《解 説》
本件は、X名義でY(信用金庫)に寄託されていた本件定期預金について、Xの妻Aが、Yの訴外会社(Aが役員をし、経理責任者として勤務していた。)に対する融資の根担保として差し入れていたところ、訴外会社が融資の返済をしないまま倒産したため、Yが本件定期預金について融資金と相殺処理する...
《解 説》
本件は、X(申述人、抗告人)が、その父(被相続人)が死亡したが、同人が生前にその債務(本件債務を含む。)を含む遺産のすべて(ただし、本件マンション敷地の一部持分を脱落させていた。)を長男A(Xの兄)に相続させる旨の公正証書遺言(本件遺言)をしていたため、自ら相続する積極・消極財...
《解 説》
一 Xは、歯間の隙間等の外貌の審美的改善の目的でYの開設する歯科医院に来院したが、治療中に顎関節症を発症し、スプリント装着等の治療を受けた後、健全な自然歯について抜髄し、歯冠のかなりの部分を削り取った上、自然歯の上に咬合的にも審美的にも理想的な人工の歯冠修復物を被せることにより...
《解 説》
一 被告はエンジンキーをつけたまま、錠をかけないで自動車を路上に駐車させたところ、泥棒がこれを運転して物損事故を起こした。この損害を補償した損害保険会社が被告に訴訟を提起した。
二 一審大阪簡裁は、被告の駐車行為と事故との因果関係を認め、請求を認容した。二審大阪地裁は、駐車に...
《解 説》
一 XはY証券会社との間で株式や投資信託の委託取引を行っており、Yの担当者甲からA銀行の株の買付けを勧められたことがあったが、これを断った。ところが、送付された取引報告書によりA銀行株二万株を買い付けたことになっていること(第一取引)を知り、甲に無断取引であるとして抗議の電話を...
《解 説》
一 本件は、「インターネットの時限利用課金システム」という名称の発明(以下「本件発明」という。)について特許権を有するXが、プリペイド型電子マネーを利用するインターネット少額決済システム(①事件)及びダイアルアップ方式によるインターネット接続サービス事業(②事件)といった、イン...
《解 説》
一 本件は、被告人が同僚のホステスを殺害し、現金や家財道具などを奪ったといういわゆる松山ホステス殺人事件の控訴審判決である。
二 原審では被告人に強盗殺人の故意があったかが争点となったが、原判決はこれを認めて、被告人を無期懲役刑に処した。これに対し、被告人が控訴し、控訴審では...
《解 説》
一 X1X2(いずれも広告代理店であり、代表取締役は甲)は、Yから俳優養成学校の開校・生徒募集についての新聞・雑誌広告の制作・掲載の(X1)、車内広告の制作・掲載の(X2)、各注文を請け負い、これを実施した。Yは、いずれ俳優養成学校経営の運営母体として法人を設立するが、それまで...
《解 説》
一 本件は、速度違反自動監視装置(いわゆる「オービス」)による写真撮影を困難にするナンバープレートを製造した行為が、道路運送車両法九八条一項にいう自動車登録番号標の偽造に当たるとされた事案である。
二 自動車登録番号標は、道路運送車両法施行規則一一条でその様式が定められており...
《解 説》
本件は、東京都台東区上野の面積一二坪の借地(商業地)上にある築後六〇年以上を経た老朽化した店舗兼住宅の明渡し請求事件である。家主は、自分の経営していた会社が銀行に負っていた債務二六五〇万円を承継したが、年金生活のため元本の返済ができず、唯一の資産である本件貸家を金銭に換えて、借...
《解 説》
一 本件の本案事件は、S信用金庫の会員であるXが、S信用金庫の理事であったYらに対し、理事としての善管注意義務ないし忠実義務に違反し、十分な担保を徴しないで融資を行い、S信用金庫に損害を与えたと主張して、信用金庫法三九条において準用する商法二六七条に基づき、損害賠償を求める会員...
《解 説》
一 本件の本案事件、本件文書提出命令の申立て及び原決定等の内容は、最高裁平成一一年(許)第三五号同一二年一二月一四日第一小法廷決定・民集五四巻九号登載予定・本誌本号九五頁と同一である。本件は、本案事件の被告であるYが、原決定を不服として、抗告許可の申立てをしたものである。
二...
《解 説》
一 事案の概要
ホテル経営を業とするAと建築請負等を目的とするBはホテル建築工事請負契約を締結し、Yは、Bから、このうち給湯用配管設備工事を下請けした。
右工事完了から約五年七か月経過後、給湯用配管設備のパイプの接合部が抜け、大量の温水等が流出して右建物が水浸しになるという...
《解 説》
一 事案の概要
本件は、愛媛県西宇和郡伊方町の伊方発電所において、加圧水型の本件原子炉(二号炉)の増設を予定していた四国電力株式会社が、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律(昭和五二年法律第八〇号による改正前のもの。以下「規制法」という。)二六条一項に基づいて行...
《解 説》
一 本件は、暴力団組員である被告人が、使用貸借の目的とされていた土地を所有者に無断で賃借りし、同土地上の簡易施設を改造して本格的店舗を構築したことが、不動産侵奪罪に問われた事案である。
二 本件の事実関係は、次のようなものである。
1 本件土地は、A不動産が所有するアスファ...
《解 説》
一 本件は、不動産侵奪と恐喝の事案であるが、判示事項と関係があるのは、不動産侵奪の点であり、東京都の公園予定地の一部に、無権原で、簡易建物を構築するなどした被告人の行為が、同罪に問われたものである。
一審判決(本誌一〇二三号二七八頁)は、不動産侵奪罪の成立を肯定したが、原判決...
《解 説》
一 A(金融機関)はYに対し①②二口計六一〇〇万円貸し付け(①は代理貸付)、XはYから保証委託を受けAとの間でYの各貸金債務を連帯保証した。Aは、Xに対し、Yが延滞した計四八五五万円余の支払いを請求した。その後、AはBに債権譲渡をしたので、XはBに対してYの貸金連帯保証債務を有...