《解 説》
1 事案の概要
(1) Xは,運命判断,姓名判断,易,人生相談等の説明会及び相談の実施等を目的とする株式会社であるS社の取締役である。S社は,平成10年に「平成十一年神聖館開運暦」を発行し,次いで,「平成十二年神聖館開運暦」を発行した。平成11年5月,暦,雑誌その他の出版物の...
《解 説》
1 事案の概要
本件は,被告の設置する区立小学校の第2学年に在学していた原告(女子児童)が,同小学校の昼休みの休憩時間中に校庭で遊んでいたところ,一輪車に乗っていた同小学校の男子児童(第2学年に在学)に後方から衝突され傷害を負ったことにつき,公務員である同小学校校長には,原告...
《解 説》
1 本件は,建設業者であるYとの間で自宅新築工事の請負契約を締結したXが,同工事には,設計・施工上の瑕疵があるとして,Yに対し不法行為又は請負人の瑕疵担保責任に基づく損害賠償を請求した事案である。
Yは,本件請負契約に関して紛争が生じた場合には,愛知県建設工事紛争審査会の仲裁...
《解 説》
1 法人税法22条1項は,内国法人の各事業年度の所得の金額は,当該事業年度の益金の額から当該事業年度の損金の額を控除した金額であるとし,同条2項は,益金に算入すべき金額には,資産の販売,……無償による資産の譲受けその他の取引に係る収益であると定めているところ,損金に算入し得るも...
《解 説》
1 刑事裁判において,被告人が犯人かどうかはもっとも深刻な争点であるところ,このような犯人性について,目撃証言などの直接証拠がなく,いわゆる情況証拠(間接事実)による認定が問題とされる事案は少なくない。本件は,何者かが被害者の頸部を何らかの方法で圧迫して窒息死させて殺害し,死体...
《解 説》
1 本件は,簡易生命保険(養老保険)契約の保険契約者にして被保険者兼保険金受取人である被相続人の相続財産である被控訴人が,控訴人である日本郵政公社に対し,保険金の支払いを請求した事案である。
2 保険金受取人と保険契約者が異なる場合において,保険金受取人が死亡したときには,保...
《解 説》
1 本件事案の概要は,次のとおりである。
X1は,建築会社であるAとの間で,自宅の建替工事に係る請負契約(以下「本件請負契約」という。)を締結し,この請負代金支払のために,貸金業者であるYから,金銭を借り受けた(以下「本件消費貸借契約」という。)。また,X1の息子であるX2(...
《解 説》
1 原告が居住しているマンション(以下「本件マンション」という。)は,第1種中高層住居専用地域に所在するものであり,その隣地には,原告が居住部分(本件マンションの1階)を購入した当時から,被告所有の建物(以下「従前建物」という。)が存在していた。その後,従前建物は,新たな建物(...
《解 説》
1 外国法人A社は,D社から買収した医療機器事業をD社に代わって日本国内において行うためA社の傘下の会社を日本国内に設立することを決め,A社の100パーセント出資の子会社である外国法人E社が100パーセント出資して日本において医療器具の販売を目的とする内国法人B社を設立し,B社...
《解 説》
1 事案の概要
本件は,我が国において有名な日本語ワープロソフト「一太郎」及び統合グラフィックソフト「花子」の製造販売等の差止め訴訟の第一審判決(東京地判平17.2.1判タ1175号120頁)に対する控訴審判決として,報道等において大きく取り上げられた事件である。
Xは,「...
《解 説》
1 事案の概要
(1) 甲は著名な大企業の創業者の長男であり,関連会社の代表者を務めている者,乙は当該大企業から派遣されて,甲の会社の監査役を務めていた者である。
(2) 乙は,関連会社の監査役を務めるうちに甲から信頼されるようになり,甲が相続した莫大な遺産の管理等の業務を...
《解 説》
本件は,格闘技イベントの企画及び興業等を目的とする株式会社Kの元代表取締役である原告が,K社の所得を4事業年度にわたって隠し,3億円余りの法人税を脱税していたが,国税局から査察を受けて対応を被告に相談したところ,被告から,K社と訴外Aとの間で有名プロボクサーのMの日本招へいに関...
《解 説》
1 X1は,Yとの間で請負契約を締結しており,下請・元請の関係にあったが,X1は,民事再生手続を申し立てたところ,Yは,X1の下請業者Aほか3社に対して有する請負代金債務について,請負契約約款の立替払約款及び相殺約款に基づいて立替払をして,これにより取得した立替払金求償債権請を...
《解 説》
XはYに対する不法行為に基づく損害賠償請求債権(201万円余)を被保全債権としてYの都市銀行3行に対する預金債権の仮差押を申し立て,その際,仮差押債権として銀行毎に各本店及び同一県内支店(13ないし17店)を順位付けて表示した。原審は,金融機関に対する預金債権を仮差し押さえする...
《解 説》
1 本件事案の概要は次のとおりである。X1労働組合及びその下部組織であるX2分会は,平成7年12月1日,A労働委員会に対し,使用者であるYが助役らをして,X2分会の掲示板から掲示物を撤去したことが,X1,X2らの運営に対する支配介入に当たるとして,掲示物の撤去の禁止等を求める不...
《解 説》
1 本決定で職権判示の対象となった事件は,被告人が,伊藤萬株式会社(平成3年1月1日にイトマン株式会社に商号変更。以下「イトマン」という。)及びその子会社の取締役らと共謀の上,両社をして,被告人が実質的に経営する会社から高額な利益を上乗せした価格で多数の絵画を購入させて,イトマ...
《解 説》
1 本件は,大阪の中堅総合商社イトマンを舞台とした特別背任等の多数の経済犯罪から成るイトマン事件のうち,イトマンから巨額の融資を受けていた不動産会社のオーナー経営者であり,イトマンの元常務取締役でもあった被告人に係る事件であるが,本決定において採り上げられた論点は,被告人がイト...
《解 説》
1 本件は,大阪の中堅総合商社イトマンを舞台とした特別背任等の多数の経済犯罪から成るイトマン事件のうち,元社長を被告人とする事件であり,本決定が採り上げて職権判示を加えているのは,特別背任罪の構成要件であるいわゆる図利加害目的,とりわけ加害目的の点である。
2 背任罪や特別背...