[解 説]
1 本件は,議会の定例会等に出席した市議会議員に費用弁償として日額1万円を支給するという札幌市条例(以下,「本件条例」という。)の定めにつき,当該日額が高額に過ぎ,地方自治法によって与えられた議会の裁量権の範囲を逸脱して無効であると主張して,札幌市の住民が,費用弁償の支給を受けた...
[解 説]
1 控訴人(原告)は,「携帯型コミュニケータおよびその使用方法」に関する発明の特許(本件特許)の特許権者である。原告は,被控訴人(被告)に対し,被告の携帯電話無線機(被告製品)を販売等をしている行為が,本件特許に係る特許権(請求項2及び請求項5に係る特許権)を侵害し,被告の上記行...
[解 説]
1 本件は,Yの設置する大学の専願等を資格要件としない推薦入試に合格し,入学金,授業料等の学生納付金を納付したXが,4月5日に入学を辞退した上,不当利得返還請求権に基づき,Yに対し,既納付の学納金の返還を求めた事案である。入学金については,1,2審ともに,入学し得る地位を取得する...
[解 説]
1 本件は,工務店を経営するXが,貸金業を営む株式会社Yに対し,Yの従業員であったAから,真実はAがYから横領した金員の穴埋めに充てる意図であったのに,Yによる貸金の原資の調達であると欺罔され,これを信じてAに合計3100万円を交付した結果,損害を被ったと主張して,使用者責任(民...
[解 説]
1 事案の概要
本件は,県が施行する道路事業の用地として所有地を買い取られ,地上建物の移転補償金の支払を受けたXが,同建物を第三者(個人)に譲渡して上記土地外に曳行移転させるとともに,他の土地を取得して代替建物を建築した上で,上記移転補償金について,これを租税特別措置法(平成1...
[解 説]
1 本件は,Xが,商品取引員であるYに金の商品先物取引の委託(買注文)をしたところ,相場の暴落により損害を被った場合において,Xが,Yの外務員の違法な勧誘行為を理由に消費者契約法に基づき買注文を取り消したと主張するなどして,Yに対し,委託証拠金の返還等を求めるなどした事案である。...
[解 説]
1 本件は,X車とY車とが交差点において衝突した本件事故を原因として,X車の運転者であるXが,Y車の運転者であるYに対し,民法709条に基づく損害賠償を求めた事案である。
2 本件事故の態様は,東西道路と南北道路とが交差する,信号機による交通整理が行われていない本件交差点におい...
〔解 説〕
本件は,ある会社のインサイダー情報を入手した被告人らが,その公表前に同社の株式を売り付け公表後に買い戻す(又は公表前に買い付け公表後に売り付ける)という信用取引により利益を得ようと考え,公表前の売付け(又は買付け)を実行したインサイダー取引の事案であり,①一部没収・追徴の可否,②...
[解 説]
1 本件確定判決(名古屋高判昭44.9.10判時576号22頁。上告棄却により同47年7月5日確定)が認定した罪となるべき事実の要旨は,次のとおりである。
申立人は,妻と愛人との三角関係の処置に窮し,両名を殺害してその関係を清算しようと考え,昭和36年3月28日の夜に公民館で開...
[解 説]
1 Yは,義妹・義弟であるXらの名義を使用して同名義の銀行預金口座開設・解約,証券顧客口座の開設,生命保険契約の締結等をし,さらに預金の預入と引出,有価証券の運用,保険金の払込等をしたが,Xらの事前又は事後の承諾を得てはいなかった。XYらは遺産分割手続を経たが,その過程でXらは,...
[解 説]
1 本件事案の概要及び手続の経過は,次のとおりである。すなわち,本件は,被告人が,ホテルの一室において,勤務先の関係者である被害者(当時58歳)に対して,その顔面等をげん骨で数回殴るなどの暴行を加え,よって,同人をびまん性軸索損傷により死亡させたという傷害致死の事案である。本件は...
[解 説]
1 本件は,医療法人に出資した者の相続人であるXが,医療法人であるYに対し,出資金の返還等を求める事案である。なお,原審である東京高裁までは,県や医療法人の関係者である個人も被告となっていたが,それらの者との関係では,上告受理申立ては受理されず,Xの請求を棄却すべきとした原判決が...
[解 説]
1 本件は,インターネット上の電子掲示板に携帯電話を利用して匿名でされた書き込みによって名誉・信用を毀損されたXらが,その書き込みをした者(以下これを「本件発信者」という。)に対する損害賠償請求権の行使のために,本件発信者にインターネット接続サービスを提供した経由プロバイダである...
1 行政機関の保有する情報の公開に関する法律4 条1 項に基づく行政文書開示請求に対して不存在を理由としてされた不開示決定の取消訴訟において、原告である開示請求者は,行政機関が当該行政文書を保有していることについて主張立証責任を負うが、原告である開示請求者が、過去のある時点において、当該行政機関の職員が当該行政文書を職務上作成し、又は取得し、当該行政機関がそれを保有するに至ったことを主張立証した場合には、被告において、当該文書が廃棄、移管等をされたことによってその保有が失われたことを主張立証しない限り、当該行政機関は、上記不開示決定の時点においても、当該行政文書を保有していたと推認されるとされた事例 2 行政機関の保有する情報の公開に関する法律4 条1 項に基づく行政文書開示請求を受けた外務省の職員が、職務上尽くすべき注意義務を尽くすことなく、漫然と当該行政文書は不存在と判断して不開示決定をしたとして、国に対する国家賠償請求が認容された事例
[解 説]
1 事案の概要
(1)Xらは,「琉球諸島及び大東諸島に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定」(昭和47年条約第2号。以下「沖縄返還協定」という。)の締結に至るまでの日本政府と米国政府との間の交渉(以下「沖縄返還交渉」という。)において,日本が米国に対して沖縄返還協定で規定し...
[解 説]
1 事案の概要
本件は,名古屋市議会の会派が,市から交付された政務調査費を所属議員に支出する際に,使途基準への適合性を審査するため,独自に書式を作り各議員に提出させていた「政務調査費報告書」とこれに添付された領収書のうち,平成16年度分のもの(本件各文書)が,民訴法220条4号...
[解 説]
Xらは,それぞれ,航空機整備関連事業を営むYとの間で,60歳の定年後も順次,嘱託社員,特別嘱託社員として有期雇用契約を締結していたが,65歳の当時,雇止めになったことから,概要,「『近未来─ひとつの理想企業Age free』,『高齢者の就業機会の拡大という社会の要請にこたえ,可能...
[解 説]
1 事案の概要
A株式会社及びその代表取締役Bは,いずれもY(被告)を申立代理人として同時期に破産を申し立て,X(原告)がその破産管財人に選任された。X(原告)は,Y(被告)がA株式会社名義の預金口座から振込みを受け,B個人の破産申立着手金として受領した金員は,破産会社の破産財...