船舶が最初に到達した地を管轄する裁判所に提起された外国船籍の船舶間の公海上での衝突事故に基づく外国法人間の損害賠償の訴えにつき,民訴法5 条10 号の裁判管轄が認められず,我が国で裁判を行うことが当事者間の公平,裁判の適正・迅速を期するという理念に反する特段の事情があるとして,我が国の国際裁判管轄が否定された事例
《解 説》
1 本件事案の概要
パナマ法人であるX社は,X社が賃借したパナマ船籍の甲船舶とロシア法人であるY社が所有していた乙船舶が,平成16年7月に,千島列島沖の公海上で,衝突した事故(本件事故)が,乙船舶の船員の過失により起きたと主張して,Y社に対し,不法行為に基づいて,甲船舶が入港した...
《解 説》
1 被告は,株主総会決議により,その取締役であった補助参加人らに対し,ストック・オプションとして新株予約権を発行し,行使条件として行使時に被告の取締役の地位にあること(以下「取締役条項」という。)としたほか,その他の行使条件については取締役会に一任した。そして,補助参加人らは,取締...
相続人のうちの1 人に対して財産全部を相続させる旨の遺言がされた場合において,遺留分の侵害額の算定に当たり,遺留分権利者の法定相続分に応じた相続債務の額を遺留分の額に加算することの可否
1 国立大学法人の職員による職務行為は,国家賠償法1 条1 項の「公務員」による「公権力の行使」に当たるとされた事例 2 国立大学法人が国家賠償法1 条1 項の責任を負う場合,職員個人は責任を負わないとされた事例
《解 説》
1 本件は,相続人の1人が,被相続人からその財産全部を相続させる趣旨の遺言に基づきこれを相続した他の相続人に対し,遺留分減殺請求権を行使したとして,相続財産である不動産について所有権の一部移転登記手続を求めた事案である。遺留分の侵害額の算定に当たり,被相続人が負っていた金銭債務...
[解 説]
1 本件は,被告に雇用されていた原告らが,60歳を迎え,退職することになったところ,被告が採用している60歳定年制が,高年齢者等の雇用の安定等に関する法律(以下「高年雇用安定法」という。)9条1項に違反して無効であり,その結果,被告では定年制の定めがないものとなるとして,①原告ら...
[解 説]
本件は,就職情報誌の発刊その他各種情報の提供等を行う株式会社において,週刊誌の編集職及びインターネットサイトの編集制作職として勤務していたA(当時29歳)が休日に自宅でくも膜下出血を起こし,死亡したことについて,Aの父母であるXらが,Aのくも膜下出血発症及び死亡は業務に起因するも...
《解 説》
1 本件は,地盤改良工事の注文者であるXが,請負人であるYによる同工事の施工が不十分であったため,土地上に建築した建物に不同沈下が生じてその取壊しを余儀なくされたなどとして,Yに対し,不法行為又は瑕疵担保に基づき,損害賠償を求めたところ,Yが妨訴抗弁(仲裁合意の存在)を主張してこれ...
《解 説》
1 事案の概要
本件は,原告ら(原告及び選定者)が,弁護士である被告に対し,委任した訴訟提起を不当に遅延した上,十分な訴訟活動をしなかったなどと主張して,債務不履行ないし不法行為に基づき損害賠償請求をした事案である。
2 本件の要約
(1)事件の概要
原告他1名(原告ら)は,...
《解 説》
1 事案の概要
(1) Y1は,「キング」と呼ばれるいわゆる振り込め詐欺集団を統括する者であり,同集団には,複数の実行グループがあった。Y2は,1つの実行グループにおける実行責任者である。Yらは,組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律違反(組織的詐欺)により既に逮...
《解 説》
1 本件は,Y1が設置,運営する病院において,AがXを出産した後に死亡したことにつき,Xが,Y1及び主治医であるY2に対し,不法行為(Y2につき民法709条,Y1につき同法715条)又は債務不履行に基づく損害賠償の支払を求めた事案である。
主たる争点は,①Aの死亡原因が弛緩出...
[解 説]
1 事案の概要
(1)本件は,関東地方で餃子の製造販売を業とするXが,Yに対し,Yが有する登録商標(Y商標:ケンちゃんギョーザ)について,一定の地域において,先使用による商標使用権を有することの確認を求めた事案である。
(2)Xの創業者は,昭和44年ころから,餃子の製造販売を...
[解 説]
1 事案の概要
名古屋市においては,名古屋市会政務調査費の交付に関する条例(以下「本件条例」という。)を定め,会派は,政務調査費として月額55万円に所属議員の数を乗じて得た額の交付を受け,前年度の交付に係る政務調査費についての収支報告書を毎年4月末日までに市議会議長に提出し,議...
《解 説》
1 本件は,都立学校の教職員であるXらが,卒業式等の際に各校長から発せられた,国歌斉唱時に国旗に向かって起立し,国歌を斉唱すること又は国歌斉唱時にピアノ伴奏をすることを内容とする職務命令に従わなかったことを理由として,東京都教育委員会(以下「都教委」という。)から懲戒処分(戒告処分...
《解 説》
1 本件は,権利能力なき社団である被告在日本朝鮮人総聯合会(以下「被告総聯」という。)に対して金銭債権(以下「本件債権」という。)を有する原告が,被告合資会社朝鮮中央会館管理会(以下「被告管理会」という。)が登記名義人の不動産(以下「本件不動産」という。)の実質的な帰属主体は被告総...
《解 説》
1 本件事案の概要は,次のとおりである。Xは,「独り暮らしをつくる100」と題する書籍を著作した。Xは,同書籍の各所に同一のコンセプトに基づく同一の特徴を有する女性のイラスト(原告各イラスト)を創作して描いた。Y1会社(大和ハウス工業株式会社)は,Y2会社に依頼して,マンション購入...
《解 説》
1 X17(日本相撲協会)は,1年間に6回の本場所を挙行しており,横綱であるX1を初めX17を除くXら(X力士ら)は,平成19年1月場所(初場所)当時,いずれもX17所属の力士であった。出版社であるY1は,週刊誌「週刊現代」を発行しており,Y2が本件各記事の掲載された「週刊現代」平...
《解 説》
1 本件は,処分行政庁から第一種中型免許及び第二種中型免許を受け,タクシー運転手として稼働していた原告が,深夜,タクシーを運転して,丁字路(以下「本件交差点」という。)を左折進行したところ,左折した先の道路上に横臥していた男性を轢過して死亡させる交通事故を起こし,処分行政庁から,道...