《解 説》
1 本件は,区分所有建物(マンション)の管理組合法人Xが,その区分所有者であるYらに対し,Yらの区分所有建物に接する各バルコニーになされた増築(和室の部屋を増床したもの)は管理規約等に違反すると主張して,昭和58年法律第51号による改正後の「建物の区分所有等に関する法律」(以下...
1 建物と土地の賃貸人であるXが,賃借人であるYに対し,建物については借地借家法38条に定める定期建物賃貸借契約であるため期間満了によって賃貸借契約が終了したと主張し,土地については解約通知を前提とする期間満了によって賃貸借契約が終了したと主張して,所有権に基づき建物及び土地の明渡を求めるとともに,賃貸借契約終了後の賃料相当損害金の支払を求めた訴訟において,借地借家法38条2項により交付すべき「書面」は,常に,賃貸借契約書と別個独立の書面であることを要すると解することはできないとしてXの請求を認容した事例 2 借地借家法38条2項により交付すべき「書面」は,常に,賃貸借契約書と別個独立であることを要するか否か
《解 説》
X弁護士はかつての同僚弁護士から懲戒請求を受け,Y弁護士が懲戒委員会の委員長としてその審査に当たった。同委員会はXを戒告に処するとの議決をした。本件は,XがYに対し,懲戒委員会の審査期日においてXが発言を求めて陳述しようとしたところ,Yが「もう終わりました」などと述べてXに陳述...
借地借家法 38 条 2 項により交付すべき「書面」は,常に,賃貸借契約書と 別個独立の書面を要すると解することはできないとされた事例
《解 説》
1 本件は,出版社であるY4が発行する雑誌上に,医学博士の肩書きを有するY3が,Y1が製造し,Y2が販売する加工食品「久司道夫のあまめしば」につき,その危険性を示さずに効用のみを示した記事を掲載したため,X1及びX2が同食品を購入,摂取し,閉塞性細気管支炎等の呼吸器機能障害を発...
《解 説》
1 本件は,破産管財人が,破産者による,その所有していた新株引受権の,破産者の妻,その未成年の子及び破産者が代表者を務める会社に対する贈与を否認し,上記受贈者3名に対して否認権に基づく価額償還請求をした事案である。
2 本件の事実経過は,概要,以下のとおりである。
SC社は...
豊田労基署長事件 自動車製造会社の品質検査業務に従事していた労働者の心停止の発症及び これに続く死亡が業務に起因するものであるとして,労働者災害補償保険 法に基づく療養補償給付,遺族補償年金及び葬祭料を不支給とした労働基 準監督署長の各処分が取り消された事例
《解 説》
Xはホストクラブ等を経営する会社であり,平成14年7月期(本件事業年度)の法人税についてY税理士を代理人として確定申告をしたところ,平成17年3月に至り,税務署長より平成13年8月以降の青色申告の承認を取り消す旨通知され,修正申告をして増加した税額を納付したほか,重加算税を賦課...
《解 説》
1 本件は,銀行が作成するいわゆる自己査定資料について文書提出命令の申立てがされ,同文書が民訴法220条4号ニ所定の「専ら文書の所持者の利用に供するための文書」(いわゆる自己利用文書)に当たるかどうかが問題となった事案である。
本件の基本事件は,原告らが,その取引先のメインバ...
《解 説》
1 本件は,被告人が,その運営するインターネットのアダルトサイトにアクセスしてきた被害者らに対し,利用料金が発生したなどと偽って被告人の管理する預金口座に現金を振り込ませて騙し取った振込め詐欺の事案と,その際,振込み先の預金口座について第三者名義のものを使用し,詐取金員の取得に...
《解 説》
1 Y1の従業員であるY2の運転するタクシーは,転回禁止区域において転回したことにより,後方から進行してきたY3の運転する車両と衝突した(本件事故)。上記タクシーに乗車していたXは,本件事故後,外傷性頸部症候群,頭部打撲,左胸部打撲等と診断されて,長期にわたって治療を受けたが,...
《解 説》
1 本件は,相続財産の全部を換価してその費用等を控除した全額を第三者に遺贈する旨の清算型包括遺贈(雨宮則夫=石田敏明編著『遺産相続訴訟の実務』335頁参照)がなされた場合に,遺言執行者は遺留分を有しない法定相続人に対して相続財産目録の交付義務や執行状況等の報告義務を負うか否か,...
(①事件)最高裁第三小法廷平成19年12月4日決定(平18(許)45)(②事件)最高裁第三小法廷平成19年12月4日決定(平19(許)3)
《解 説》
1 本件は,原告は,強姦致傷事件の被害に遭ったとして,米軍基地憲兵隊事務所を通じて,警察署に被害を申告したが,初動捜査に従事した警察官らは,被害者である原告の尊厳を確保して捜査を実行しなければならない義務を負っているにもかかわらず,その義務を履行せず,原告に精神的苦痛を与えたと...
《解 説》
1 Xは,平成9年9月,自動車運送事業等を業とするY社に入社し,トラック運転の業務に従事していたところ,平成11年7月19日,荷物の荷卸し作業中に腰に激痛を感じたため,7月22日から,N病院等に入通院して治療を受けたが,腰椎間板ヘルニア,腰部脊柱管狭窄の後遺障害が残り,労災等級...
《解 説》
1 ①事件の事案の概要は,次のとおりである。
Aは,Y所有の土地(本件土地)とこれに隣接するZ所有の土地(本件隣接土地)をそれぞれ賃借し,両土地にまたがって建築されている建物(本件建物)を所有していたが,本件建物は競売に付され,Xが,本件建物を競売により買い受けた。
Xは,...
《解 説》
1 事案の概要
(1) 本件は,訴訟上の救助の決定(以下「救助決定」という。)を受けた者(以下「受救助者」という。)の全部敗訴が確定し,かつ,受救助者に訴訟費用を全部負担させる旨の裁判が確定した場合において,裁判所が,受救助者の資力回復等を要件とする民訴法84条に基づく救助決...