《解 説》
一 Xは、平成八年三月、Y1会社との間で、木造セメント瓦葺二階建居宅兼診療所(以下「本件建物」という)を、代金三七一五万円で新築する旨の本件請負契約を締結した。
そして、Xは、同年六月、本件建物が完成したので、代金全額を支払って本件建物の引き渡しを受け、一階を診療所、二階を居...
《解 説》
東京都国立市においては、JR国立駅から南方に向かって「大学通り」と呼称される広い通りが伸び、一橋大学の前を通って、学校法人X1学園の経営する私立小・中学校及び高校方面に至っている。建設会社Y2は、不動産販売会社Y1からの発注を受け、大学通りの南端、X1学園と道路を挟んで南側の本...
《解 説》
Aは、平成六年一月、精神病院であった△△病院を開設する医療法人であったY1に保安要員として雇用されたが、同年四月二八日、同病院で勤務中、死亡した。
Aの相続人であるXは、Aは、同病院の精神科入院病棟を巡回中、複数の入院患者から暴行を受け、同病院の医師の診察を受けたにもかかわら...
《解 説》
一 本件は、平成九年三月に起きたいわゆる東電OL殺人事件の控訴審判決である。事案は、東京都渋谷区のアパートで女性が殺害され現金を奪われたというもので、被害者が、大手企業の相当な役職にある会社員であるとともに、渋谷の街角で売春を繰り返していたという事情が判明したことなどから、社会...
《解 説》
本件は、XらがYら(宗教法人法の華三法行及びその幹部)の行う足裏診断を受け、多額の研修費等を払って研修に参加したが、その足裏診断は、悩み事を抱えるXらに害悪を告知した上、Yらの教えに従えば害悪を回避し得ると断定するなど詐欺的・脅迫的なものであり、そのような手段を用いて、不相当に...
《解 説》
一 Xは、平成六年六月ころ、顎関節症と診断され、スプリント療法を受け、歯科医院に通院するなどしていたが、平成一〇年八月、同僚の紹介でYの経営する歯科医院を訪れて診察を受けた。
同医院における諸検査の結果、咬合不全、神経筋機構の異常等の所見が認められたため、Yは、顎関節の位置関...
《解 説》
一 交通事故の被害者等の逸失利益を算定するに当たり、一時払いを前提とすると、被害者が将来の一定の時点において受けるべき損害を損害算定の基準時点における現価として算定するため、将来の時点までの運用利益を控除しなければならないことになるが、その中間利息の控除割合については、これまで...
《解 説》
一 Xは、ノンフィクション作家であり、ソニー株式会社の沿革等に関する連載記事を執筆して夕刊フジ紙(首都圏を中心に販売される日刊夕刊紙)に掲載していたものであるが、同社の創業者で、最高相談役であった井深大氏の死去直後、同連載記事のなかで、その葬儀の様子を記述した記事(原告著作物)...
《解 説》
本件は、リース会社Xが、花卉の販売業者であるY1に対し、生花を貯蔵する保冷庫をリースしたが、Y1がリース料の支払をしないので、Y1及び連帯保証人Y2に対し、契約に基づき、残リース料四五三万余円から、Xにおいてリース物件を他へ売却した代金二九五万円のうち、売却時の修理代九〇万余円...
《解 説》
一 本件は、依頼者が弁護士に対し、支払った金員の返還及び委任契約上の債務不履行に基づき損害賠償を求める弁護過誤訴訟である。
X(大正一二年生、看護婦)は、Aに老人ホーム建設の協力を持ち掛けられ、金員を貸し付けたが、これには実体がなくAに騙されたものであった。また、Aが他から借...
《解 説》
一 ①事件及び②事件はいずれも、被告が販売等している商品(①事件では磁気活水器、②事件では小型ショルダーバッグ)の形態が、原告の販売等している商品の形態を模倣したもので、被告の行為は不正競争防止法二条一項三号の不正競争行為に当たるとして、原告が被告に対し、同法三条に基づいて販売...
《解 説》
一 本件は、いわゆるカラオケボックスにおいて、カラオケ装置を使用して音楽著作物を再生し、客がこれに合わせて歌唱するということについて、その経営者に著作権侵害ないし使用料相当額の不当利得が成立するかどうか、成立するとした場合に賠償又は返還すべき金額がいくらとなるのかが争われた事案...
《解 説》
本件は、オフィスビルの賃借人であるX(被控訴人)らが、賃貸借契約終了に伴い、賃貸人であるY(控訴人)らに対し、預託保証金から約定の償却費、未払賃料等のほかXらが自認する原状回復費用を控除した残額の返還を求めたところ、これに対し、Yらが、反訴として、償却費、未払賃料等と原状回復費...
《解 説》
本件は、築一五年のマンションの住人が漏水、溢水等の事故について管理組合、管理会社、保険会社を相手に損害賠償請求をした事件の控訴審判決である。
当事者の地位や事故との対応関係、責任原因等が複雑で分かりにくいので、判示と関係のある部分のみを整理すると、次のとおりである。
控訴人...
《解 説》
Xの子A(昭和四八年一二月生の男性、死亡当時二一歳)は、若年で慢性腎不全に罹患して、昭和六三年一一月以降、Yの設置する腎臓病センターに通院しており、平成六年二月に内シャント手術(体外の透析装置に血液を循環させるための出入口を作る手術)を受けた後、維持透析治療を開始し、右センター...
《解 説》
1 X1の母X3は,平成4年6月頃妊娠し,同年8月から,Yの設置する「沼津市立病院」において,診察等を受けていたところ,平成5年4月2日,陣痛を感じたため,同病院に入院し,同日午後7時46分,帝王切開によりX1を娩出したが,X1は,出生時重症仮死状態にあったため,重篤な脳性麻痺...
《解 説》
一 新聞配送業務を行うY会社に勤務していた被用者Aが、急性心筋梗塞により死亡したため、その遺族であるX1、X2は、右Aの死亡は会社における長時間の過重労働に起因するとしたうえ、YにはAの健康状態に対する配慮や勤務時間・体制等の改善を怠った安全配慮義務の不履行があったと主張し、Y...