《解 説》
第一 事案の概要
1 事実関係
(1) 被服等を指定商品とする「FRED PERRY」の文字及び月桂樹の図形商標につき、もと英国法人FPS社が、世界一一〇か国において、商標権を有していた。X(一審原告・被告)は、FPS社から、我が国における本件商標権の譲渡を受けるとともに、一...
《解 説》
一 本件は、定款に株式の譲渡につき取締役会の承認を要する旨の定め(商法二〇四条一項ただし書)がある株式につき、会社に対して、株式の譲渡を承認すべきこと、これを承認しないときは他に譲渡の相手方を指定すべきことを請求した株主が、その請求を撤回することができるか、いつまでであればこれ...
《解 説》
1 Xらは,平成2年から平成11年までの間に,A会社の経営する「キッツゴルフ倶楽部君津コース」(以下「本件ゴルフ場」という。)の会員となるゴルフ会員契約を締結し,それぞれ入会保証金を預託した。
そして,入会保証金については,預託金証書発行の日から10年間据置き,その後は返還の...
《解 説》
一 本件は、Yが経営するホテル内において宝飾品が入ったバックの盗難に遭ったXが、当該盗難に関して上記ホテルの従業員に過失があったとして、Yに対し、民法七一五条一項に基づき、損害賠償請求をする事案である。
二 本件の事実関係は、次のとおりである。
Xは、宝石、貴金属の販売を業...
《解 説》
一 本件は、YのA会社に対する公正証書による債権差押えに疑問を持ったX会社の代理人の弁護士Bが「公正証書原本不実記載罪等でYを告発準備中である。」旨の内容証明郵便をYに送付し、その後Yに対し「告発がいやなら念書を書け。世間体や家族のこともあるだろう。」などと申し向け、「転付命令...
《解 説》
1 本件は,事案が輻輳しているので,判旨との関係で,事案を簡略化して述べると次のとおりである。本件は,資本金5億円でゲーム機器製造販売業を営んでいたX1会社及び同社の代表取締役であるX2が,平成8年1月ころまでに,日本を代表する総合電機メーカーであるY1会社との間で,同社及びそ...
《解 説》
一 ここに紹介するのは、平成一一年九月三〇日、我が国において初めて発生した臨界事故に関する刑事事件の判決である。本件臨界事故の概要は、核燃料加工事業者である被告人会社Aが茨城県東海村に有していた東海事業所内にある核燃料加工施設(転換試験棟)において、核燃料サイクル開発機構からの...
《解 説》
一 リクルート事件について
本判決は、「リクルート事件」と総称された一連の贈収賄事件のうち、贈賄側の中心人物として起訴された被告人に対する判決である。
リクルート事件は、昭和六三年半ばから平成元年にかけて、新聞、テレビ等のマスコミにより、ほぼ連日、大規模な疑獄事件として報道...
《解 説》
本件は,大日本除蟲菊の株主である原告が,同社の代表取締役兼取締役又は取締役であった被告らに対して提起した株主代表訴訟であり,自己株式取得に関する事件(甲事件)と新株の有利発行に関する事件(乙事件)とから成る。
1 甲事件について
(1) 事案の概要
大日本除蟲菊は,関連会...
《解 説》
1 本件の事案の概要は,「罪となるべき事実」及び「争点に対する判断」によれば,被告人が,共犯者1名と共謀の上(以下両名を合わせて「被告人ら」という),ビル2階にある中国式エステ店において,同店店長ほか3名(以下合わせて「店長ら」という)を同店内の出入口付近の待合室に集めて,けん...
《解 説》
1 本件は,愛知県の住民である原告らが,特別地方公共団体である名古屋港管理組合(本件組合)が,名古屋港水族館の管理について委託を受けた財団法人名古屋港水族館(本件財団)との間で締結した協定に基づき,本件財団が入手を予定しているシャチの購入費用等を本件財団に対して支出するのは違法...
《解 説》
一 本件の事実関係は、被告人が、警察官に対して、コンビニエンスストアで買ったオレンジジュースに異物が混入していた旨虚偽の申告をし、警察職員からその旨の発表を受けた報道機関をして、上記コンビニエンスストアで異物の混入されたオレンジジュースが陳列、販売されていたことを報道させたとい...
《解 説》
一 本件は、懲戒処分である戒告(以下「本件処分」という。)を受けた弁護士Xが、その取消訴訟を提起した上で、後日、同訴訟で勝訴し、本件処分が取り消されても、公告がされて本件処分が第三者の知るところとなり、弁護士としての社会的信用が低下する事態が生じるなどの回復困難な損害を被るとし...
《解 説》
1 訴外A(昭和8年生)は,工作機械の製造会社の代表取締役を務めていたものであるが,一過性脈虚血発作を起こし,頸部頚動脈に狭窄がある旨診断されたため,平成7年5月16日,Y1の経営する病院において,Y2医師の執刀により頚動脈内膜剥離手術(以下「本件手術」という。)を受けたところ...
《解 説》
1 訴外Aは,平成5年3月8日,Yの開設するB病院で胃痛,悪心等を訴えて診察を受けたところ,胃癌と診断されたため,B病院に入院し,同月17日,胃の切除手術を受けた。
Aは,同年4月6日,経過が順調であるとして退院を許可されたため,帰宅することにしたが,途中うどんを食べたところ...