《解 説》
一 本件は、大学医学部の解剖学担当の元教授であるXが、後任の教授であるYは、Xの執筆した解剖実習の基本書である「解剖実習の手引き」(本件書籍)の内容を模倣した「解剖学実習」製本テキスト等(被告文書)を発行して学生に頒布して、本件書籍に関してXが有する著作権及び著作者人格権を侵害...
《解 説》
一 事案の概要及び本判決の内容は、判示事項との関係では以下のとおりである。
貨物船W号は、愛媛県沖の海峡において、貨物船S号と衝突して沈没し、W号の韓国籍乗船員Aら七名は、行方不明となって失踪宣告を受けた。W号は、ホンジュラス共和国において設立されたY会社が所有する同国籍の船...
《解 説》
一 本件は、いわゆる薬害エイズ刑事事件のうち元厚生省薬務局生物製剤課長に対する業務上過失致死被告事件の判決である。薬害エイズ刑事事件では、本判決に先立ち、既に元ミドリ十字社長らに対する大阪地判平12・2・24本誌一〇四二号九四頁(ミドリ十字事件)及び元帝京大学副学長に対する東...
《解 説》
一 本件事案の概要は以下のとおりである。
X(昭和一六年生まれの女性)は、平成九年五月、他院から指摘された左眼球後腫瘍の確定診断を受けるべく、Y(国)経営に係る国立大阪病院(被告病院)脳神経外科に入院し、同月九日にA医師らからの説明を受けて当該腫瘍の種類を確定するための腫瘍組...
《解 説》
一 本件は、Mの字を小さな突起のある丸で囲んだ図形と、その右に、「mosrite」の欧文字を横書きにしてなる商標につき商標権を有する原告が、これと類似する標章を付したギターをアメリカから輸入し、販売していた被告に対し、商標権に基づく差止め等の請求をした事例である。
二 本件で...
《解 説》
一 本件は、いわゆる製造物責任保険契約である損害保険契約(本件保険契約)の対象となった製造物である集塵機(本件集塵機)がその製造物業者のYから納入先のZのクリーニング工場に設置された後、当該集塵機内部からの発火による火災事故(本件火災)が発生してクリーニング工場が焼失したとして...
《解 説》
一 事案の概要
本件は、鹿児島県が計画している港湾埋立に関し、鹿児島県情報公開条例に基づき漁業補償等に関する文書の開示を求めた原告が、文書の一部について非開示処分とされたため、上記非開示処分は開示義務に反し違法であるとして、鹿児島県に対し、国家賠償法一条一項に基づき、県知事に...
《解 説》
本件は、児童数九名、職員数四名の公立小学校において教頭を務めていた原告の夫(以下「被災者」という。)が、児童のクロスカントリースキーの練習用コースの設営作業に従事した後、心筋梗塞の発作を起こし、再発性心筋梗塞による急性心不全により死亡したことが公務に起因するものか否かが争われた...
《解 説》
1 Xは,中小企業等協同組合法に基づき設立した信用協同組合であるところ,その理事長であったYが,在任中の①平成9年7月,回収困難であることを知りながら,訴外Aに対して1億6500万円を融資し,②平成10年9月,支店新築移転に適当でない土地を1億304万5000円で買い受けるなど...
《解 説》
一 本件は、小田急小田原線のうち、東京都世田谷区内である喜多見駅付近から梅ヶ丘駅付近までの線増連続立体交差事業(小田急小田原線とそれに交差する複数の幹線道路との立体交差化及び小田急小田原線の複々線化の事業)に関して、沿線住民である原告らが、事業の方式につき優れた代替案である地下...
《解 説》
一 本件は、労使紛争が激しい私立高校に労務担当者として採用された被告人が、学園と対立関係にあった教諭二名(A、B)を学園から排除しようと企て、元暴力団組長である共犯者甲らと共謀の上、まず教諭Aを銃撃したが、これが人違いにより失敗に終わると(別人のA'をAと誤認して銃撃し、負傷さ...
《解 説》
一 本件は、愛知県の住民ら一〇名が、愛知県芸術文化センターの建設工事に関して赤字補填のための代金水増しがあったなどと主張して、建設業者らに対し、愛知県に代位して損害の賠償を求めた住民訴訟である。
二 愛知県芸術文化センターの建設工事については、本件の原告のうち四名を含む住民ら...
《解 説》
一 本件は、母親Aに連れられて幼稚園に通園途中のXが、すれ違った散歩者Y1の連れていた犬に咬まれて負傷したとして、Y1及びその親である加害犬の所有者Y2に対して損害賠償を求めた事案である。
Yらは、Y1が、Xとすれ違う際、加害犬をつないでいたひもをぐるぐると巻き付けて首輪の鎖...
《解 説》
一 事案の概要
原告は、平成五年一〇月の鎌倉市長選挙において当選し、平成九年一〇月の同選挙においても再選を果たして、現在、二期目の鎌倉市長の地位にある者である。
被告甲野は、JR鎌倉駅西口広場前所在の甲野ビルの所有者、被告市民の会は、鎌倉市の行革を市民サイドから推進し、公正...
《解 説》
一 事案の概要
本件は、第二次世界大戦中の旧オランダ領東インド(現インドネシア)地域において、日本軍の構成員から虐待等の被害を受けたとして、日本軍の捕虜又は民間人抑留者であったオランダ人八名が、日本国に対して、一九〇七年の陸戦ノ法規慣例ニ関スル条約(ヘーグ条約)三条に基づいて...
《解 説》
視覚障害者Xは、大阪市営地下鉄御堂筋線天王寺駅ホーム上で、発車直後の地下鉄車両と接触して線路脇に転落して傷害を負ったため、当該駅の設置管理者である大阪市(Y)に対し、選択的に、①ホームの設置又は管理の瑕疵を理由に、国家賠償法二条一項に基づく損害賠償、②Yの担当公務員の過失を理由...
《解 説》
一 商標法七八条、三七条四号の輸入罪の成否が問題となった事案である。
判文によると、被告人は、クレジット会社の登録商標類似の商標の付いた偽造途中のカード(「生カード」)を輸入したが、その目的は、このカードを日本国内で、関係者に渡し、関係者が偽造を完成させた上、不正に使用して、...