《解 説》
1 事案の概要
本件は,雇用関係に基づいて生じた債権(未払賃金)を有する債権者(被抗告人)が,雇用関係の先取特権(民法306条2号,308条)の実行として,債務者(抗告人)の第三債務者に対する業務委託代金債権を差し押さえた債権差押命令に対する執行抗告事件である。
2 本件の要約
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《解 説》
1 事案の概要
(1)原告と被告は,被告を委託者,原告を受託者として,投資家である受益者のために利殖の目的をもって信託するという内容の投資信託契約及び同契約に適用される約款(以下「本件契約等」という。)を締結した。本件契約等には,委託者はコマーシャル・ペーパーなどの有価証券に投資...
同一申立てに係る担保不動産競売事件において、対象物件を二つの売却単位に分けて売却を実施したことについて売却の手続に重大な誤りがあるとはいえないとして、売却許可決定の取消しが認められなかった事例
[解 説]
1 本件事案の概要
Xは,平成19年6月,Y町役場で,亡父Aと亡Bとの売買契約に関する訴訟を提起するに当たって相続人を特定することを使用目的として,Bの住民票の写しの交付を請求(本件交付請求)すると,担当職員から,XがAの相続人であることを明らかにする戸籍謄本の提出を求められ,...
[解 説]
1 本件は,共犯関係の解消の成否が争われた事案であり,その職権判示に係る事案の概要は,被告人が,共犯者数名と住居に侵入して強盗に及ぶことを共謀したところ,共犯者の一部が家人の在宅する住居に侵入した後,見張り役の共犯者が既に住居内に侵入していた共犯者に電話で「犯行をやめた方がよい,...
《解 説》
第1 事案の概要
物件1ないし6の土地と同4を敷地とする同7の建物を対象とした担保不動産競売開始決定がなされた後,物件1ないし3と物件4ないし7の2つの売却単位に分けて入札手続がなされ,物件4ないし7について売却許可決定(物件1ないし3については入札手続は中止された。)がなされた...
《解 説》
1 本件は,特別抗告の理由が実質的には法令違反をいうものにすぎないとしていわゆる原審却下をすることの当否が問題となった事案である。
2 Xは,高等裁判所に訴訟上の救助の付与を申し立てたところ,裁判所は,Xに訴訟上の救助を付与すべき事由があるものとは認められないとして,申立てを却下す...
《解 説》
1 本件事案の概要,争点
本件は,覚せい剤の自己使用の事件で,被告人の警察署内での留め置きの適否が主要な争点となり,勾留請求段階から判断が分かれた事案である。
被告人は,自動車を運転中,警察官から職務質問及び所持品検査を受けて,K警察署に同行され,取調室内に留め置かれたが,その...
《解 説》
1 本件は,飲食店内に置かれていた携帯電話機1台の窃盗事件である。大事件ではもとよりなく,事実認定上,法解釈上も,複雑な論点が多数あるわけでもない。しかし,事実誤認の論旨に関して,窃盗罪において基本的な問題とされる,被害品の占有物性,被告人の犯人性,不法領得の意思の存否について,そ...
[解 説]
1 事案の概要
(1)本件は,「天使のスィーツ」の文字を横書きにした登録商標(本件商標。指定商品は第30類「菓子及びパン」)に対する無効審判の請求について,特許庁がした請求不成立審決の取消訴訟である。
(2)審決の理由は,要旨,「エンゼルスィーツ」の片仮名文字及び「Angel...
1 担保不動産収益執行開始決定の効力により管理人が取得する権限
2 担保不動産収益執行開始決定の効力発生後における担保不動産の賃借人による抵当権設定登記前に取得した賃貸人に対する債権と賃料債務との相殺の可否(積極)
《解 説》
1 本件は,建物に設定された抵当権に基づく担保不動産収益執行の開始決定がされ,その管理人に選任されたXが,同建物の過半数の共有持分権者からその一部を賃料月額700万円で賃借しているYに対し,9か月分の賃料6300万円と遅延損害金の支払を求める事案である。Yは,開始決定に係る抵当権の...
[解 説]
1 本件は,妄想型統合失調症にり患していた対象者が,自宅において同居中の実父を刃物で殺害したという事案であり,原審が対象者について心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律(以下「医観法」という。)42条1項1号(以下「本号」という。)所定の場合に当た...
[解 説]
1 本件は,被告人が実母及び実弟を殺害したという事案である。
原審では,責任能力が争われ,弁護人は,被告人は本件当時アスペルガー症候群に罹患して統合失調症様の状態にあったから心神喪失又は心神耗弱の状態であったと主張した。原判決は,弁護人の主張を排斥し,被告人は特定不能のパーソナ...
土地付き戸建分譲を主たる事業とする再生債務者所有の販売用土地が,担保権消滅請求における「当該財産が再生債務者の事業の継続に欠くことができないもの」との要件を充たすとされた事例
市議会の会派に交付する政務調査費の使途を「会派が行う」調査研究活動と定める函館市議会政務調査費の交付に関する条例施行規則(平成13 年函館市規則第4 号)の下で,会派の代表者の承認を得て政務調査費が会派から所属議員に支出された場合において,議員が行う調査研究活動は所属会派の代表者の承認があるだけでは「会派が行う」ものとはいえないとし,上記の支出は上記の定めに適合しないとした原審の判断に違法があるとされた事例
[解 説]
1 事案の概要
(1)X(原告・控訴人)は,交通事故に遭って頚椎及び腰椎を捻挫し,上下肢の知覚障害や運動障害が見られたため,平成11年4月,大学病院で第3頚椎から第7頚椎までの脊柱管拡大固定術及び骨移植の手術を受け,さらに,平成13年8月には,腰部椎間板ヘルニアの治療として,第...
《解 説》
1 本件は,被告人が,児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律(以下「児童ポルノ法」という。)における児童ポルノであり,かつ,わいせつ図画でもあるDVDと,児童ポルノには当たらない単なるわいせつ図画であるDVDを,多数回にわたり販売し,また,これらを販売目...