《解 説》
1 事案の概要
(1) 平成9年10月9日,NHKの午後7時のニュースで,日本A2・プロダクツ(A2JP)が原材料を水増しして77億円の所得隠しをしていたと伝え,日本の国税当局(国税庁)が同社に対し,重加算税を含めておよそ35億円を追徴課税したこと,所得隠しをした利益をアメリ...
《解 説》
1 本件は,3件の別件訴訟(被告Y1が原告,被告Y2がその訴訟代理人,被告Y3が被告Y1の協力者,原告X又はその経営する会社が被告)における準備書面やY1・Y3作成の陳述書が原告の名誉を毀損するものとして提起した損害賠償請求訴訟である。
2 本判決は,原告が主張する名誉毀損行...
《解 説》
1 本件は,被害者が現役の大阪地裁所長であったことなどから世間の注目を集めた,いわゆる「大阪地裁所長襲撃事件」である。
公訴事実の概要は,被告人甲及び同乙が,少年A山春夫(当時16歳),A山夏夫(当時14歳)の兄弟及びB川秋夫(当時13歳)と共謀の上,中年男性から金員を強取す...
1 生理活性タンパク質の製造法に関する特許発明に関して、優先権主張日前から当該特許発明に係る方法と同一の方法を使用して生理活性タンパク質を精製し、厚生大臣に対して当該生理活性タンパク質から製造した治験薬を用いて臨床試験を行う旨の治験計画届書を提出するなどしていたYについて、先使用に基づく通常実施権の成立が認められた事例
2 生理活性タンパク質の製造法に関する発明が進歩性を欠き、当該発明に係る特許は特許法29条2項に違反してされたものであって特許無効審判により無効にされるべきものであるとして、特許権者が、同法104条の3第1項の規定により、特許権を行使することができないとされた事例
(東京地裁平18. 3. 22判決)
《解 説》
1 Xは,著作権等管理事業法(平成12年法律第131号)に基づき,文化庁長官の登録を受けた著作権等管理事業者であり,音楽著作物の著作権者から著作権の移転を受けるなどして管理し,音楽著作物の利用者から著作物使用料を徴収して,著作権者に分配すること等の管理事業を主たる目的とする社団...
《解 説》
1 本件は,被告人が1年足らずの間に連続的に14件もの住居侵入・強姦(強姦致傷も含む)等を敢行した事件であるが,これらの犯行のうち,姦淫が既遂に至ったものが9件に及んでいる。
2 本判決の認定によると,被告人は,被害女性らとともにマンション内に侵入し,被害女性が居室玄関ドアを...
《解 説》
1 本件は,ミャンマー連邦の国籍を有する原告が,出入国管理及び難民認定法(平成16年法律第73号による改正前のもの。以下同じ。)24条6号の退去強制事由に該当するとの認定には誤りがない旨の判定に対し,法49条1項に基づいて異議の申出をしたところ,法務大臣から上記異議の申出は理由...
《解 説》
1 本件は,被告の県税事務所長が,実際は原告が軽油を輸入・譲渡したにもかかわらず,軽油引取税の納入義務を免れるために,ダミー会社であるA有限会社(以下「A」という。)名義を使用して軽油を輸入・譲渡したように装ったとして,原告に対し,平成9年4月から平成10年12月までの各月分(...
《解 説》
1 事案の概要
第1事件及び第2事件ともに,亡Zが江戸時代の浮世絵を模写して制作した模写作品の著作物性が争われた事案である。第1事件は,亡Z(第1事件の原告であったが,訴訟係属中に死亡したため,Xが受継した。)が江戸時代の浮世絵4点を模写して制作した絵画4点を,Yが発行した書...
《解 説》
1 本件は,ガーナ国籍を有する原告が,入管法(平成16年法律第73号による改正前の出入国管理及び難民認定法)24条4号ロの退去強制事由(不法残留)に該当するとの入国審査官の認定,同認定に誤りなしとする特別審理官の判定を経て,法務大臣に対する異議申出(入管法49条1項)に理由なし...
《解 説》
1 本件は,X1,X2が,自宅敷地から公道に至る通路状の土地が建築基準法42条2項所定の道路(2項道路)であると主張して,人格権的権利(いわゆる通行の自由権)に基づく妨害排除請求として,Y1,Y2に対し,通行を妨害する物件の撤去を求めた事案である。
2(1) Y1は,平成5年...
《解 説》
1 本件は,熊本刑務所で受刑中の原告が,国会議員あての請願書や検察庁あての告訴告発状を送付することについては,刑務所長によって制限されなかったのに,この請願書や告訴告発状の内容の取材や調査等を求める新聞社あての手紙を送付することについては,監獄法46条2項に基づいて刑務所長によ...
《解 説》
1 本件は,原告が運営する臨床研究用病院(以下「本件病院」という。)の固定資産が,地方税法(以下「法」という。)348条2項12号の非課税規定にいう「直接その研究の用に供する固定資産」に該当するとして,本件不動産等に係る平成14年度固定資産税・都市計画税の各賦課決定処分(税額変...
《解 説》
1 事案の概要
被告Yは富山県,石川県等を営業地域とする電気事業者であり,平成18年3月15日,実用発電用原子炉である志賀原子力発電所2号原子炉(同原子炉とその付属施設を包括して,以下「本件原子炉施設」という。)の営業運転を開始した。上記原子炉は改良型沸騰水型原子炉(ABWR...