《解 説》
一 事案の概要
本件は、訴外川崎市(以下「市」という。)から被告に対してされた二筆の公有地(以下「本件各土地」という。)の売払契約(以下「本件各売払契約」という。)が、被告の元代表取締役Aから市の用地部長Bに対する賄賂(Aの贈賄罪及びBの受託収賄罪につき、いずれも有罪・実刑判...
《解 説》
一 事案の概要
XはA社の株主であり、Y4はB社の代表取締役、その余の被告はA社の取締役ないし監査役である。A社はB社と業務等で提携するに先立ち、第三者割り当ての方法で発行されたB社の株式を引受け、一四億七二五〇万円(額面普通株式三一〇万株、一株あたりの発行価額四七五円)を払...
《解 説》
東金市内で宅地開発を計画し土地を購入したXは、開発許可を得るため、Y1(東金市)に対し、Y1が策定した宅地開発指導要綱に基づき教育衛生寄附金を支払い、また、都市計画法三二条所定の同意を得るため、本件開発地域からの排水を流す排水路に慣行的な管理権限を有する法人格なき社団である水利...
《解 説》
一 弁護士Yは、民事保全事件の疎明資料として、別件の家事調停申立書の控え(以下、本件文書という)を裁判所に提出した。別件の家事調停は、Yが受任して申し立てたものであり、その申立書にはXの身上、経歴、紛争の実情等の内容が記載されていた。そのため、保全事件の債務者Aがこれを閲覧して...
《解 説》
一 本件は、昭和一二年の廬溝橋事件から昭和二〇年の我が国によるポツダム宣言受諾までの間の日中戦争中に、中国国民である原告らないしその配偶者その他の肉親らが、中国大陸に侵攻した日本軍ないしその軍人から、強姦未遂、拷問、捕虜虐待、人体実験、無差別爆撃などという加害行為を受けて甚大な...
《解 説》
一 Y1は、Y2の設置する大学の学生であるが、同大学の管理下にあるコンピューターシステム内に開設したホームページに「三月一四日入学手続日の混乱の詳細」と題する、Y1らと対立する学生グループであるXらが傷害事件を起こし刑事事件になったという印象を与える文書を掲載した(後に同ページ...
《解 説》
一 本件は、預託金制ゴルフクラブの会員らが、同クラブの経営者に対し、預託金の据置期間満了前にその返還を求めた事例である。
Yは預託金制ゴルフクラブ(以下「本件クラブ」という。)を経営する会社であるが、預託金の据置期間満了後において、Xらを含むすべての会員が集中的に預託金返還を...
《解 説》
一 本件は、平成四年七月一四日に被告病院で胃及び脾臓の全摘手術を受けた原告が、ビタミンB1欠乏によるウェルニッケ脳症を発症し、直近の記憶を保持できない近時記憶障害をはじめとする後遺症が残ったことについて、被告医師らには、栄養を経口摂取できない原告に対して術後三六日間にわたり高カ...
《解 説》
一 事案の概要
皇太子と皇太子妃との結婚の儀が平成五年六月九日に、その饗宴の儀が同月一五日から一七日に行われた。招待を受けた神奈川県知事であった被告長洲一二(Y1)は県から旅費計二万六四〇〇円の、同県議会議長であった鈴木一誠(Y2)は同じく旅費計六三〇〇円の支出を受けて、両儀...
《解 説》
一 多重債務者である原告から債務整理の依頼を受けたA弁護士が、右債務整理の過程で、貸金業者と新たに各債務の弁済契約を私的和解の中で締結したが、その中身が利息制限法の制限を超えた従来の貸付けにおける約定利率を前提とした分割弁済の内容であり、原告は右合意に基づいてその後一定の支払を...
《解 説》
本件の控訴審における主たる争点は、司法書士である納税者の所得金額について、登記業務の年間報酬金額算定の基礎となる平均単価の算出方法の合理性と類似同業者の特前平均所得率の算出において所得率が五〇%を超える同業者を排斥すべきかどうかという点にあった。
まず前者についてみると、課税...
《解 説》
T県公文書公開条例二条においては、実施機関を知事、教育委員会等とし(同条三項)、県議会を含めておらず、公文書の定義としては、「実施機関の職員が職務上作成し、又は取得した文書……であって、決裁、供覧等の手続が終了し、実施機関が管理しているものをいう。」と定めている(同条一項)。
...
《解 説》
一 本件は、関税法一〇九条の禁制品輸入罪の、実行の着手の有無が問題とされた事案である。
事案の概要は、原判決の認定によれば、ドイツ人である被告人が、二重底にした二つのスーツケースに大麻樹脂を隠して、シンガポールから航空機で新東京国際空港に到着したものである。被告人は、黒色スー...
《解 説》
本件は、江戸風俗の資料画等を描く画家であるXが、佃煮類の製造販売業者であるYに対し、Yのキャラクターデザイン(Y図柄)がXの図画を複製し、かつ、一部修正したものであるとして、複製権、同一保持権に基づくY図柄の使用差止め等並びに右各権利及び氏名表示権の侵害に基づく損害賠償を請求し...
《解 説》
一 僧侶である原告は、被告寺院の代表役員であったが、包括宗教法人である日蓮正宗から、法主阿部日顕名で被告寺院の代表役員の地位を罷免する懲戒処分を受けたため、日顕が法主の地位に就くために必要な血脈相承(けちみゃくそうじょう)という宗教上の秘伝を受けていないとして、右罷免の無効を主...
《解 説》
一 本件事案の概要は、次のとおりである。
Yは、芸能プロダクションを経営していた者であるが、Aの依頼により、演歌歌手を出演させるディナーショウを企画し、X経営のホテルにおいて、平成七年一二月と平成八年一二月の二回にわたり、宴会を催した。ところが、Yがその代金を一部支払わなかっ...
《解 説》
Xは、昭和一七年一一月生まれの男性で、平成四年七月に運転手としてYタクシー会社に勤めた者であるが、同八年一二月一九日に同九年一月末日をもって解雇する旨通知された。その理由は、「Xが従業員としての適性を著しく欠く」というものであった。Xは、この解雇が権利濫用であり、また、Xが労働...
《解 説》
一 事案の概要
本件は、登校途中の女子小学生二名が誘拐され、その翌日に、山中の道路付近斜面に頚部を絞められて殺害された右二名の死体が遺棄されているのを発見されたという事案である。本件では犯人性が争点として激しく争われ、証拠上被告人の犯人性を直接基礎付ける証拠は存在しなかったた...