《解 説》
一 事案の概要
控訴人らの被相続人である甲は、被控訴会社の設立当時からの取締役で、被控訴会社が保険会社との間で、甲を被保険者、被控訴会社を保険金受取人とする生命保険契約(法人の役員及び幹部職員を対象とした経営者保険で、普通傷害保険契約が付されていた)を締結する際に、自己を被保...
《解 説》
一 Xは、画像処理システムの企画、設計、開発等を業とする会社であり、Yは、コンピュータ・事務用機器及びソフト等の販売をする会社である。Xはコンピュータグラフィックス用ボード等のA会社(カナダの法人)と取引があったが、A社の商品を日本で販売するため、Yとコンピュータグラフィックス...
《解 説》
一 事案の概要―公立小学校に入学した児童が、その入学当初以降、同じクラスの児童らからいじめを受けたとして、その児童がいじめをしたとされる児童の親ら及び公立小学校を運営する自治体を相手方として、親(親権者)らに対しては監督義務違反を理由に、自治体に対しては教育的配慮義務(安全配慮...
《解 説》
一 訴外Aは、高名な画家である訴外Bが所有していた本件土地につき、Bの登記申請委任状や世田谷区長の作成名義のBの印鑑登録証明書を偽造し、それら偽造書類を使用して、平成八年三月、BからAへの贈与を原因とする所有権移転登記を経由した。その後の同年四月、売買を原因として訴外Cに所有権...
《解 説》
一 本件は、X1、X2男女が、Y女に対し、三人で同棲していた間の生活費の分担合意に基づく負担分の支払と、X1がYの暴行により傷害を負ったことによる損害の賠償を求めた事案である。原判決は、三人の間での生活費の分担についての合意は努力目標を定めたにすぎないので法的な支払義務はなく、...
《解 説》
一 本件は、漁業協同組合が漁業権設定海域でダイビングをするダイバーから徴収する潜水料が不当利得になるかどうかが争われた事件であって、先に本誌九二五号二六四頁で紹介した控訴審判決の破棄差戻し後の控訴審判決である。
二 事案の内容と訴訟の経過は以下のとおりである。
Yは、昭和二...
《解 説》
一 被控訴人は、薬剤自動分包機を製造、販売し、右分包機に適合する薬剤分包機用紙管(芯管ともいう。)に薬剤分包用紙(分包紙ともいう。)をロール状に巻き付けて、同機械の購入者病院、薬局等に販売しているが、右芯管に関する意匠権(存続期間昭和五九年二月二九日から平成一一年二月二八日)の...
《解 説》
一 甲は、昭和五七年八月、Y保険会社との間で、自らを被保険者、死亡保険金受取人を父乙とし、支払保険金一〇〇〇万円とする生命保険契約を締結した。
ところが、乙は、昭和五八年一月に死亡し、その相続人である甲も死亡したが、甲には相続人が存在しないため、乙の兄弟姉妹又はその子、孫であ...
《解 説》
一 家畜改良増殖法二九条は、「家畜人工授精所の開設者は、その家畜人工授精所において家畜人工授精用精液の提供を求められたときは、正当な理由がなければ、これを拒否してはならない。」としている。
原告は被告兵庫県の開設する家畜人工授精所で家畜人工授精用精液の提供(売り渡し)を求めた...
《解 説》
この事件は、商品取引の会社が顧客に対して取引の清算金の支払いを求めた本訴に対して、担当者の断定的判断の提供、無断売買、無意味な反復売買、必要のない両建を行うなどの不法行為があったとして、顧客が会社に対して、損害賠償の反訴請求をした事件である。
一審判決は、顧客の供述をほぼ全面...
《解 説》
一 平成九年四月三日午後九時ころ、大韓民国南岸の巨済島南方約一〇キロメートルの海上において、同国籍のタンカー「オーソン№3号」(以下「オーソン号」という)が座礁し沈没した(以下「本件事故」という)。本件事故により、タンカーの積み荷であったC重油推定約一八六キロリットルが流出し、...
《解 説》
一 第二次世界大戦当時、フィリピンに進駐してきた日本国の軍隊の兵士らから暴行、監禁、強姦等を受けて著しい精神的苦痛を被ったとして、フィリピンの女性ら(Xら)が、日本国(国)に対し、一人につき二〇〇〇万円の損害賠償を請求した事案である。
Xらは、原審において、加害行為自体の違法...
《解 説》
一 ドメイン名とは、インターネット上において特定のホームページ等に到達するためにコンピューターに入力する記号であり、末尾が「jp」(日本を示す。)のドメイン名については、社団法人日本ネットワークインフォメーションセンター(JPNIC)がその割当てを管理している。
Yは、簡易組...
《解 説》
一 Xは、警備、車両運行管理等を業とする会社であるが、競業会社であるYはXを退社した従業員を通じて不正に取得した営業秘密を用いて営業活動をしていると主張して、Yに対し、不正競争防止法二条一項四号に基づき、当該情報を用いた営業活動の差止めを求めた。
Xが「営業秘密」として保護を...
《解 説》
本件は、X名義でY(信用金庫)に寄託されていた本件定期預金について、Xの妻Aが、Yの訴外会社(Aが役員をし、経理責任者として勤務していた。)に対する融資の根担保として差し入れていたところ、訴外会社が融資の返済をしないまま倒産したため、Yが本件定期預金について融資金と相殺処理する...
《解 説》
本件は、X(申述人、抗告人)が、その父(被相続人)が死亡したが、同人が生前にその債務(本件債務を含む。)を含む遺産のすべて(ただし、本件マンション敷地の一部持分を脱落させていた。)を長男A(Xの兄)に相続させる旨の公正証書遺言(本件遺言)をしていたため、自ら相続する積極・消極財...
《解 説》
一 Xは、歯間の隙間等の外貌の審美的改善の目的でYの開設する歯科医院に来院したが、治療中に顎関節症を発症し、スプリント装着等の治療を受けた後、健全な自然歯について抜髄し、歯冠のかなりの部分を削り取った上、自然歯の上に咬合的にも審美的にも理想的な人工の歯冠修復物を被せることにより...