《解 説》
1 Xは,平成14年5月18日,Yとの間で,アンティーク磁器他を,神戸市から東京都まで,自動車で運送する契約を締結したうえ,東京都まで運送した。
Yは,Xが運送した物品の梱包を解いて中味を確認したところ,運送品のうち,片手を挙げる女性を象った彫像の右腕が折れているのが発見され...
《解 説》
1 保険会社であるY1(控訴人,原審被告)は,交通事故の被害者であるX(被控訴人,原審原告)から自賠責保険金の請求を受けたのに伴い,その調査のためXに係る診療情報の開示請求及び取得事務(以下「本件事務」という。)の代行を受託し,受任者欄白紙の委任状にXの署名押印を得た。Y1は,...
《解 説》
1 事案の概要
患者Aは,平成12年7月,嘔気と軽度の回転性めまいを訴え,Yの設置・運営する被告病院に救急搬送された。Aは,被告病院において,精密検査を受けたところ,頸動脈狭窄及び未破裂脳動脈瘤が発見された。
Aは,被告病院担当医の勧めに従い,同年9月,未破裂脳動脈瘤をラッ...
《解 説》
1 本件は,数名の従業員を使って,登録を受けないで貸金業を営んでいた被告人が,多重債務者等に対し,融資を持ち掛けて少額の融資を繰り返すなどして,高利を取得し,その返済に係る元金及び利息を架空人名義の預金口座に振り込ませて架空人が取得したように仮装して,貸金業法の規制等に関する法...
《解 説》
1 私立学校を経営する学校法人Yは,教職員らの給与について,給与規程を置き,期末勤勉手当については,予め定められた期日に理事会が定めた額を支給すると規定していたが,実際の期末勤勉手当の支給は人事院勧告に準拠しておこなっていた。Yは,平成14年度及び平成15年度の人事院勧告がマイ...
《解 説》
第1 事案の概要
1 本件は,石川県河北郡津幡町(以下「津幡町」という。)の住民である原告らが,津幡町の執行機関である被告に対し,津幡町が同町内に建設を計画した施設(以下「本件施設」という。)につき建築請負契約(以下「本件契約」という。)を締結した特定建設工事共同企業体(以下...
《解 説》
1 本件は,交通事故(ひき逃げ)で負傷し,左下腿部を切断して義足を装着することとなったX(事故時20代の女性)が,加害車両の運転者であるY1に対しては,自動車損害賠償保障法3条又は民法709条に基づき,その損害賠償金の支払いを求め,加害車両の自動車保険の損保会社Y2に対しては,...
《解 説》
1 本件は,佐賀県の住民である控訴人らが,県の複写機使用料について架空の水増しが行われており,複写機使用料関係の支出の一部(本件支出)は違法であるとして,当時の県知事であった被控訴人個人に対して,本件支出に見合う損害賠償の支払いを求めるとともに,被控訴人県知事に対して,複写機リ...
《解 説》
1 事案の概要など
(1) 他社株転換特約付債券(EB)とは,社債の一種であり,償還日までに一定額の利息(クーポン)を受け取れるほか,将来の一定日時における転換の対象となる株式(転換対象株式)の株価により,払込金額が返還されるか,転換対象株式が返還されるという内容の債券である...
《解 説》
1 本件は,X信用金庫が,中小企業金融安定化特別保証制度(金融環境変化対応資金保証)に基づく静岡県信用保証協会の保証付きで各種金属機械器具の塗装を業とするA有限会社(A会社)に対して2500万円を融資した(本件融資)貸付金債務の残元利金2879万余円について,連帯保証(本件連帯...
《解 説》
1 事案の概要
Yは,医療機関に賃貸する目的で,本件メディカルビル(メディカルビルとは,1つのビル内に複数の医療機関や調剤薬局が入居するビルのことである。メディカルビルには,ある診察科目を受診した患者が他科を受診する可能性が高くなるということから,開業コストの低減,集患面での...
《解 説》
1 Xは,平成11年12月30日,岐阜県郡上郡に所在する鷲ヶ岳スキー場(以下「本件スキー場」という。)内において,パノラマコース第2ペアリフト付近をスキーで滑走中,その上方からスノーボードで滑走してきたYに衝突され,頚髄損傷等の重傷を負い,四肢麻痺,両上下肢機能障害等の重篤な後...
《解 説》
1 本件は,刑法238条の事後強盗における「窃盗の機会の継続性」が問題となった事案である。
本件では,強盗殺人の訴因について,その前提となる事後強盗の成否が争われた。その事案の概要については本件の第1審判決(判タ1182号347頁)を併せて参照されたいが,要するに,被告人は,...
《解 説》
1 本件は,被告人Xが,飲酒帰りのA,B,C及びYから自動車で各自の家まで送るように頼まれ,4名を乗せて出発したものの家を通り過ぎるなどしたため,火葬場までドライブすることになったが,その途中,Xと運転を交替したYがハンドル操作を誤るなどして車ごと川に転落し,X,A及びBは自力...
《解 説》
1 本件は,X(県)が,県知事の許可を得てYが県内に設置した産業廃棄物処分場内に違法に埋め立てた産業廃棄物をYが撤去しないときは,Xがその作業を行う必要があるとして,Yに対して,将来これを行った場合に生ずる事務管理に基づく費用償還請求権を被保全権利として,Y所有の自動車の仮差押...
《解 説》
1 本件は,当時15歳10か月の高校生であった少年が,社員寮の管理人室で(少年の両親は,同社員寮の住み込み管理人として同管理人室に居住していたもので,少年も同居していた。),当時44歳の実父の頭部等を鉄アレイで殴打し,そのけい部を洋包丁で突き刺すなどして殺害し,さらに,当時42...