社Aに対する貸金債権...