《解 説》
1 本件は,82歳の女性のXが,約4年前に養子縁組をした僧侶であるY1とその妻であるY2に対し,離縁を求めた事案であり,その争点は,(1)養子縁組を継続し難い重大な事由があるか否か,(2)有責当事者の請求として本件離縁の請求が権利の濫用となるか否かである。
2 本判決が認定し...
《解 説》
1 本判決は,アニメの製作・供給等を業とするY1の委託に基づきアニメ作品の音声製作等を業とするY2が音声を製作したテレビ放送用アニメ作品に声優として出演したXら(出演者が死亡している場合の相続人を含む)が,その放送後,同作品がビデオ化されて販売されたことに伴い,Yらに対し,ビデ...
《解 説》
1 本件は,被害者が公園のベンチ上に置き忘れたポシェット(以下「被害品」という。)をその立ち去った直後に領得した被告人の行為が,窃盗罪に当たるか占有離脱物横領罪にとどまるかという,窃盗罪の要件たる被害者の占有継続の有無が問題となった事案である。
2 本決定は,窃盗罪の成立を認...
《解 説》
1 Xは,平成10年11月4日,Yの経営する大学附属病院において,右手の手根管症候群の治療のため,内視鏡により靱帯を切離する外科手術(以下「本件手術」という。)を受けたが,その後複合性局所疼痛症候群を発症し,右手に重大な神経障害が残った。
そこで,Xは,同病院の医師には,①本...
《解 説》
1 事案の概要
(1)英国国籍であるXは,傷害致死罪により懲役4年の実刑判決を受けた者であるが,名古屋拘置所に未決勾留されていた時期に種々の違法行為を受けたと主張して,Y(国)に対し,国家賠償請求をした。
(2)Xの主張する違法行為は①懲罰に関するもの,②保護房収容に関する...
《解 説》
1 原告は,被告の発行する中期国債ファンド(以下「本件中国ファンド」という。)を購入していた者である。被告は,大成火災海上保険株式会社(以下「大成火災」という。)発行のコマーシャルペーパー(以下「本件CP」という。)を本件中国ファンドの信託財産に組み込んでいたところ,いわゆる同...
《解 説》
1 本件は,耐火粘土(鉱業法上,「鉱物」として扱われる耐火粘土は,ゼーゲルコーン番号31以上の耐火度を有するものに限られると理解されている。)等の採掘権(鉱業権)を有するX(原告・控訴人)が,鉱区内において道路拡幅工事等(本件工事)を施工したY(被告・被控訴人)に対し,本件工事...
《解 説》
1 事案の概要
原告の父について相続が開始したので,原告ら相続人(3名)が相続税の申告をしたところ,被告が,相続財産中一部の不動産の評価額に誤りがあることを理由に,更正及び過少申告加算税の賦課決定をした。これを不服とした原告が,異議申立てをしたところ,被告は,財産評価基本通達...
《解 説》
1 本件は,被告の従業員(以下「被災者」という。)が自宅で突然死したことについて,被災者の母らが,被災者は被告における過重な業務が原因で死亡したものであり,被告には安全配慮義務違反があるとして,被告に対し,債務不履行に基づく損害賠償を請求した事案である。
2 被災者は死亡当時...
《解 説》
1 本件は,Yらが第三者との間でY信託銀行の一定の営業等の第三者への移転等に関する情報提供又は協議を行うことの差止めを求めた仮処分命令の申立てに係る許可抗告事件であり,社会的耳目を集めた事案である。
2 Xは,Yらとの間で,平成16年5月21日,Y信託銀行の一定の営業等(本件...
《解 説》
1 本訴は,原告が特許権者である被告に対し,原告が製造販売するソフトウェア(以下「本件製品」という。)をインストールしたパソコンは被告の特許権を侵害しないとして,被告の原告に対する本件特許権に基づく差止請求権の不存在確認を請求するとともに,被告が本件製品をインストールしたパソコ...
《解 説》
1 Xは,洗濯洗浄製品等の販売等を行う外国法人であるY1の従業員であり,Y2はXの上司であった。
Y1の組織は,取り扱う各製品群別に営業戦略の立案等を担当するGBU(グローバル・ビジネス・ユニット),市場戦略の開発等を担当するMDO(マーケット・ディベロップメント・オーガニゼ...
《解 説》
開発業者のAは,新潟県の新発田土木事務所長から都市計画法による開発行為の許可を受け,宅地開発をした。その結果,同法40条に基づき地方公共団体である新発田市に帰属する公園用地が生じた。この公園用地は,元農地であったものを,開発業者のAが取得し,これを農地転用したものであった。そこ...
《解 説》
1 本件事案の概要は次のとおりである。Yは,昭和52年に,A社とB社が出資して設立された会社であり,会社設立から平成13年2月末日までの間は,いわゆる正社員はおらず,A社及びB社からの出向社員がYの仕事に従事していた。Yは,平成13年3月1日,A社,B社からYに出向していた社員...
《解 説》
1 事案の概要
当初,フィリピン国籍のBと名乗った外国人女性が,旅券を携帯していなかったとして検挙された。アパート内の所持品中から同国政府発行にかかるB名義のパスポート写しが発見されたが,その後,女性は,「真実は,Bは年長の知人であり,自分はAである,B名義のパスポートは,数...