《解 説》
一 本件は、地方自治法(以下「法」という。)二四一条一項に基づき普通地方公共団体が設けた基金に属する現金の運用行為(金融機関への預託行為)が住民訴訟の対象とされたきわめて珍しい事案であり、同種の先例は見当たらない。
二 普通地方公共団体は、条例の定めるところにより、特定の目的...
《解 説》
一 X(エジプト・アラブ共和国国籍)は、恐喝被告事件により懲役一年一〇月の実刑判決を受けたが、東京拘置所に未決勾留されていた時期に、刑務官らから度々違法行為を加えられたと主張して、Y(国)に対して、国家賠償請求をした。
Xが主張した刑務官の違法行為は、(A)①Xが何もしていな...
《解 説》
被相続人Aは、所有していた甲建物と乙建物及び各建物の敷地である甲土地(所有権)と乙土地(借地権)並びに預貯金につき、甲土地建物(時価約六七〇〇万円)を同建物でA夫婦と同居していた長男Bに、乙土地建物(時価約二四〇〇万円)を同建物でかつてA夫婦と同居していた長女Cに、預貯金(約九...
《解 説》
一 事案の概要
1 平成5年9月30日に、沖縄県内の国道上で、対向車線に進入したY1の運転する自動車が対向車線を走行してきたAの運転する自動車と衝突する事故が発生し、Aは同日死亡した。そして、Zが、Aの権利義務を承継した。
2 Aに対する四〇〇〇万円の債権についての債務...
《解 説》
一 本件は、Y社に雇用され長崎造船所において就業していたXらが、始業時刻前及び終業時刻後の作業服及び保護具等の着脱等に要した時間が労働基準法上の労働時間に該当するなどと主張して、Y社に対し、右着脱等に要した時間について割増賃金の支払を求めた事案である。
二 Y社長崎造船所にお...
《解 説》
一 本件は、Y社に雇用され長崎造船所において就業していたXらが、始業時刻前及び終業時刻後の作業服及び保護具等の着脱等に要した時間が労働基準法上の労働時間に該当するなどと主張して、Y社に対し、右着脱等に要した時間について割増賃金の支払を求めた事件の控訴審判決に対するXらの上告に係...
《解 説》
一 最高裁第一小法廷は、本年三月九日に、預託金会員制ゴルフクラブの会員が破産した場合にその破産管財人が破産法五九条一項に基づいて会員契約を解除することができるかどうかを争点とする事件について二件の判決を言い渡した。そのうちの一件である本件は、本年二月二九日に第三小法廷が言い渡し...
《解 説》
一 最高裁第一小法廷は、本年三月九日に、預託金会員制ゴルフクラブの会員が破産した場合にその破産管財人が破産法五九条一項に基づいて会員契約を解除することができるかどうかを争点とする事件について二件の判決を言い渡した。本件は、そのうちの一件であり、年会費の定めのないゴルフクラブの事...
《解 説》
第一 事案の概要
一 本件は、XとYが各自の有する債務名義に基づき、同一の債権を二重に差し押さえたため、執行裁判所が、第三債務者からの供託金をXとYに案分して配当する旨の配当表を作成したところ、Xが異議を述べ、Yに対し、手続費用等を除く供託金の全額をXに配当するよう、配当表の変...
《解 説》
一 Yはいわゆる外国語会話学校を開設する会社であり、英国人のXは英会話講師としてYに雇用されてきた者である。Xらは、平成九年六月、上部組織たる労働組合に加入し、同組合日米英語学院支部を結成し、平成一〇年二月ころから昇給等を要求してYと団交を行うなどしていたが昇給については妥結に...
《解 説》
一 本件は、内縁の配偶者の一方が死亡した場合に離婚による財産分与に関する民法七六八条が類推適用されるか否かという法律問題を含む事件である。
二 事実関係の概要は、以下のとおりである。
1 A男は、昭和二二年にB女と婚姻し、B女との間にY1とY2との二名の子をもうけた。A男は...