《解 説》
1 本件は,建具製造等を業とするXが,火災保険契約を締結していた損害保険会社のYに対し,その工場から出火(本件火災)して損害が発生したとして,火災保険金を請求したところ,Yが火災は偶然の事故ではない(X代表者の意を受けた者による放火である)として,その保険金の支払を拒んだため,...
《解 説》
1 事案の概要
本件は,一般旅客自動車運送事業等を営むタクシー会社である原告が,近畿運輸局長から,道路運送法40条に基づき,原告の事業用自動車14両につき4日間(平成17年8月15日から同月18日まで),1両につき9日間(同月10日から18日まで)の車両の使用停止処分(以下「...
《解 説》
1 本件は,借主が貸金業者に対し,2度の貸付けに係る債務の各弁済金のうち利息制限法所定の制限額を超えて利息として支払った部分を元本に充当すると過払金が発生していると主張して,不当利得返還請求権に基づき,過払金と商事法定利率の割合による民法704条前段所定の利息の支払を求めるなど...
《解 説》
1 本件は,交差点で信号待ちをしていたX運転の乗用車が,後に停車しその後動き出したY2運転の乗用車(保有者Y1)に追突されて発生した交通事故に関して,被害者であるXが,Yらに対して損害賠償を請求した事件である。Xは,当初頚椎捻挫等と診断されて治療を受けていたが,はかばかしくなく...
《解 説》
1 本件は,生体肝移植手術を受けた後にメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)敗血症を原因とする感染性心内膜炎により死亡した患者(昭和57年生)につき,その遺族である原告らが,①被告病院の衛生管理体制の不備が原因で患者が入院中にMRSAを保菌・感染した,②(①が認められない場合...
《解 説》
1 本件は,東京都公立中学校の教員であるXが,東京都教育委員会の職員がXに関して作成された本件各文書を都議会議員である本件議員らに提供してXのプライバシーを侵害した旨主張して,Yに対し,国家賠償法1条,4条,民法723条に基づき,損害賠償として220万円及びこれに対する遅延損害...
《解 説》
1 本件は,殺人,銃刀法違反,覚せい剤取締法違反の事案である。被告人は,殺意を否認するなどしたが,第1審判決は,各公訴事実を認め,刃物の携帯につき銃刀法32条4号を適用するなどした上で,被告人を懲役16年に処した。他方,銃刀法が改正され,従来の刃物の携帯に係る銃刀法32条4号と...
《解 説》
1 本件は,原告が,被告に対し,被告の製造販売する紙おむつが,原告の有する「使い捨て紙おむつ」についての特許発明の技術的範囲に含まれるとして,特許権侵害に基づく損害賠償を求めた事案である。被告は,被告の製造販売する紙おむつは上記特許発明の技術的範囲に含まれず,また,原告の特許権...
《解 説》
1 事案の概要
本件は,大阪市長が,都市計画法29条1項に基づき,訴外A株式会社に対してした開発許可処分及びその変更処分(以下「本件処分」という。)について,その開発区域(以下「本件開発区域」という。)の近隣で事業を営み,あるいは,本件開発区域に隣接する土地を共有する原告らが...
《解 説》
1 本件は,X(原告,被控訴人,上告人)が,その債権を担保するため担保設定者との間で,いわゆる集合債権譲渡担保契約を締結し,担保設定者の第三債務者に対する既発生債権及び将来発生すべき債権を一括して譲り受け,その債権譲渡につき第三債務者に対する確定日付のある通知により対抗要件を具...
《解 説》
1 事案の概要
本件は,大阪市政記者クラブ所属の記者でないことを理由に,大阪市議会財政総務委員会委員長から同委員会の傍聴を許可しない旨の処分(本件不許可処分)を受けたフリージャーナリストのXが,Y(大阪市)に対し,国家賠償法1条1項に基づき,慰謝料等の支払を求めた事案である。...
《解 説》
1 本件は,被告人が,被害者に自動車を衝突させ,転倒させてその動きを止めた上,刃物で刺し殺すとの計画を立て,実際に包丁やレンタカーを準備して被害者を待ち伏せ,歩いている被害者に時速約20キロメートルで自動車を衝突させて傷害を負わせたが,その段階で翻意して被害者を包丁で刺さなかっ...
《解 説》
1 本件は,荒尾市の住民であるXらが,第三セクター方式で設立され「アジアパーク」の名称でテーマパークを経営していた会社(本件会社)に対する金融支援として行った補助金約1億1650万円の支出,及び銀行5行(本件5行)と市の間で本件会社の債務につき締結した損失補償契約に基づく損失補...
《解 説》
控訴人は,医師である被控訴人が開設する診療所で交通事故による傷害の診療を受け,被控訴人は,①加害者側の保険会社に対し控訴人の診断書を作成交付し,②控訴人が加害者を相手方として申し立てた調停事件の係属する簡易裁判所からの文書送付嘱託に応じて控訴人の診療録を裁判所に送付した。本件は...
《解 説》
1 本件は,離婚後の夫婦間において,両者間の子である被拘束者らの父であり親権者である請求者が,被拘束者らの母である拘束者に対し,現在拘束者のもとで生活している被拘束者A(本件審問終結当時13歳)及び被拘束者B(本件審問終結当時8歳)を,人身保護法に基づき,請求者のもとへ引き渡す...
第1 はじめに
1 人身傷害補償保険
2 考察する問題
3 本考察の結論及び本稿の位置付け等
第2 人身傷害補償保険
1 人身偽害補償保険の開発
2 保険商品の営業活動における説明内容
3 約款の規定
4 保険金支払額
第3 問題状況
1 過失相殺のない事例
2 過失相殺のある事例
3 請求の先後による被害者受領額の違い
4 問題状況のまとめ
第4 大阪地裁と東京地裁の判決
1 大阪地裁判決ー平成18年6月21日判決・判夕1228号292頁
2 東京地裁判決ー平成19年2月22日判決・判夕1232号128頁
第5 人傷基準差額説(私見)について
1 私見の結論とその適用等
2 人傷基準差額説(私見)の根拠
3 実務上の問題点
第6 最後に