《解 説》
控訴人は訴外会社に本件不動産を売り渡し,訴外会社はこれを被控訴人に転売して,順次所有権移転登記がされた。本件は,控訴人が訴外会社及び被控訴人に対し,その各抹消登記手続を請求する事案である。控訴人の主張は多岐にわたるが,判旨に関係する部分は,訴外会社が控訴人に対して契約に定められ...
《解 説》
1 事案の概要
原告(昭和22年生で,小学校の教員の経験があるが,結婚後は,産休代替教員などの職を経た後,自宅で中学生に勉強を教えている女性)は,被告証券会社との間で外国為替証拠金取引を行った者であるが,外国為替証拠金取引は,賭博行為であり,公序良俗に違反する無効な取引である...
《解 説》
1 本件は,無罪の判決を言い渡した原審裁判所が,職権で再度被告人を勾留したのに対し,弁護人が抗告をした事案であり,原審裁判所による再勾留の可否及び要件が問題となったものである。
スイス人の被告人は,航空機で来日するに際し,覚せい剤をスーツケース内に隠匿して持ち込もうとしたとの...
《解 説》
Xは弁護士であり,所属弁護士会から懲戒処分(業務停止3か月。審査請求の結果,戒告に変更された)を受けた。本件は,弁護士法61条2項(裁決主義)によりY(日弁連)の裁決の取消しを求めた訴訟であり,懲戒について3年の除斥期間の経過の有無及び懲戒事由の存否が争われた事案である。
懲...
《解 説》
1 事案の概要
(1) 事案の骨子
本件は,Y市の住民が,Y市で実施されていた特別昇給が違法であるとして,当該昇給に係る支出に関与した市長,職員等に対する損害賠償等の請求を求めた住民訴訟である。
(2) 職員給与条例の定め
Y市では,市長部局の一般職を対象とする職員給与...
《解 説》
事実関係は,次のとおりである。控訴人は,藤田観光が100%出資する子会社であり,藤田観光が36戸の共同住宅からなる区分建物を360分の1の共有持分として分譲し運営する共有会員制リゾートクラブ「ウィスタリアンライフクラブ」に属する共有制リゾートホテル「鳥羽第二ウィスタリアンホテル...
《解 説》
1 本件は,オーストラリア国籍を有する夫がオーストラリア国ニューキャッスル連邦治安判事裁判所において得た離婚判決に基づいて我が国において離婚届出したが,日本人である妻が,その離婚判決は外国判決の承認の要件を欠いているとして,離婚の無効確認を求めた事案である。
2 本判決は,外...
《解 説》
1 東京都千代田区飯田橋に所在する地上11階建ての本件マンションY管理組合法人は,平成16年11月に開催された臨時総会において,建物の区分所有等に関する法律(以下「区分所有法」という。)62条に基づき,区分所有者及び議決権の各5分の4以上の賛成多数で,本件マンションを建て替える...
《解 説》
1 本件は,個人タクシー事業者である原告において,タクシー利用者からの苦情処理や乗務員に対する指導等の事業を行う組織である被告から,換気のためにタクシーの窓を開けたり,乗客に対して禁煙を願い出たりする行為を接客態度違反との理由で一律禁止され,また,接客態度違反があったとして始末...
《解 説》
1 本件は,「無アルカリガラス,液晶ディスプレイパネル及びガラス板」の発明に係る特許出願(特願平7―311019号)についての拒絶査定を維持すべきものとした審決(不服2003―11174号)に対する取消訴訟である。
本件出願は,先行する2つの特許出願に基づく優先権を伴う特許出...
《解 説》
1 本件は,大学を設置する学校法人である原告が,被告らに対し,被告ら外が,共謀の上,虚偽の理事会議事録に基づき,従前の原告理事が解任され,被告ら外が原告理事に就任したなどとする虚偽の登記を申請した上,大学に乗り込み,原告の業務を妨害したことなどを理由として,不法行為を理由とする...
1 漫画単行本を画像ファイル化し,特定のウェブサイトを通じてインタ ーネットにより公衆送信して漫画の著作者の著作権(公衆送信権)を侵害 した場合において,侵害行為者にインターネット・ブロードバンド回線を 提供し,又はサーバーを提供した会社がそれぞれ侵害行為の幇助者として 共同不法行為責任を負うとされた事例
2 前記侵害行為により原告らが被った損害の額(著作物の使用料相当額)について詳細に判示した事例
《解 説》
1 ①事件について
本件は,弁護士であり,国会議員でもある被告人Aが,(1)約6年間にわたり,弁護士資格のないBや同人が雇った事務員が,45回にわたって,自動車等の交通事故による被害に関し,自動車損害賠償保障法あるいは任意保険契約に基づく損害賠償の請求や示談交渉等の法律事務を...
《解 説》
本件は,自動車による通行を前提とする囲繞地通行権の成否について判断するために考慮すべき事項を判示した最一小判平18.3.16民集60巻3号735頁,判タ1238号183頁の差戻後の控訴審判決である。
事案の内容,殊に権利関係及び訴訟経過は複雑であるが,本判決の理解に必要な限度...
《解 説》
1 Xは,平成13年分の所得税に係る確定申告書を提出しなかったところ,税務署長は,Xに対し,株式を譲渡した譲渡所得があるとして,同年分の所得税に係る決定処分及び無申告加算税賦課決定処分をした。
そこで,Xは,株式譲渡当時,日本国内に住所を有していなかったと主張し,これらの処分...
《解 説》
1 事案の概要
(1) X(反訴原告)は,共済制度を運営するY(反訴被告)との間で,家財保障共済契約(本件共済契約)の単身入居コースに加入した。本件共済契約には,個人賠償責任保障特別約款(本件約款)が付されており,本件約款には,以下の定めがある。
ア Yは,「被共済者が日本...
《解 説》
1 原判決が認定した犯罪事実は,被告人が,共犯者7名と共謀の上,故意に自動車による交通事故を作出し,保険会社から保険金名下に金員を詐取しようと企て,平成17年8月10日,被告人がレンタルリース会社から借り受けた普通貨物自動車を運転し,共犯者Aが運転し他の共犯者らが同乗する普通乗...
《解 説》
1 事案の概要
本件は,原告が,①被告社団法人共同通信社(以下「被告共同通信社」という。)が発信するインターネット上のウェブサイトに掲載された記事,②被告株式会社上毛新聞社が発行する上毛新聞に掲載された被告共同通信社が配信した記事,③被告株式会社静岡新聞社が発行する静岡新聞に...