《解 説》
一 本件控訴理由は多岐にわたるが、その中で法律上特に重要な争点は、原審が、殺人及び死体遺棄の共同正犯において、実行行為者につき択一的な認定をし、犯行の日時、場所、方法について厳密な特定をしない認定をしたことがいずれも判決の理由不備に当たるかという点(争点①)及び、原審が、実行行...
《解 説》
本件は、東京電力が、同社支店及び営業所等において、架空又は水増しの発注を行って、総額約六〇〇〇万円の裏金を作り、これが発覚してもって税務当局より更正決定を受けて追徴課税されたことについて、代表取締役の被告らには代表取締役として業務監視を行うべき注意義務の懈怠があったとして、同社...
《解 説》
一 本件は、覚せい剤の自己使用及び所持の事案であり、捜査の経過は次のとおりである。被告人が路上に駐車中の自動車内において覚せい剤を注射して使用し、その後も車内にいたところ、警察官らは、大麻を吸っている男がいるとの一一〇番通報により現場に臨場して職務質問をし、所持品を見せるよう説...
《解 説》
一 Xらは、Y(学校法人)の設置する大学の教授である。本件は、Xらが、Yに対して、教授会の審議を経ずにされた学長、学部長の任命、薬学部教授の採用が無効であるとして、学長らの各地位が存在しないことの確認を求め、薬学部教授の採用により教授会の審議権を侵害されたとして慰謝料の請求をし...
《解 説》
一 左大腿骨を骨折したAは、平成五年八月二一日、Y1の開設する病院の当直医の診察を受けた。同医師が、鎮痛のため、麻酔薬キシロカイン一〇ミリリットルを硬膜外注入したところ、Aはショック状態に陥ったが、昇圧剤等の投与により回復した。同医師は、これをカルテに記載し、医師指示票に、鎮痛...
《解 説》
一 本件は、大学入試センター試験(以下「センター試験」という。)を受験後、横浜市立大学(以下「横浜市大」という。)の入試を受験し合格した原告が、横浜市公文書の公開等に関する条例(以下「本件条例」という。)に基づき、被告横浜市長に対し、センター試験個人別成績一覧(本人に係る分)(...
《解 説》
一 本件は、パソコン通信事業・関連情報処理サービス会社であるXが、Yに対して、「Yは、Xがプロバイダーとして運営しているパソコン通信サービスの会員に対して、わいせつビデオ販売を内容とする電子メールによるダイレクト・メールを送信する一切の行為」の差止めを求めた仮処分事件である。
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《解 説》
一 本件特別抗告事件の本案訴訟は、親族間において不動産所有権の帰属を争う訴訟である。控訴審において、XらのYらに対する請求を認容した第一審判決に対するYらの控訴を棄却する原判決が言い渡された。Yらは、原判決に対し、上告状及び上告受理申立書を提出して上訴し、それぞれについて理由書...
《解 説》
一 本件は、原判決に対して敗訴当事者であるXが上告受理の申立てをしたが、原裁判所が民訴法三一八条一項の事件に当たらないことを理由に右申立てを却下する旨の決定をしたため、Xが抗告許可の申立てをしたところ、原裁判所がこれを許可した事案である。抗告許可申立て理由書に記載された抗告理由...
《解 説》
一 原告は、「大径角形鋼管の製造方法」という名称の本件発明の特許権者であったが、被告が無効審判を請求し、本件発明が進歩性を欠くとして本件無効審決がされた。本件は、原告が本件無効審決の取消しを請求する審決取消訴訟である。原告は、本件訴訟を提起するとともに、明細書の特許請求の範囲を...
《解 説》
本判決は、更正登記を行うことができる限界が問題となる一場面に関して論ずるものである。
一 本件事案の争点は多岐にわたるものであったが、本判決が採り上げた論点に関する事実関係は、次のようなものであった。本件の被上告人であるXら三名と、上告人二名のうちのY1は、いずれも、昭和五九...
《解 説》
一 地方税法(以下「法」という。)七三の七第二号は、不動産取得税を課すことができない場合として、「法人の合併」と並んで「法人の政令で定める分割」による不動産の取得を掲げ、その委任を受けた地方税法施行令(以下「施行令」という。)三七の一四第一号は、「株式会社が分割して二以上の株式...
《解 説》
一1 本件は、知事の許可を得て、おからやビールかす等を廃油を用いて熱処理し、飼料を生成する事業を営んでいた被告人が、乾燥機の故障などでその工場における乾燥処理が追いつかなくなったことから、新たに岡山県内に本件工場を建設し、兵庫県内・京都府内・京都市内の三つの豆腐製造業者から処理...
《解 説》
一 本件は、電動車いすを使用している身体障害者のXが、鉄道事業を営むYに対し、Xの利用する二つの駅(以下「本件両駅」という。)の駅舎に乗客用エレベーターが設置されていないとして、①憲法一三条及び二二条等に違反していることの確認を求める(請求①)とともに、②本件両駅の駅舎には民法...
《解 説》
一 本件は、「セイロガン糖衣A」という表示(原告表示一)又は右表示を使用した商品パッケージデザイン(原告表示二)を使用した一般消費者向け胃腸薬を製造販売する原告が、右各表示は原告商品を示す商品表示として周知性又は著名性を獲得しているとして、「正露丸糖衣錠AA」という表示(被告表...
《解 説》
一 本件は、貸金業者Yが未払の残元本があると主張して貸金債務の連帯保証人であるXらに対し保証債務の履行を請求する本訴を提起したのに対し、Xらが、利息制限法所定の制限利率を超える利息の支払により、元本が完済となった上、更に過払いを生じていると主張して、不当利得返還請求をする反訴事...