最も長い歴史をもつ判例実務誌
《解 説》
一 本件は、りんご生産等の事業を営むことを目的として設立された民法上の組合(本件組合)の組合員Xが、専従者として組合のりんご生産作業に従事し、組合から労務費名目で支払を受けた金員につき、これを給与所得に係る収入であるとして所得税の再修正申告をしたところ、Y税務署長がこれを事業所...
《解 説》
一 本件は、売買を原因としてY名義の所有権移転登記が経由されている土地建物につき、Xが、Yの兄でありXの父である亡Aが二〇年間にわたり居住して占有を継続したことによって、その所有権を時効取得したと主張して、Yに対して、取得時効を原因とする所有権移転登記手続を求めた事案である。
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《解 説》
一 本件は、金属プレス機のローラーに両手を挟まれて負傷したA(当時二〇歳)が、被上告人Yの開設するB大学医学部附属病院(以下「本件病院」という。)で治療を受けたが、入院中に緑膿菌等に感染していることが判明し、約一箇月半後に呼吸不全から心停止に至り死亡したことについて、Aの両親で...
《解 説》
一 本件は、①一定の期間内の県の各部局の食糧費支出に関する支出負担行為書等(本件文書一)のうち、(a)会議等の出席者の所属団体名、職名及び氏名の記録された部分、(b)飲食店等の取引金融機関名、口座番号及び印影の記録された部分をそれぞれ除いたその余の部分のみを開示する決定と、②議...
《解 説》
一 本件は、昭和五二年から昭和五六年四月までの間に五回の狭心症発作を起こして通院治療中の港湾荷役作業従事者であったA(四五歳)が、昭和五七年七月三一日勤務終了後帰宅するや倒れ、心筋梗塞で死亡した事案について、Aの死亡が業務に起因するかどうかが争われたものである。
Aは昭和四四...
《解 説》
一 本件の事実関係は以下の通りである。
Xは、Yが分譲していた別荘地を購入し、それと付帯して、購入した別荘地について温泉供給契約(本件契約)を締結した。本件契約には、Yは同契約及び温泉供給規程に基づいてXに温泉を供給すること、XはYに温泉工事負担金一〇〇万円を支払うことが定め...
《解 説》
一 Xは、カミソリ製品等の販売業者であり、自社ブランドのカミソリ製品を日本に輸入している米国法人Yとの間で、昭和四三年ころ、口頭により、Yの輸入する製品(以下「Y社製品」という。)につき継続的売買契約を締結し、Yの一次卸店として継続的に売買を行ってきた。XとYは、昭和六一年から...
《解 説》
Aは、平成六年一月、精神病院であった△△病院を開設する医療法人であったY1に保安要員として雇用されたが、同年四月二八日、同病院で勤務中、死亡した。
Aの相続人であるXは、Aは、同病院の精神科入院病棟を巡回中、複数の入院患者から暴行を受け、同病院の医師の診察を受けたにもかかわら...
《解 説》
X(一審原告、被控訴人)は、平成八年一〇月一日、同月二二日、同年一一月二六日の三回、Y(一審被告、控訴人)の経営する医院で、地方公共団体の無料癌検診(乳癌、子宮癌、大腸癌)を受けたところ、乳癌と子宮癌について更に検査を要する点が見つかり、超音波断層撮影法、CA一二五精密測定、生...
《解 説》
一 Yの妻である訴外Aは、平成一〇年五月三一日、訴外B会社から、子供のための学習用教材(以下「本件教材」という。)を、五二万六〇〇〇円で購入したが、その際、Aは、Xに対し、本件教材の購入費等を一括立替払いすることを委託した。
そこで、Xは、平成一〇年六月四日、B会社に対し、本...
《解 説》
一 本件の事案は次のとおりである。Xは、本件株券を親会社の事務室金庫内に保管していたが盗難に遭った。その翌日、金融業者であるY2は、Aから本件株券を取得し、さらに証券会社であるY1に本件株券の売却を委託した。その後、本件株券は、Y1の取次ぎにより、第三者に売却されたが、後に盗難...
《解 説》
一 本件の事案の概要は、次のとおりである。
X1は、損害保険会社であるYとの間で、X1所有の建物五棟(以下「本件建物」という。)を目的として三個の火災保険契約を締結し、X2は、Yとの間で本件建物内の商品につき五個の店舗総合保険、営業利益保険を締結した。Aは、X1とX2の実質的...
《解 説》
一 Yは、Xから、その製造に係る「麗姿」という名の高級石鹸を購入して、通信販売の方法により消費者に販売していた。その後、XY間の取引が途絶えたが、Yが引き続き、自らの販売する高級石鹸に「麗姿」などの標章(Y標章)を付していた。Xは、「和漢研 麗姿」と二行に横書きした登録商標(本...
《解 説》
一 本件は、建物の区分所有等に関する法律(以下「法」という。)六二条所定のマンションの建替え決議の効力が争われた事案であり、事案の概要は、以下のとおりである。
本件マンションは、昭和四二年ころに竣工した一二棟のマンションであり、団地を構成している。本件団地では、昭和六一年に行...
《解 説》
本件は、「荒川女性バラバラ殺人事件」などとして、マスコミの注目を集めた事件の第一審判決である。本件の被告人は、前刑において、強盗殺人等の罪により無期懲役に処せられたが、一九年余りの服役を経て仮出獄を許され、母親らのもとに戻ったが、それから一年足らずで再び殺人と死体損壊、遺棄の犯...
《解 説》
本件は、いわゆる青色申告承認取消益がほ脱所得に含まれるかどうかが争われた法人税法違反事件において、ほ脱の故意のほか実行行為と結果との間の因果関係についても検討が加えられ、積極の判断が示された事案である。
青色申告の承認取消益をほ脱所得に含めることができるかについては、本判決も...
《解 説》
一 事案の概要
1 本件は、兵庫県多紀郡篠山町の住民であった原告が篠山町に代位して篠山町長であった被告瀬戸亀男、同新家茂夫らに対し、同人らが行った行為によって、篠山町が損害を被ったなどとして、その損害の賠償などを求める住民訴訟である。
2 本件で住民訴訟の対象とされた被告ら...
《解 説》
一 事案の概要 ①事件は、愛知県の住民である原告らが、県が指名競争入札の方法により発注した浄水場計装設備更新工事について、同工事の請負契約に係る工事代金が、被告会社らによる談合行為により不当につり上げられ、その結果、県は、談合がなければ形成されたであろう契約金額と現実の契約金額...