《解 説》
一 本件は、シンナーの乱用を断ち切れない長男のことで悩んでいた被告人が、長男方において、そのシンナー吸引の再開を知り、シンナー缶を持ち帰ろうとしたところ、長男から頚部下部付近を両手で押さえつけられ、親よりシンナーの方が大事だなどと罵倒されるに及んで、憤慨するとともに深い絶望感に...
《解 説》
一 X社は平成四年一月に設立された資本金一〇〇〇万円の株式会社であり、いわゆる同族会社である。AはX社の設立当初から実質的に同社の全株式を所有しており、当初はX社の役員には就任していなかったものの同社に対する実権を握っていた。平成六年一〇月、AはX社の経営を実弟のBに委ねること...
《解 説》
Xは、日本に在留するブラジル人女性であるが、Yらの経営する宝石店に入り、ショーケースを眺めていたところ、Y1から国を尋ねられ、ブラジルと答えた途端、外国人の立入りは禁止であると告げられた。Xが理由を尋ねると、Y1は「出店荒らしにご用心!」とのチラシを指し、店から出ないと警察を呼...
《解 説》
一 本件は、①防衛庁調達実施本部(以下「調本」という。)に防衛装備品を納入していた会社二社が、契約金額の算定根拠となる工数を長年にわたり水増しして申告してきたことなどにより、代金の過払いを受けてきたところ、右過払いの事実が公になるのを免れるため、当時の調本本部長及び副本部長が、...
《解 説》
一 本件は、労働者の死亡が労働者災害補償保険法(以下「法」という。)七条一項一号等にいう「業務上の死亡」に当たるか否かが争われた事件である。本件の被災労働者は、セメント原料等による多量の粉じんが飛散している事業場等においてアーク溶接作業に延べ一六年以上にわたり従事した者であり、...
《解 説》
一 本件は、業務用娯楽機械、家庭用ゲーム機器等の製造販売を業とする株式会社である債務者に雇用されていた債権者が、それまで所属していた部署から担当業務のない「パソナルーム」と呼ばれる部署に異動させられ、それと前後して退職勧告を受け、それを拒否したところ、労働能力が劣り、向上の見込...
《解 説》
一 本件は、被告人が、次期町長選挙に立候補することを決意し、町助役を退任した後、合計九二名の町職員に対してビール券合計四六〇枚(時価合計三三万七六四〇円相当)を供与して寄附したとの公訴事実により起訴された事案についてのものである(なお、被告人は、問題となる寄附行為の約二か月後に...
《解 説》
一 本件事案の概要は次のとおりである。
1 Xら二名は、アスファルト製造、販売等を営むY会社の従業員であるが、昭和六〇年八月、労働組合に加入した。
2 平成五年四月以降、Y会社は、Xらを当時の職務であった舗装機械の運転作業(以下「オペ作業」という。)に一切従事させず、このた...
《解 説》
本件は、故三島由紀夫との交際などを描いた小説「三島由紀夫――剣と寒紅」(本件書籍)について、その遺族が、出版社(Y1)、Y1の出版局長(Y2)及び執筆者(Y3)を相手に出版差止め等を求めた事案である。本件書籍には、三島由紀夫がY2に宛てて書いた未公表の手紙及び葉書(一五通、本件...
《解 説》
一 本件は以下のような事案である。
1 原判決は、罪となるべき事実として、被告人が、法定の除外事由がないのに、平成一〇年一一月一六日、東京都渋谷区所在のマンション内の被告人方居室において、回転弾倉式けん銃一丁(モデルガンを改造したもの。以下「本件改造けん銃」という。)を所持し...
《解 説》
一 生命保険会社であるXらはY1を被保険者としてY1、Y2(実質的にはY1の経営する会社)と生命保険契約を締結したが、契約の公序良俗違反及び詐欺無効約款を理由として、Yらに対して生命保険契約に基づく債務不存在確認と既払の入院給付金相当額の返還を請求した。一審では、Xらが敗訴した...
《解 説》
一 公正取引委員会は、平成七年八月八日、Yら五社が地方公共団体が発注する上水道施設の計装設備工事の入札をめぐり談合を繰り返していたと認定して、対象期間内に受注実績のなかった一社を除くYら四社に対し課徴金納付命令を出した。
本件は、右課徴金納付命令の対象とされた工事に関して各地...
《解 説》
Xは、東京都港区三田所在の本件土地を購入して本件土地にマンションを建設することを計画し(本件事業=三田プロジェクト)、必要な資金をYから借り入れるべく、平成二年九月、Yに対し、借入申込書(本件書面)を作成し提出した。これに対し、Yは、保証会社が債務保証する旨の条件を付して融資を...
《解 説》
一 本件は、いわゆるリクルート事件政治家ルートのうちの藤波元内閣官房長官に対する受託収賄事件である。公訴事実は、被告人が、内閣官房長官在任中の昭和五九年と六〇年の二回にわたり、リクルート社のE社長らから、国の行政機関において国家公務員の採用に関し民間の就職協定の趣旨に沿った適切...
《解 説》
一 本件は、衆議院議員選挙に立候補を予定して政治活動をしていた弁護士Xが、Y県警により業務上横領の被疑事実で在宅送致された(後に嫌疑不十分で不起訴処分となった)際、容疑を認める旨の公表をY県警が報道機関へ行った(以下「本件広報活動」という)ため、これによって名誉が毀損された等と...
《解 説》
一 Y商工信用組合は、A社との間で信用組合取引に関する取引契約を締結し、A社に対して右契約に基づく貸付けを原因とする貸付金債権を有し、右取引契約から生ずる債権を担保するために合計一七の土地・建物について、極度額一億五〇〇〇万円とする根抵当権(本件根抵当権)を有している(残元本一...