《解 説》
一 本件は、米国のジーンズメーカーであるXが、日本のジーンズメーカーであるYに対して、不正競争防止法及び商標権に基づいて、Y標章の使用行為の差止め等を求めた事案である。
Xの不正競争防止法に基づく主張の概要は以下のとおりである。
Xは、次の四種類の標章(①弓形ステッチ、②5...
《解 説》
一 本件は、オウム真理教の出家信者で教団科学技術省次官の地位にあった被告人が、①教祖及び教団幹部らが松本市内でサリンを発散させ七名を殺害し四名に傷害を負わせた事件(松本サリン事件)を犯した際、噴霧車を製作してその犯行を幇助し、②東京の地下鉄電車内にサリンを散布させて一二名を殺害...
《解 説》
一 被告人は、殺人罪及び覚せい剤取締法違反の罪で起訴されたが、公判において、殺人罪について殺意を否認し、弁護人は、被告人の殺人罪に関する供述調書及び被告人が殺人の犯行状況を再現した実況見分調書はいずれも違法収集証拠であるなどと主張して、その証拠能力を争った。これに対し、本判決は...
《解 説》
一 Xは、他の少年らと共に、大阪市内でAを殺害し、その死体を遺棄したという大阪事件、愛知県内でBに暴行を加え、瀕死の重傷を負わせた上、Bを木曽川河川敷に遺棄して殺害したという木曽川事件、愛知県内でCらを自動車内に不法監禁し、暴行を加えた上、金品を強奪し、さらにCらを長良川河川敷...
《解 説》
一 ①事件及び②事件は、いずれもイタリアの銃器メーカー(X1)と、これとの間でその各種商品等表示や実銃の形態を玩具銃に使用することなどに関してライセンス契約を締結した日本国内の玩具銃メーカー(X2)が原告となって、日本国内の他の玩具銃メーカー(Y)を被告とした訴訟であり、(1)...
《解 説》
一 本件は、医師に対する不法行為に基づく損害賠償請求と千葉市に対する国家賠償法一条一項に基づく損害賠償請求との主観的併合請求であるが、判例として紹介する価値があるのは前者のほうである。
二 前者の請求は、原告が、精神科医である被告に対し、被告が同被告経営の病院において、原告の...
《解 説》
一 X1は、平成三年六月、Yが設置管理する病院において双子を出産したが、その際、第二子Aに臍帯脱出が生じたため、重度の仮死・無酸素脳症の状態で出生し、その後、誤嚥による呼吸不全により死亡するに至った。
そこで、X1とAの父であるX2は、(一)医師において、分娩開始時にAの胎位...
《解 説》
一 X1とX2の子である訴外Aは、平成八年一二月、奈良県内で発生した交通事故により多発外傷の傷害を負い、翌日、右傷害により死亡した。
そこで、Xらは、加害運転者であるYに対し、損害賠償を請求したが、逸失利益については、事故当時、Aは、一四歳(昭和五七年生)の健康な女子中学生で...
《解 説》
一 X1とX2の長男A(小学五年生)と次男X3(小学三年生)は、Yが主催し、平成八年三月二六日から同月二八日にかけて、群馬県利根郡片品村で実施されたスキー教室に参加し、同月二六日夜、他の五人の児童とともに、尾瀬岩鞍スキー場のリフト山麓駅付近より更に上に上っていき、Aのそりに二人...
《解 説》
一 Xは、マンションの販売を目的とする不動産業を営む会社であり、東京地裁八王子支部の競売において、分譲高層マンションを建築する計画をもって立川市富士見町内の本件土地と同地上の建物を代金二億六三一八万九〇〇〇円で買受けたが、本件土地は、立川飛行場の滑走路の延長線上に位置し、航空法...
《解 説》
一 本件は、大手証券会社Aが大口顧客である訴外会社Bに対して損失補填を行ったことによりAに補填相当額の損害を生じたとして、Aの株主であるXらが、その決定・実施に関わった当時のAの代表取締役であるYらに対し、商法二六六条一項五号に基づき損害賠償を求める株主代表訴訟である。
二 ...
《解 説》
一 概要
(1) 事案の概要
本件は、知事から港湾内の埋立免許を付与され、公有水面埋立権を有する原告が、埋立予定水域内の防波堤にプレジャーボート三隻を係留して当該水域を占有している被告らに対して、公有水面埋立権に基づく妨害排除請求ないし妨害予防請求として、プレジャーボートの...
《解 説》
一 甲は子である乙に遺産全部を包括遺贈する旨の遺言をして死亡した。甲の子である丙らが遺留分減殺請求をし、それにより遺産は乙と丙らの共有に帰した。遺産は多数の土地・建物と株式及び美術品等である。丙らは、当初、全遺産につき共有物の分割を請求したが、最終的には、不動産及び株式の分割及...
《解 説》
第一 事案の概要
一 事実関係
1 被告(被上告人)は、昭和六一年五月二一日、「レールデュタン」の片仮名文字を横書きした商標につき、指定商品を商標法施行令(平成三年政令第二九九号による改正前のもの)別表第二一類「装身具、その他本類に属する商品」として、商標登録出願をし、商標登...
《解 説》
一 本件は、昭和二二年に婚姻したX(台湾・中華民国籍)とY(中華民国籍に帰化した日本人)の間において、昭和五三年一〇月三日に協議離婚が成立したとしてその旨の届出が受理された際、XからYに対し、本件土地と既に滅失していた本件土地上の建物につき、財産分与を原因とする所有権移転登記が...