《解 説》
1 本件は,「地方裁判所に提起された顧客の貸金業者に対する過払金返還請求訴訟」を基本事件とする移送申立て事件について,専属的管轄の合意に基づきその管轄区域内にある簡易裁判所への移送申立ての当否が問題となった事案である。
民訴法16条2項本文の適用により地方裁判所が自ら審理及び...
《解 説》
1 本件は,平成10年10月に経営破綻した日本長期信用銀行の首脳陣が,バブル崩壊により発生した多額の不良債権を隠ぺいするため,平成10年3月期の決算に際して,不良債権を過少に積算した内容虚偽の有価証券報告書を作成して大蔵省に提出するとともに,株主に違法配当をしたとして起訴された...
《解 説》
1 本件は,依頼者から,その相続税の更正の請求手続を受任していた税理士たる原告が,法定の期限までに同請求手続をしなかったため,期限までに同手続をしていれば還付を受けることができた相続税相当額の還付を受けられず,そのため,依頼者に対して還付金相当額の損害賠償を行ったとして,加入し...
《解 説》
1 Xは,富山県高岡市内に病院の開設を計画し,Y(富山県知事)に対し,医療法(平成9年法律第125号による改正前のもの,以下同様)7条1項の許可の申請(本件申請)をしたところ,YはXに対し,同法30条の7の規定に基づき,本件申請に係る病院開設を中止するよう勧告した(本件勧告)。...
《解 説》
1 本件は,取引当事者間で授受された金員が所得税法上の「国内源泉所得」に該当するか否かが争われた事案である。
所得税法5条4項は,外国法人の取得する所得が日本国内に源泉のある一定の所得に該当する場合には,我が国の所得税を課税するものとしており,同法161条6号は,国内源泉所得...
《解 説》
1 本件は,旧株式会社ライブドアの代表取締役兼最高経営責任者であり,マスコミ等に登場して知名度の高かった被告人に対する控訴審判決である。
1審判決で有罪と認定された事実の概要は,被告人が,(1)ライブドアの財務面の最高責任者であった乙山二郎らと共謀の上,子会社のA社が,別子会社の...
《解 説》
1 本件は,処分行政庁が,原告が経営するゴルフ場(本件ゴルフ場)におけるゴルフ場利用税の税率算定の基礎となる等級を6級から3級に変更する処分をしたこと(本件処分)について,その取消しを求めた抗告訴訟である。
ゴルフ場の利用については,道府県の普通税の一つとして,ゴルフ場利用者...
《解 説》
1 本件は,ローマ歌劇場日本公演におけるオペラ上演において,オーケストラの指揮者がジャンルイージ・ジェルメッティであると宣伝されていたにもかかわらず,当日指揮したのは同人とは別の格下の指揮者であったとして,公演主催者及び公演協賛者であるYらの債務不履行,消費者契約法4条1項の取...
《解 説》
1 本件は,原告が,租税特別措置法68条の2第1項4号に基づく,法人税にかかる同族会社の留保金課税を非課税とする特例制度(以下「本件特例制度」という。)を利用することができたのに,それを利用できず,余分な納税をしたことが,損害であるとして,税理士と会計監査法人に対して,委任義務...
《解 説》
社会保険労務士である被告(反訴原告)は,平成18年9月27日,リース業者である原告(反訴被告)との間で,電話機のリース契約(本件リース契約)を締結した。このリース契約は,原告と提携リース契約を締結している電話機販売会社のA社の従業員が原告のリース契約関係書類を持参して被告宅を訪...
黒澤映画DVD事件 旧著作権法の下で製作・公表された映画について,その著作者である映画監督の実名を表示して興行された著作物であり,同法6 条にいう団体名義の著作物には当たらないとして,著作権の存続期間の満了が否定された事例
《解 説》
1 事案の概要
黒澤明監督の作品である「静かなる決闘」及び「羅生門」(本件映画)の著作権者である一審原告が,本件映画のDVDを輸入販売している一審被告に対し,著作権法112条に基づき差止め及び廃棄を求めたのに対し,一審被告が本件映画の著作権は存続期間の満了により消滅したとして...
《解 説》
1 日本商品先物取引協会(日商協)の会員(商品取引所法〔以下「法」という。〕2条18号の商品取引員)であるA社は,平成19年9月7日,破産手続開始決定を受け,原告がその破産管財人に就任した。原告は,被告(銀行)に対して,A社が被告に開設していた普通預金口座(以下「本件口座」とい...
《解 説》
第1 事案の概要
新築分譲用マンション(一棟の建物)の全区分所有建物23室(以下「本件各建物」という。)について担保不動産競売の申立てをした差押債権者が,本件各建物をその所有者から一括して賃借したとして,第三者への転貸を開始した抗告人に対し,民執法55条1項2号の保全処分(公示...
別居中の妻が夫に対して婚姻費用の分担を申し立てた場合において妻と同居している未成年者の子に対する実質的な監護費用に相当する部分を除いた妻自身の生活費に相当する部分の申立てが権利の濫用として許されないとされた事例
《解 説》
1 本件の事案は,おおむね次のとおりである。
原告は,平成14年12月当時,Y1の設置管理している中学校1年2組の生徒であったが,同月20日午前7時42分ころ,1年2組の教室内で,同じクラスの生徒であったY2から,自在箒を投げつけられ,その結果,右眼を損傷し,視力低下,視野欠損,...
《解 説》
1 事案の概要
被告信越放送株式会社(Y1)の記者であったAは,平成16年3月7日,長野県木曽郡南木曽町の国道19号線で発生した交通事故を取材するため,被告中日本航空株式会社(Y2)所属のヘリコプター(以下「本件ヘリコプター」という。)に搭乗して事故現場に赴く途中,本件ヘリコ...
《解 説》
1 事案の概要
Xは,Yに対し,金銭を貸し付けたとして,貸金の返還を請求して本件訴訟を提起した。Yは,これに対し,自分は保証人にすぎず,真実の借主は契約書上保証人とされているZであると主張した。これに対し,Xが,Yに対し,保証債務の履行を求める訴えを選択的に追加したところ,Y...