《解 説》
一 本件は、市立中学校教諭のXが、市教育委員会が教職員定期健康診断の一環として実施した結核の有無に関するエックス線間接撮影の方法による検査(エックス線検査)を受診せず、校長が職務命令として発したエックス線検査受診命令を拒否したことなどを理由に減給処分をされたため、その取消しを求...
《解 説》
一 本件は、中小企業等協同組合法(以下「法」という)に基づいて設立された個人タクシー事業者の事業協同組合において、執行部に反対する組合員五名について除名決議をした組合が、被除名者五名に対して、その組合員たる地位の不存在の確認を求めたものである。内四名については一審で和解が成立し...
《解 説》
一 事案の概要
X(原告、抗告人)は、Y(被告、相手方)に無断欠勤を理由に解雇されたため、解雇事由はなく解雇は無効であると主張して、雇用契約上の地位の確認、解雇後の賃金の支払などを請求する訴えを提起し、受訴裁判所(福岡地裁小倉支部)に対し、「病気欠勤の場合の給与支給額・期間な...
《解 説》
一 判示冒頭に要約されているように、本件は、平成一〇年四月一日から期間一年の常勤講師としてY(私立中学高校等を設置している学校法人)に雇用されたXが、平成一一年三月三一日限りで雇用契約を終了する旨告知を受けたことについて、常勤講師契約は実質において期限の定めのないものである、仮...
《解 説》
一 本件は、供託金の還付請求を認可した供託官の行為の違法を理由とする国家賠償請求事件において、「供託所に提出又は提示すべき代表者又は管理人の資格を証する書面、代理人の権限を証する書面であつて官庁又は公署の作成に係るもの及び印鑑の証明書は、その作成後三月以内のものに限る。」と規定...
《解 説》
一 本件は、かつて水俣湾周辺地域に居住し、後に関西地方に移り住んだ原告らが、被告チッソ水俣工場からのメチル水銀化合物を含む排水によって汚染された水俣湾周辺地域の魚介類を摂取したことにより、そのメチル水銀が体内に蓄積され、様々な症状等が生じる水俣病に罹患したとして、被告チッソに対...
《解 説》
一 本件は、大学生であるXが、「大学教授であったYから、試験をすると称して自宅に呼びよせられて結婚を求められたり、執拗に電話をかけられたりするなどのストーカー行為を受けた。」などと主張して、Yに対して、慰謝料の支払を求める本訴を提起したのに対し、Yは、Xを自宅に呼びよせたこと、...
《解 説》
一 本件事案の概要は次のとおりである。Xは、四六筆からなる一団の土地(以下「本件一団の土地」という)の所有者であった。本件一団の土地のうち一一筆の土地、約七〇〇〇坪が、土地収用法に基づき、国に収用された。その結果、本件一団の土地は、南北二区画に分断されることになった。そこで、国...
《解 説》
一 本件は、茨城県下の町長であるXが、暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律に基づく指定暴力団の組長であるY1及びその組員であるY2らから、延べ四五日間、合計五九回にわたって、町役場あるいは町長宅付近等において、Xが町の発注した公共工事において談合組織を作り、入札価格を漏...
《解 説》
一 事案の概要
本件は、愛媛県宇摩郡新宮村の住民である原告らが、同村が公金を支出して同村所在の観光施設に観音像(本件観音像)を設置したことについて、憲法二〇条三項の政教分離原則に違反し、業者との間の請負契約締結の方法が随意契約の制限に関する法令にも違反する違法な財務会計上の行...
《解 説》
一 本件の本案事件は、麻疹・おたふく風邪・風疹の三種混合ワクチンであるMMRワクチンの予防接種後に死亡又は重篤な障害を発症した幼児及びその親権者らが、死亡又は障害はワクチン接種の副反応によるものであるとして、MMRワクチンの製造販売を承認した国及びワクチン製造メーカーを被告に損...
《解 説》
一 事案の概要
1 本件は、原告ら(県立養護学校教諭一名、県立高校教諭二名)がそれぞれ被告県教育委員会から受けた懲戒処分(本件各処分)について、各処分の理由を基礎づける事実の不存在のほか、その事実は卒業式における日の丸掲揚及び君が代斉唱に関連し、校長はそれを実施する権限を有し...
《解 説》
一 本件は、貸金業者Y(被告)の従業員が、利息制限法により計算をすれば残債務が存在しないにもかかわらず、計算根拠不明の多額の債務の存在を主張し、弁済しなければ裁判を起こすなどと執拗にX(原告)に対し弁済をせまったことについて、その取立行為が不法行為に該当するとして、慰謝料一〇万...
《解 説》
1 仲介業者から分譲販売用の土地の紹介を受けた原告は,その土地の売買契約を締結し,代金を支払った上,顧問司法書士である被告に委任して所有権移転登記を経由したが,その後,登記申請に用いられた土地の登記済証が偽造であり,土地所有者に成り済ました者に売買代金等を詐取されたことが判明し...
《解 説》
一 本件は、被害者の女性と不倫の関係にあった被告人が、深夜自動車内で口論となった際、被害者を殺害して自らも死のうなどと考え鋭利な刃物で被害者の左胸部を突き刺したが、「被告人の言うとおりにする」、「被告人のことが好きだった」などという被害者の言葉を聞いたことを契機として、その自動...
《解 説》
本件は、被告人(当時三二歳)が当時の被告人方において、女性(当時三四歳)に暴行・脅迫を加えて同女を強姦し、さらに、同女が畏怖しているのに乗じて、同女から二回にわたり、現金合計四〇万円を喝取したとして起訴された強姦及び恐喝の事案である。
その主たる争点は、被告人方における被告人...
《解 説》
一 本件は、国立ハンセン病療養所の入所者・元入所者である原告らが、被告国に対し、①らい予防法(昭和二八年法律第二一四号。以下、本判決の表記に従い「新法」という)の下で厚生大臣が策定・遂行したハンセン病の隔離政策の違法、②国会議員が新法を制定した立法行為又は新法を平成八年まで改廃...