《解 説》
一 本件は、暴力団の幹部であった被告人が、右暴力団の縄張り内で覚せい剤を密売するグループから場所代を徴収し、これを右暴力団内のさらに上位の幹部に渡していた、という事案である。一審は、被告人を麻薬特例法一〇条(不法収益等収受)の罪により懲役一年八月及び罰金五〇万円に処するとともに...
《解 説》
一 本件は、大蔵官僚であるXが、Y1発行の写真週刊誌フライデーに掲載された記事(以下「本件記事」という。)によって名誉を毀損されたと主張し、Y1、Y2(週刊誌の発行人)、Y3(週刊誌の編集人)及びY4(本件記事の執筆者)に対し、不法行為による損害賠償として慰謝料の支払を求めると...
《解 説》
本件は、日本人父とフィリピン人母との間の子として出生し、出生後に父から認知されたX(出生によりフィリピン国籍を有している。)が、「子は、出生の時に父又は母が日本国民であるときは日本国民とする」と定める国籍法二条一号の適用があるとして、国に対し、日本国籍の確認と国が国籍を認めない...
《解 説》
第一 事案の概要
一 新天皇の即位に伴う儀式として、平成二年一一月に皇居で大嘗祭が執り行われたが、これに先立つ同年一〇月一〇日に大分県玖珠郡玖珠町で大嘗祭の関連儀式である主基斎田抜穂の儀(以下「抜穂の儀」という。)が挙行された。
抜穂の儀には、大分県知事、副知事及び農政部長(...
《解 説》
一 本件は、商品先物受託業務等を目的とするY1社の従業員Y2ないしY4から勧誘を受けて白金の先物取引をY1社に委託したところ、右先物取引の結果、約五か月間で四〇〇万円余の損失を被ったXが、右勧誘行為が全体として不法行為に該当するとして、損害賠償を求めた事案である。
Xは、Yら...
《解 説》
一 Xは、美術品の販売等を営むことを目的とする会社であり、平成七年七月一九日、同種の営業を行うYの店舗において、堂本印象と表示のある花鳥の画幅(以下「本件画幅」)を見せられ、Yから本件画幅を一五〇万円で購入したが、後日本件画幅が贋作であることが判明したため、本件画幅の売買は要素...
《解 説》
被告人は、パート帰りの主婦二人が殺傷された通り魔事件の犯人として起訴された。第一審において、弁護人が、被告人と犯人との同一性を争い、仮に被告人が犯人であるとしても犯行当時心神喪失状態であったから無罪であると主張した(なお、殺意の存在も争った。)のに対して、裁判所は、生き残った被...
《解 説》
一 Yが発行する『週刊文春』は、Xの夫A(カリフォルニア大学サンデイエゴ校教授)と娘Bが射殺された事件について、平成八年五月二三日号から六月一三日号まで四週連続して、インタビュー記事、グラビア記事を含む連載記事を四回掲載した。Xは、第二記事及びインタビュー記事、グラビア記事は、...
《解 説》
一 本件は、原告の相続税に関し、原告が相続により取得した有限会社に対する出資の評価方法が争われた事案である。
事案の概要は、次のとおりである。原告の父Aは、顧問税理士の考案したスキームに従い、相続税対策として会社を二つ設立することにし、まず、Aの妻B及び原告を連帯保証人として...
《解 説》
一 Xは、週二回・一回二時間、家事介護のためのホームヘルパーの派遣を受けていたが、平成七年一一月二一日、Y1(福祉事務所長)に対し、ホームヘルパーの派遣を週七回・一回三時間に増やし、身体介護(具体的には、食事介護・排泄介護・身体清拭・洗髪)も行うことを求める旨記載したホームヘル...
《解 説》
一 本件は、内閣総理大臣が、第二一期ないし第二三期の中央労働委員会の労働者委員を任命するに当たり、労働組合法一九条の三第二項に定める推薦をした控訴人ら労働組合の推薦に係る候補者を任命せず、連合傘下の労働組合の推薦に係る候補者のみを任命したことから、右各任命が憲法二八条、一四条に...
《解 説》
一 本判決は、原判決・岡山地判平9・3・18本誌九五九号二〇七頁に関する控訴審判決である。
事案の概要は、被控訴人(一審被告)日蓮正宗に所属する被控訴人寺院が、境内地内の客殿に設置した納骨室の経営につき、墓地、埋葬等に関する法律(墓埋法)一〇条所定の許可を要するにもかかわらず...
《解 説》
一 本件は、XがYらに対し、Yらのパチスロ機(Y商品)の販売がXの商標権の侵害行為に該当するとして、損害賠償を求めた事案である。Xの商標権に係る商標(本件商標)の指定商品区分である平成三年改正前の商標法施行令別表第九類(旧第九類)には、「産業機械器具、動力機械器具(電動機を除く...
《解 説》
一 本件は、村の住民である原告らが、村が第三セクターである被告A会社及び被告B会社へ村の職員一名ずつを派遣したことは、公務員の職務専念義務に違反する措置であり、その人件費を支出したことは違法な公金支出であるから、村は被告ら(被告は、A会社、B会社及び村長個人)の共同不法行為によ...
《解 説》
一 本件は、心室中隔欠損症の治療のために右心室流出路拡大の手術を受けた当時三歳の幼児Aが、手術の約二〇日後にMRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)感染症による敗血症で死亡したことにつき、その両親X1、X2がY病院(日本赤十字社医療センター)の責任を追及した事件の控訴審である。...
《解 説》
一 本件の事案の概要は、次のとおりである。
Yは、製罐及び板金製品の加工並びに製作販売等を目的とする会社であり、Xはその筆頭株主である。Xは、平成七年七月、Yの当時の代表取締役Zらの職務執行停止代行者選任の仮処分命令の申立てを行ったところ、仮処分裁判所は、同年八月、代表取締役...
《解 説》
一 本件は、写真集の出版などを業とするXが、人気女性タレントであるYの所属していた芸能プロダクションAとの間で、Yをモデルとして撮影した写真集をXが出版する内容の出版契約(本件出版契約)を締結したが、Yが正当な理由もなく撮影を拒絶して、Yを写真集のモデルとして出演させるべきAの...