《解 説》
一 本件は、民法(平成一一年法律第一四九号による改正前のもの)九七四条三号(現行法の同条二号と同じ。)により証人又は立会人となることができない者が同席して作成された公正証書遺言の効力が問題となった事案である。
二 肝臓ガンで死亡したAは、死亡の前日付けで公正証書遺言をしたが、...
《解 説》
1 本判決は,百日せき・ジフテリア・破傷風の3種混合ワクチンの予防接種による後遺障害に関する国家賠償請求事件である。
X1(当時4歳,女児)は,昭和63年1月,福島県A郡B村において,3種混合ワクチンの集団予防接種を受けたところ,4日後から発熱により急性脳症が発症し,その後け...
《解 説》
一 本件は、事案の概要に記載のとおり、参議院議員であるA及びその妻らが、年金会オレンジ共済等の名称で、代理店制度を利用するなどして、貯蓄型オレンジスーパー定期等の商品について顧客から預り金を受け入れる事業を行っていたところ、それは、右預り金について運用する意思も運用している事実...
《解 説》
一 Xらは、いずれも昭和四〇年前後に高卒でY会社に採用されたが、その当時、Y会社では、職分制度が導入されており、社員の採用は採用後の任用職分を前提に一種ないし四種等の採用試験によるものとされていた。高卒の場合、男子が専門職務従事要員として職分二級任用を予定した、本社において採用...
《解 説》
一 XはA所有の本件土地建物を不動産競売手続により競落して所有権を取得した。そして、Xは、BY2Y3に対し、本件土地建物につき引渡命令を得た上、引渡命令の執行までの間Y1会社の占有を解いて執行官に保管を命ずる保全処分決定を得た。さらに、Xは執行官から本件建物の引渡を受けた。
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《解 説》
一 本件は、いわゆる薬害エイズをめぐる刑事事件のうち、ミドリ十字の社長らに対する大阪地判平12・2・24本誌一〇四二号九四頁に続き二番自に言渡しのあった、元帝京大学副学長に対する業務上過失致死被告事件の判決である。本件公訴事実は、昭和六〇年五月から六月にかけて三回にわたり、関節...
《解 説》
一 訴外A(昭和二五年生)は、Y1会社が主催するスキューバダイビングの講習会に参加し、平成九年九月二三日、Y2の指導のもとに静岡県熱海市伊豆山沖でスキューバダイビング中、エアエンボリズム(空気塞栓症)に罹患し、救急車で近くの病院に搬入されたが、死亡するに至った。
そこで、その...
《解 説》
一 「サブリース」という言葉を今更詳しく説明する必要はあるまい。とにかく不動産業者が土地所有者にビルを作らせ、ビルのオーナーとなった土地所有者からそのビルを一括して賃借(当初から転貸の承諾付きで、賃借年数は長期、賃料自働増額・最低賃料保証特約付きが多い)し、テナントを募って転貸...
《解 説》
一 本件は、市街化区域内にある農地の所有者が、小作農に対して小作料の増額請求をした事件であり、いわゆる宅地並み課税による固定資産税及び都市計画税の増加を理由に、農地法二三条一項(平成一二年法律一四三号による改正前のもの)に基づいて小作料の増額を請求することの可否が争われたもので...
《解 説》
本件は、水性ボールペン等の筆記具のインキ筒に関する考案につき実用新案権を有していた原告が、被告に対して実用新案権侵害を理由として損害賠償を請求した事案であるが、主たる争点として、考案の実用新案登録請求の範囲にはインクの逆流防止剤が「ポリブテン」よりなることとされていたところ、被...
《解 説》
一 本件は、隣接する地盤の軟弱な敷地にそれぞれ居宅を所有しているX・Y間で、まず昭和六三年ころにX宅が建築され、次に平成六年になってY宅が建築された場合において、Xが、Y宅の建築工事に際して実施された杭打ちの基礎工事によってX宅が不同沈下したと主張して、Yに対し、X宅の不同沈下...
《解 説》
第一 事案の概要
一 本件は、大韓民国に在住する韓国国籍の女性であるXらが、Y(国)に対し、(Ⅰ)日中戦争及び第二次世界大戦中に、(1)X1~X3三名(元従軍慰安婦)については、日本軍により台湾・上海等の慰安所に連行され、いわゆる従軍慰安婦として長期間にわたり多数の軍人との性交...
《解 説》
一 本件は、Xが、Yがその製油所で行っている石油の脱ロウ方法が、Xの有していた(平成元年九月一三日で存続期間満了)特許権(以下「本件特許権」という。)を侵害しているとして、損害賠償を求めた事案である。
本件では、Yの行っている右方法が、本件特許の技術的範囲に属するか(論点1)...
《解 説》
一 本件判決が前提とした事実及びその認定事実によれば、本件の事案の概要は以下のとおりである。
Xは、Y銀行と普通預金契約を締結し、副印鑑(格子状のラミネートシールが貼られたもの)が押捺された本件通帳の交付を受け、X事務所内に保管していたところ、平成一一年一二月二九日午後九時こ...
《解 説》
一 本件は、Y1が設置する児童相談所が一時保護措置の対象としていた児童であるAの養父X1及び実母X2が、同相談所の所長Y2と職員Y3がAを帰宅させる条件としてXらの離婚を強要したと主張して、Y1に対しては使用者責任又は国家賠償法一条一項所定の責任に基づき、Y2及びY3に対しては...
《解 説》
一 本件は、三筆の土地をYら一八名と共有するXが、Yらに対し、隣接地である自己所有地五筆との境界確定を求めた事案である。訴訟では、Xの主張と異なる境界線を主張してXの請求を争ったY1以外のYらは、具体的な主張をしなかった。
本件では、境界に関するXとY1の主張を明らかにする作...