《解 説》
一 本件は、貸金業者であるXが顧客であるYに対し、三口の貸付の返済を求めたところ、Yが同貸付は過剰貸付を禁止する貸金業の規制等に関する法律(以下「貸金業法」という。)一三条に違反する無効な貸付であって、信義誠実の原則、権利濫用の法理に照らしても許されないと主張して請求を争った事...
《解 説》
一 本件は、平成一〇年四月に破綻し金融再生法に基づき金融整理管財人による管理が行われた国民銀行が、頭取を含む旧役員合計一一名に対して融資にあたって取締役の善管注意義務あるいは忠実義務に違反したとして損害の賠償を求めた事案である。原告(国民銀行)は、その後、上記債権を株式会社整理...
《解 説》
一 本件は、いわゆるイトマン特別背任事件の共犯者として起訴された取引先会社の実質的代表者である被告人に対する商法違反(特別背任罪)及び法人税法違反事件の控訴審判決である。被告人は、自らのグループ企業の一つである関西コミュニティとイトマンとの間の絵画売買取引の譲渡益及びS社との間...
《解 説》
一 本判決は、特許出願の願書に添付した明細書又は図面の訂正請求の許否の判断の在り方について、注目すべき判断を示した。以下、この点を中心に紹介する。
二 被告は、名称を「動力伝達用チェーン、ガイドリンク及び動力伝達用チェーンの製造方法」とする発明の特許権者である。本件特許は、平...
《解 説》
一 事案を単純化すると、次のとおりである。すなわち、X及びYらは、不動産について同順位の根抵当権を有していたところ、Xは、被担保債権六三億円余(極度額六五億円)のうち八億円を請求債権として根抵当権実行を申し立てたが、不動産は約二五億円で売却され、配当段階において、Xは被担保債権...
《解 説》
一 本件は、自己を被保険者とする生命保険の契約者が死亡保険金の受取人を変更する行為が民法一〇三一条に規定する遺贈又は贈与に該当するか否かが争われた事案である。
二 X1は亡Aの妻、X2及びX3はX1、亡A間の子であり、Yは亡Aの父である。亡Aは、亡Aを被保険者とする生命保険契...
《解 説》
本件は、市議会議員である被告人が、懇意にしていた土木工事業者から請託を受けて、市が発注する公共工事の指名競争入札につき、上記業者が指名業者に選定されるようあっせんを行い、その報酬として現金五〇万円を収受したという公職にある者等のあっせん行為による利得等の処罰に関する法律違反の事...
《解 説》
一 本件は、精神病院に入院中に治療のため複数の向精神薬の投与を受けたXが、これらの薬剤の副作用によってスティーブンス・ジョンソン症候群(皮膚粘膜眼症候群。以下「SJS」と略称。)を発症し失明したとして、不法行為又は債務不履行に基づく損害賠償を求めた事案である。
一審(本誌八七...
《解 説》
一 本件は、同一所有者に属する二戸の区分所有建物(一階と二階)から構成される一棟の建物と敷地(分離型)に共同抵当権を有していた者が、二階部分につき不動産保存の先取特権に基づき申し立てられた競売における売却許可決定に対し、執行抗告を申し立てた事案である。抗告人の主張の要旨は、①申...
《解 説》
1 訴外A(昭和42年生)は,福岡県内に居住していたが,出産のため実家のある和歌山市に里帰りし,平成8年11月11日から,Y1の開設する日本赤十字和歌山医療センター(以下「B病院」という。)で定期的に受診するようになった。
そして,Aは,同年12月23日,陣痛が起こったためB...
《解 説》
1 本件は,外国国籍を有し,または有していたX1ないしX3が,Y1が経営する小樽市所在の公衆浴場に入浴しようとしたところ,外国人であることを理由に入浴を拒否されたことについて,憲法14条1項,国際人権B規約及び人種差別撤廃条約等に違反する違法な人種差別であるとして,Y1に対し,...
《解 説》
一 本件事案の概要は次のとおりである。Yの職員である警視庁C署の警察官は、平成一〇年四月二九日午前零時前後ころ、Xが路上に停車中であったA所有の軽自動車(以下「本件自動車」という)を蹴りつけ、車体右後部を凹損させたとして、Xを器物損壊の容疑で準現行犯逮捕した(以下「本件逮捕」と...
《解 説》
1 本件は,被告人が,うっぷん晴らしのため,平成11年8月13日深夜,自宅近くの住宅の軒下に積まれていた廃材の隙間に新聞紙を押し込んで,それにライターで火を付けて放火したが,廃材の一部を燃やしたのみで,住宅を燃やすには至らなかったという現住建造物等放火未遂罪(本件放火未遂事件と...
《解 説》
本件は、原告が行政機関の保有する情報の公開に関する法律(以下「情報公開法」という。)に基づいてした行政文書開示請求に対し、被告がした不開示決定処分(以下「本件処分」という。)の取消訴訟である。本件訴えは、平成一三年一二月二五日に提起されたが、その後被告が平成一四年七月一一日付け...
《解 説》
一 原告は、「建築物の骨組構築方法」の特許発明(被告が特許権者)につき無効審判請求をしたが、特許庁の審決は、原告の主張した無効理由すべてについて理由がないとして、審判請求を不成立とした。無効理由の一つに、本件発明は、同日に特許出願された発明と同一のものがあるときに関する特許法三...
《解 説》
一 本件は、公共工事に関して収集した情報を顧客に提供することなどを業とする会社の実質的経営者であったCが、その顧客会社の営業担当役員であった被告人Bと共謀して、公共工事の受注等に関して有利便宜な取り計らいを受けたことに対する謝礼及び今後も同様の取り計らいを受けたいなどの趣旨で、...