《解 説》
一 本件は、(1)小牧市長として同市を統轄代表し、同市の事務を管理執行するとともに、同市が発注する土木建築工事の設計、監理業務委託に関し、委託業者を選定し、請負契約を締結する等の職務権限を有していた被告人Aが、①平成三年八月九日午前七時ころ、自宅において、建築等の設計・監理等を...
《解 説》
一 本件は、戸籍上の父であるXが、嫡出否認の訴えの出訴期間経過後に、戸籍上の子であるYを被告として、親子関係不存在確認の訴えを提起した事案である。本件訴えの適法性、すなわち、形式的には民法七七二条により父子と推定される関係にあっても、例外的に、嫡出否認の訴えによらないで、親子関...
《解 説》
一 BがYから本件工事を請け負ったが、AがBから請負人の地位を引き継いでYから本件工事を請け負い、本件工事は当初予定の最終工程まで一応終了し、本件建物は社会通念上の建物として完成し引き渡された。
Aに対する債務名義を有するXは、AのYに対する工事残代金債権について差押命令の発...
《解 説》
一 訴外Aは、平成六年七月当時、埼玉県立春日部高校二年に在学し、山岳部に所属していたが、同月二〇日、山岳部教諭三名に引率され、同校山岳部八名とともに、山形県西村郡朝日町の大日岳(標高一八七〇メートル)の夏山登山合宿に参加し、登頂に成功した後下山をしたが、途中で自力で動けなくなり...
《解 説》
一 本件は、保険金詐欺目的の殺人による一攫千金をもくろんだ被告人が、共犯者Mに宝石販売業を開業させ、その従業員として雇った被害女性Kを被保険者とし、受取人をMとする災害死亡保険金一億円の生命保険をかけさせた上で、無理心中を装うため、予めMがテレホンクラブを利用して被害男性Sを誘...
滞納処分による差押えがされた後強制競売等の開始決定による差押えがされるまでの間に賃借権が設定された不動産が強制競売手続等により売却された場合において当該賃借権に基づく不動産の占有者に対して引渡命令を発することの可否(積極)
《解 説》
一 本判決は、元衆議院議員で、労働大臣を務めたこともあった被告人が、議員在職中に犯した判示の各事実に対して、懲役四年の実刑判決を言い渡したもので、起訴当時から世間の耳目を集めていた事件に対する判決である。
事案の概要は、被告人が、財団の常務理事の地位にあった被告人の秘書らと共...
《解 説》
一 内閣総理大臣(金融再生委員会の権限を代行)は、平成一〇年一〇月二三日、金融再生法三六条等に基づき、日本長期信用銀行について特別公的管理を開始すること及び預金保険機構(被告)が長銀の株式を取得することを決定し、同月二八日、被告が長銀の株式を取得することを決定した旨を公告した。...
《解 説》
一 本件は、被告人が、親権者となっていた次男D(当時三歳)らを連れて、Aと同棲を始めたが、AがDらにせっかんを繰り返すようになったのであるから、親権者兼監護者としてせっかんを制止して保護すべき立場にあったところ、AがDに対し暴行を加え、硬膜下出血等の傷害を負わせて、脳機能障害に...
《解 説》
一 訴外Aは、平成三年ころから、動作や歩行が緩慢になり、記憶障害、失禁、異常行動がみられ、介護が必要となったため、平成五年四月から、特別養護老人ホームに入所したが、入所前の同年二月二五日、自ら公証役場に出頭したうえ、公正証書により遺言をした。
しかし、Xは、Aがした公正証書遺...
《解 説》
一 本件は、建物につき、滞納処分による差押えがされた後不動産競売手続による差押えがされるまでの間に、短期賃借権が設定された場合において、続行決定に基づいて進められた不動産競売手続で買受人となった者の申立てにより、右短期賃借権に基づく占有者に対して引渡命令を発することができるかど...
《解 説》
一 本件事案の概要は以下のとおりである。
Y(被告・被控訴人)は、平成一〇年四月、携帯電話の契約名義変更手続について、Aに代理権を授与するとともに、健康保険証を交付した。Aは、消費者金融業者X(原告・控訴人)の自動契約機を通じて、右健康保険証及びY名義で開設した信用金庫の預金...
《解 説》
一 本件は、民訴法の改正によって新設された少額訴訟制度において、異議後の訴訟の判決(少額異議判決)に対して控訴をすることができないとして不服申立を制限している民訴法三八〇条一項の規定が憲法三二条に違反するかどうかが問われた特別上告事件である。
二 本件訴訟は、X(被上告人)が...
《解 説》
一 昭和五七年度の国家公務員の給与引上げ等を内容とする人事院勧告につき、政府は財政状態のひっ迫等を理由に同年九月に右勧告の不実施(凍結)を決定した。本件は、右凍結を不服とする全農林労働組合が人事院勧告の完全実施等の要求を掲げて大規模な時限ストを行ったところ、全農林の中央執行委員...