《解 説》
一 一審原告甲野は、大学院理学研究科を中退し、昭和五一年三月に、奈良県が設置する奈良県立医科大学の助手に採用され、以来、同大学の公衆衛生学教室に勤務するものである。
一審被告乙野は、平成五年四月に、甲野が所属する公衆衛生学教室の教授に就任した。
二 一審原告は、一審被告乙野...
《解 説》
一 昭和五九年に始まった週刊文春誌の「疑惑の銃弾」記事の連載に端を発するいわゆるロス疑惑報道について、通信社からの配信記事を掲載した新聞社に対し、名誉毀損を理由とする損害賠償請求訴訟が多数提起された。本件は、そのうち、いわゆる「配信サービスの抗弁」の法理が採用できるかどうかが問...
《解 説》
一 本件は、いわゆるロス疑惑報道に関する名誉毀損に基づく損害賠償請求訴訟であり、Xがロサンジェルスのホテルで、愛人に凶器で妻を殴打させ、殺害しようとしたという事件に関する報道について、その報道内容の真実性の立証が問題になった事件である。
Y新聞社は、Xが右殴打事件を理由とする...
《解 説》
一 昭和五九年に始まった週刊文春誌の「疑惑の銃弾」記事の連載に端を発するいわゆるロス疑惑報道について、原告が名誉毀損記事を掲載した新聞社及び新聞社に記事を配信した通信社に対して損害賠償を請求した一連の訴訟の一つであり、本件では、損害賠償請求権の消滅時効の起算点が争われた。
原...
《解 説》
一 本件は、通信社であるY社がA新聞社に配信した記事が名誉毀損に当たるとして、記事の対象とされたXがY社に対して損害賠償を請求した訴訟である。本件の配信記事は、女性関係で生活が乱れていたXが昭和五二、三年ころ、自宅で大麻を所持し、その事実を捜査機関が突き止めたということを内容と...
《解 説》
一 最高裁第三小法廷が平成一四年一月二九日に言い渡した一連のロス疑惑関連の損害賠償請求事件判決のうち、平成八年(オ)第二六〇七号事件判決・民集五六巻一号登載予定(本号一〇八頁)は、民法七二四条の消滅時効の起算点の問題を扱い、「民法七二四条にいう被害者が損害を知った時とは,被害者...
《解 説》
一 本件は、生花の下葉取装置に係る実用新案権を共有する原告らが、被告の製造販売する生花の下葉取装置が原告らの考案の技術的範囲に属すると主張して、被告に対し、実用新案権に基づき侵害行為の差止め等を求めたのに対し、その一部を認容した事案である。
菊などの生花を出荷する際には、生花...
《解 説》
一 A(昭和二七年生まれ、道路交通法違反により懲役二年の判決を受けた受刑者、平成八年七月一九日入所)は、アルコール性肝障害を有していたが、受刑施設を兼ねる拘置所の保護房に拘禁中に、七月二八日アルコール性離脱症候群により死亡した。Aの遺族であるXらは、これは、拘置所職員らが、Aを...
《解 説》
一 事案の概要
ロイヤルホテルは、ホテル事業を営む株式会社であるが、同じくホテル事業を営む本件関連会社が業績不振に陥り赤字決算を続けていたことから、同社に対して、複数の関連会社の資金の一元管理を行う会社を経由して継続的に融資をし、その間に策定された本件関連会社を含むグループ全...
《解 説》
一本件は、Xの商品の形態が周知な商品等表示であるとして、不正競争防止法二条一項一号に基づき被告商品の製造販売の差止等を求めた事案であり、その概要は、以下のとおりである。X(原告)は、合成樹脂製品等の製造販売等を業とし、昭和四二年ころから、ホームセンターなどで、購入者(以下「需要...
《解 説》
一 本願商標は、ウイスキーの大手メーカーであるXの商標登録出願に係るものであり、「角瓶」の文字を左横書きしてあり、指定商品を第三三類「角形瓶入りのウイスキー」とするものである。当該出願に対しては、特許庁において拒絶査定を経て、その不服審判においても不成立審決がされたため、その審...
《解 説》
一 Xは、本件著作物(手作りのオリジナル人形)の著作者から、同人形について、日本国内において第三者に対し著作権利用許諾を与える権限を独占的に授与されていると主張している。本件は、このようなXが、同人形の複製を製造して大手スーパーであるY2のクリスマスキャンペーンに使用する商品と...
《解 説》
一 Xらは、いずれもホモセクシャル(同性愛)もののビデオソフト(本件各ビデオソフト)の製作販売を行っている業者であり、Y1は中古ビデオソフトの販売会社、Y2はY1の代表者である。本件において、Xらは、Y1が市販されている本件各ビデオソフトを小売店で適法に購入した顧客からこれを買...
《解 説》
一 児童扶養手当は、いわゆる母子家庭の生活安定と自立促進のため、児童扶養手当法に基づき支給されるものであるが、同法四条一項は、その支給対象児童として、父母が婚姻を解消した児童(一号)など一定の類型の児童を定めた上で、同項五号で「その他前各号に準ずる状態にある児童で政令で定めるも...
《解 説》
一 本件は、Xらの長男A(当時中学二年生)が平成六年四月にY1町が設置していた中学校に転校し、通学していた同年七月一五日に自殺(本件自殺)したことに関し、Xらが、本件自殺の原因はY3生徒ら(同じクラスの生徒八名及び隣接クラスの生徒一名)がAに対していじめを繰り返し、これに対して...
《解 説》
一 本判決は、オウム真理教(以下「教団」という。)の信者で弁護士でもあった被告人が犯した多数の事件についての控訴審の判断である。被告人は、いずれも教団の利益を図るために、①教団に反対する活動を行っており、相手方の訴訟代理人でもあった弁護士に対する殺人未遂のほか、②法の規制を潜脱...