最も長い歴史をもつ判例実務誌
《解 説》
一 事案の概要
本件は、愛媛県西宇和郡伊方町の伊方発電所において、加圧水型の本件原子炉(二号炉)の増設を予定していた四国電力株式会社が、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律(昭和五二年法律第八〇号による改正前のもの。以下「規制法」という。)二六条一項に基づいて行...
《解 説》
一 Xは、広島市で原子爆弾に被爆し、肝機能障害及び白血球減少症があると診断されたので、Y1(厚生大臣)に対し、原子爆弾被爆者の医療等に関する法律(原爆医療法)に基づき、肝機能障害及び白血球減少症が原爆の放射能に起因するものであるとの認定申請をしたところ、Y1が、Xの疾病は、原爆...
《解 説》
一 本件の本案事件は、住宅金融専門会社(いわゆる住専)であるA社の株式を購入した本件の相手方らが、A社がその有価証券報告書に貸倒引当金を過少に計上して虚偽の記載をしたことにより、本来低価値である株式を高価格で購入させられるなどして損害を被ったとして、A社の当時の役員と共に、有価...
《解 説》
一 暴力団の幹部である被告人は、対立する暴力団組織の本部事務所前路上で、けん銃一丁を適合実包四発と共に携帯して所持し、これらを用いて同事務所の出入口に向けて銃弾四発を発射したが、その約一か月後、警察署に出頭して、前記事務所に対し自分が発砲したことを申告するとともに、使用したけん...
《解 説》
一 事案の概要
本件は、建築確認処分の取消訴訟の提起に伴う執行停止申立事件であって、申立人は建築確認処分の対象となった建物の敷地の隣接地に建物を建築所有してこれに居住している者であり、右敷地が接道義務に違反しているので、建築確認処分は違法であると主張しているものである。
原...
《解 説》
一 内閣総理大臣(金融再生委員会の権限を代行)は、平成一〇年一〇月二三日、金融再生法三六条等に基づき、日本長期信用銀行について特別公的管理を開始すること及び預金保険機構(被告)が長銀の株式を取得することを決定し、同月二八日、被告が長銀の株式を取得することを決定した旨を公告した。...
《解 説》
一 Yは、区立中学校の社会科教諭であり、二学年の授業を担当しており、アメリカ人と結婚して米国籍のXの娘Aは、当時、同校二年三組に在籍していた。Yは、平成九年七月一七日、二年三組の授業において、「ビデオ『沖縄の米軍基地 普天間第二小学校の場合』(NHK福岡)の感想文を読んで考える...
《解 説》
一 本件は、証券会社である被告に雇用され、営業社員として勤務している原告ら二名が、被告から資格を降格されてこれに対応する職能給の号俸を引き下げるなどされたため、これによる減額分の給与等の支払を求める事案である。
二 本事案においては右のような減額措置の有効性が問題となったが、...
《解 説》
一 本件事案の詳細は判文のとおりであるが、要するに、旅行業者である原告が、やはり旅行業者である被告を代理して、被告主催の海外旅行の契約の締結のための申込みを顧客から受けたところ、出発日の二日前になって顧客が旅行参加者の一名の氏名につき英文スペル訂正の手続を申し出たため、原告が被...
《解 説》
1 本件は、女子学生Xが、大学の助教授Yからコンパの2次会のカラオケの席で馬乗りにされるなどし、さらにこれに抗議をしたところ、教官の地位、権限を誇示され、大学教育を享受するうえでの不利益を及ぼすことをほのめかされて脅かされたとして、Yに対し、慰謝料300万円と弁護士費用30万円...
《解 説》
一 Xは、昭和三三年、A男とB女の第二子として出生し、「長男」として出生の届け出がされたが、高校卒業後、性別への違和感が増してきたため、平成九年、オーストラリアでいわゆる性転換手術を受け、帰国後、産婦人科で膣の術後の手当てとホルモン療法を受けた。
そこで、Xは、家庭裁判所に対...
《解 説》
一 Xは、税理士であり、A石油会社の委任に基づき、同会社の顧問税理士として、平成八年五月、神田税務署に対し、同会社の平成七年一〇月から平成八年三月の事業年度につき、仕入れ税額控除に基づき、四三五万二〇二五円の還付を受けるものとする内容の消費税確定書を提出した。
しかし、Xは、...
《解 説)
一 ここで紹介する二つの判決は、いずれも、レコード製作会社であるXらが、通信衛星を利用したデジタル放送サービス「スカイパーフェクTV」の中で音楽を中心としたラジオ番組「スターデジオ100」(本件番組)を運営するYらに対し、本件番組の中でXらの製作に係るレコードを使用して音楽の公...
《解 説》
1 本件事例は、自分のイラストが意に反して改変されたことを理由とする著作者人格権(同一性保持権)侵害に基づく損害賠償請求訴訟の控訴審判決である。事案の概要は、次のとおりである。
総合広告代理店であるPは、顧客Qの依頼を受け、イラストの管理及び貸出業を営む会社X1から、その代理...
《解 説》
一 Xは、本件建物に根抵当権を有する者であるが、抵当権に基づく物上代位権の行使として、本件建物の賃借人であり、かつ、転貸人であるYの第三債務者に対する転貸料債権について、債権差押命令の申立てをしたところ、執行裁判所は、右申立てを認め、債権差押命令を発令した。
これに対し、Yは...
《解 説》
一 本件は、被告人が、薬局でテレホンカードの購入方を注文し、店員から差し出されたテレホンカードを「外に待っている者に渡してくる」などと言って店外に持ち出した行為について、窃盗罪と詐欺罪のいずれが成立するかが問題となった事案である。一審判決は、起訴状どおり窃盗罪(常習累犯窃盗罪)...
《解 説》
一 被告人は、地下鉄の車内で、当時一六歳の女性に対し、手指をパンティーの中に入れるなどの強制わいせつ行為に及んだが、電車が駅に到着し、乗降ドアが開くため、わいせつ行為の継続を断念して手指をパンティーから抜いたところ、その直後、被害者に袖口を、次いで腕をつかまれ、「この人痴漢です...
《解 説》
一 本件は、「空知の連続婦女強姦殺害事件」と呼ばれる強姦致傷、殺人、強姦致死、死体遺棄事件の再審請求に対してこれを棄却した決定である。
昭和四七年五月七日、札幌の料理学校に通っていたTさん(当時一九歳)が、北海道樺戸郡月形町の農道脇の笹藪で全裸の死体となって発見された(以下、...