《解 説》
1 事案の概要
本件は,熊本に本社を有し特定建設業の許可を得て建設業を営む会社の取締役兼東京支店長であった被告人が,代表取締役社長らと共謀の上,(1)九州地方整備局長にあて,真実は債務超過であるのに,債務超過ではない旨虚偽の記載をした貸借対照表等(33期営業年度のもの。平成1...
《解 説》
1 本件は,入国審査官から出入国管理及び難民認定法(以下「入管法」という。)24 条4 号ロ(不法残留)に該当するとの認定を受けた後,口頭審理請求権を放棄した原告が,入国審査官による口頭審理請求権の告知に違法な点があったとして,退去強制令書発布処分(以下「本件処分」という。)の...
《解 説》
1 本判決は,小田急小田原線の一部区間を高架化すること等を内容とする各都市計画事業の認可につき沿線住民がその取消しを求めた訴訟について,いわゆる論点回付により原告適格の有無につき判断をした最高裁大法廷判決(最大判平17.12.7民集59巻10号2645頁,判タ1202号110頁...
《解 説》
1 本件は,公務執行妨害被告事件の被告人として大阪拘置所に勾留されていたXが,大阪拘置所長らに対して,弁護人接見時における弁護人に対する宅下げ書類については,弁護人やXの面前で,封筒を開披し,書類を閲読することなく禁制品の有無の検査だけをするよう要求したにもかかわらず,拘置所の...
団体の不正経理問題等及びその代表者の発言等に関する雑誌記事につき、その内容とともに掲載された写真、小見出しの内容等を考慮すれば、両名に対する名誉毀損に当たるものであり、これが真実であり又は真実と信じるに足りる相当の理由があったとも認められないとして、不怯行為の成立を認めた事例(東京地裁平18.11.7判決)
《解 説》
1 本件は,原告が,(1)被告乙山一郎に対しては,被告乙山一郎が配信したメールマガジンにおいて,原告が準強姦事件に関与したなどの原告の名誉を毀損し,プライバシーを侵害する記載があったとして,(2)被告株式会社噂の真相及び同丙川二郎に対しては,被告噂の真相が発行し,被告丙川が編集...
《解 説》
1 本件は,被告人が内妻と共謀の上,内妻の連れ子である当時11歳の女児に掛けた保険金を取得することなどを目的に,同児を1人で入浴させている間に,被告人において家屋内の車庫に放火して,家屋を全焼させて同児を焼死させ,保険金を詐取しようとしたが,詐欺は未遂に終わったという事案である...
《解 説》
1 本件は,医療機関に一般職として勤務しているX(昭和32年生)が,給与所得者等再生手続開始を申し立てた事件である。
2 本件申立てのころにおけるXの資産は,給与収入(手取月額約23万円)のほかは,支給見込退職金(見込額約1800万円),自宅マンション持分(ただし,オーバーロ...
《解 説》
1 本件は,建設工事請負業を営むXが,雇用していた従業員であるA(ただし,専務の肩書きを与えていた)が集金した工事代金等約3500万円を着服横領したため,Aの母や兄弟であるYらに,将来再びAが同様の行為をした場合には,Aと連帯して既発生の上記損害金を支払うことを約束させた(本件...
《解 説》
1 熊本県内の公立中学校の教諭であったXは,平成15年11月18日,生徒の氏名等が保存されていた光磁気ディスク(以下「本件MO」という。)を帰宅途中に紛失した(以下「本件紛失」という。)ものであるが,同月21日夜,当日開催された研究会の反省会(宴会)の最中に,上記帰宅途中に立ち...
《解 説》
1 本件は,Xが,その代表取締役であったYに対し,①YがX所有の自動車を低価格で買い受けた行為,②各種契約(4件の各種コンサルティング契約,1件の調査契約)を締結して高額な対価を支払った行為が,それぞれ取締役の善管注意義務に違反するとして損害賠償を請求した事案である。
Yは,...
《解 説》
1 本件事案の概要
Aは,初めての海外旅行に行くため旅券(パスポート)の発給申請をし,この交付を受けたが,これにはAが男性であるにもかかわらず,性別欄に女性を示す「F」と記載されていた。これは,発給申請書の性別欄の「女」にA自身が誤ってチェックしたものをそのまま機械が読みとっ...
《解 説》
1 本件は,平成11年6月当時,国立大学医学部1年生であり,同学部の学生らで組織する漕艇部に所属していたAが,同月5日に開催された新入生歓迎コンパ(本件歓迎会)の際短時間に大量に飲酒して酔いつぶれたため,上級生らが予め用意していた他の学生のアパートに搬入して寝かせていたところ,...
1 1 差し戻し審において、控訴審が特信性ありありとした証人の検察官調書を採用したものの、なお同証人の供述は核心的部分において信憑性に欠ける等として無罪を言い渡した事例。
2 一次的媒介物の近くで二次的媒介物に着火したが、現在建造物等放火罪の実行の着手を否定した事例
(横浜地裁平18・11・14判決)