第1 はじめに
第2 最二小判平15.11.14民集57巻10号1561頁(本件判決)について
第3 概念の整理
1 建築士の地位等
2 設計
3 工事監理
4 名義貸し
5 建築確認
6 中間検査
7 完了検査
第4 本件判決についての理解等
1 評釈
2 本件判決が出されるまでの建築士の名義貸しについての下級審の裁判例の状況
3 建築士の名義貸しについての学説
4 本件判決を踏まえた建築士の責任についての検討
5 最二小判平19.7.6民集61巻5号1769頁(平成19年判決)との関係
第5 本件判決が名義貸しに与える影響等
1 今後の名義貸しの動向
2 名義貸しをした建築士の行うべき行為
3 建築工事着手後の法律関係
4 建築主との関係
第6 本件判決により考えられる建築士の責任一般
1 不法行為責任について加重された要件の要否
2 設計について
3 工事監理について
第7 名義貸しをした建築士の責任の範囲
1 学説
2 裁判例
3 検討
《解 説》
1 本件は,被告株式会社住報一級建築士事務所(被控訴人・控訴人,相手方。被告住報)が建築の設計及び工事監理をし,被告株式会社菅組(被控訴人・控訴人,相手方。被告菅組)が施工をした9階建ての共同住宅・店舗(本件建物)及びその敷地(本件土地)を購入した原告ら(控訴人・被控訴人,申立...
《解 説》
1 本件は,競売により本件土地を買い受けたXが,本件土地上に存する本件建物の共有者であるYらに対し,建物収去土地明渡しを求めた事案であり,法定地上権の成否が争われた。
2 本件の事実関係は,次のとおりである。
本件土地の所有者はY1,本件建物の所有者はその夫Aであったところ...
《解 説》
1 本件は,中小企業災害補償共済の被共済者が,もちをのどに詰まらせて窒息した事故が,共済規約に規定された災害補償費支払事由である「急激かつ偶然の外来の事故で被共済者の身体に傷害を受けたもの」に該当するか否かなどが争われた事案である。
2 A(当時82歳,パーキンソン病の持病あ...
《解 説》
1 Xは,平成4年1月24日に設立されたスキューバダイビングスクールの経営やダイビング用品の販売等を業とする資本金1300万円の株式会社であるところ,平成14年ころから,フランチャイズ店の失敗やマリンスポーツ業界の不況の影響等から経営が悪化したため,これを粉飾決算で糊塗して金融...
《解 説》
1 本件の事案は,次のようなものである。
被告人は,殺人未遂,銃砲刀剣類所持等取締法違反の事実で起訴され,一審で懲役5年,凶器のナイフ没収の有罪判決の言渡しを受け,札幌高等裁判所に控訴した。控訴趣意は,殺意を争う事実誤認,量刑不当であり,同高裁は,第1回公判期日で審理を終結(...
《解 説》
1 本件は,自己の口座の預金を引き下ろす行為が詐欺罪に当たるかが争われた事案であるが,判示事項に関する事実関係の概要は次のとおりである。
個人で建設業を営む被告人は羽曳野市から下水道工事を受注し,その前払金として480万円の振込みを受けたが,うち400万円は下請業者に対する支...
《解 説》
1 本件は,マンション管理組合である原告が,近隣マンション建設反対運動を行う団体である被告に対し,寄託した金員の返還を求める事案である。これに対し,被告は,本案前の抗弁として,被告が民事訴訟法29条にいう「法人でない社団」に当たらず,当事者能力がないなどとして,訴えの却下を求め...
《解 説》
1 事案の概要
(1) Y市では,その職員によって,4つの職員互助会(市長部局,教職員,地方公営企業〔交通,水道〕。特に断らない限り,まとめて「互助会」という。)が設立され,これらの互助会は,連合会を結成していた。
連合会及び教職員互助会は,平成5年及び平成8年に,組合員(...
《解 説》
1 本件は,大阪証券取引所(大証)の副理事長等の職にあった被告人が,同取引所に上場されている株券オプションにつき,投資家にその取引が繁盛に行われていると誤解させようと企て,ほか数名と共謀の上,同取引所で,有価証券オプション取引の状況に関し他人に誤解を生じさせる目的をもって,多数...
《解 説》
1 本件は,地方自治法上の地方公共団体の組合の一種である一部事務組合(第1審原告)の職員Aが,第1審原告の資金を横領して,その一部を夫である第1審被告の預金口座に振り込んだり,第1審被告に交付したりした事実関係において,第1審原告が第1審被告に対し,第1審被告が受領した金員(判...
《解 説》
1 本件は,被告である熊谷市の職員団体である原告が,被告に対し,旧熊谷市,旧大里町及び旧妻沼町が合併(廃置分合)して被告となった後に被告の公平委員が公平委員会において,地公法52条3項ただし書きの「管理職員等」に当たらない元旧熊谷市所属の職員を,「管理職員等」に当たるとした公平...
《解 説》
1 事案の概要
本件〔①,②及び③事件〕では,金銭消費貸借契約の借主を原告とし,貸金業者を被告とする過払金返還請求訴訟において,利息制限法1条1項所定の利息の制限額を超えて利息として支払われた部分(以下「制限超過部分」という。)を受領した貸金業者が民法704条にいう「悪意の受...
《解 説》
1 事案の概要
(1) 本件は,学校法人Yの設置する大学(以下「本件大学」という。)の国際学部教授(専攻は比較政治論等)であるXが,地元新聞紙上で行った発言等を理由として,Yから戒告処分(以下「本件戒告処分」という。)を受け,さらに,教育諸活動を中止することなどを要請された(...
《解 説》
1 本件は,被告人が,第三者に譲渡する預金通帳及びキャッシュカードを入手するため,友人と共謀の上,前後6回にわたり,当該友人において,銀行支店の行員らに対し,真実は,自己名義の預金口座開設後,同口座に係る自己名義の預金通帳及びキャッシュカードを第三者に譲渡する意図であるのにこれ...